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レポート「CHRONO CROSS 20th Anniversary Live Tour 2019」~出演者編~

投稿日:2020年3月8日 更新日:

バックボーンの異なる出演者全員の才能が引き出された極上のライブ!

2020/1/25 中野サンプラザ

出演者:光田康典、サラ・オレイン、梅田千晶、小栢伸五、神永大輔、坂本遥、佐々木直也、壷井彰久、寺田典子、野口明生、藤野由佳、山本真央樹

チケットが先行抽選でも一般販売でも全く取れず「ああ、終わった」というところだったのですが、追加公演に救済されました。

結果的には運良くツアーの最終公演に参加することができました。

ライブの全体像

光田さん主催公演には以下の系譜があると捉えています。

2015年7月「THE BRINK OF TIME 光田康典 & Millennial Fair」

2018年4月「Xenogears 20th Anniversary Concert -The Beginning and the End-」

2019-2020「CHRONO CROSS 20th Anniversary Live Tour 2019」

系譜?となりますが、これらの公演にはある種の共通点があります。

いずれも20周年記念という形で開催されています。

「THE BRINK OF TIME 光田康典 & Millennial Fair」はクロノトリガーから20周年、すなわち光田さんの作曲活動20周年を記念して開催されたライブになります。

あとは、出演者が一部共通しております。

例えば、光田さんの公演に欠かせない民族音楽的なパートを担っているのが、3公演いずれも梅田千晶さん(アイリッシュハープ)、藤野由佳さん(アコーディオン)、野口明生さん(ティンホイッスル等)となっており、全公演に出演されています。

「ゼノギアスコンサート」と「クロノクロスライブ」といったように、2公演に出演している方や、ゼノギアスだけ出演されていない方も複数いらっしゃいます。

要するに、出演者の方々は”光田ファミリー”的な側面があるように感じています。

実は音楽性もバラバラでリズムの取り方も異なるような方々が、どのような縁ががあり出演に至ったのか?という点が私の最も興味があるところなのですが、そこはほとんど分かりません。

出演者の背景が見えると、よりそれぞれの活動に興味をもたらしますので、その辺りを光田さんから積極的に発信して行って頂けると嬉しいなと思っております。

出演者

サラ・オレイン(ヴォーカル、バイオリン)


オーストラリア出身で、経緯は知りませんが、2ndアルバム「SARAH」を光田さんがプロデュースされた頃からのご縁なのでしょうか。

「THE BRINK OF TIME 光田康典 & Millennial Fair」にも出演されています。

声楽とバイオリン、いずれもクラシカルな分野をルーツに持っている方です。

そのどちらも秀でた実力の持ち主で、母親の縁なのか、日本に留学され、そこから様々な活動をされています。

「こんな人がいるのか!」という、嘘みたいな経歴をお持ちで、とにかく才能が多岐に亘っており、何でも出来てしまうのでは?というような方です。

今回の公演ではヴォーカル全般とクラシカルな部分のバイオリンパート、作詞もされています。

ええ、作詞家だったり、コピーライターだったりもするようなので…

光田さんの依頼で「次元の狭間」に歌詞を付け、自ら歌っております。

活躍の範囲が広いので、今後かなり有名な方になりそうな予感がします。

梅田千晶(アイリッシュハープ)


上記の通り、3公演全てに出演されています。

人物像につきましたは、パンフレットの範囲内でしか分かりませんのでご覧になって頂きたいのですが、梅田さんも元はクラシックの方から演奏されていたようです。

そもそも、アイリッシュハープってオーケストラで見るハープとどう違うの?っていう疑問が私の中に湧き上がってくるのですが、

大きさがやや小さく、弦の数もどうやら少ない。

なんだか忙しそうに、つまみやらペダルやらを動かしている…

そういう印象です。

要するに、何もしないと出せる音が限られているのではないかと思われます。

つまみを動かしたり、ペダルを踏んだりしながら出せる音の幅を広げているのでしょう。

凄く難しそうな楽器だな、という印象です。

楽器のケアも大変そう。

「疾風」が終わるころにタオルをスタンバイするためにモソモソ動く様が妖精のように可愛らしくて印象的でした。

小栢伸五(ベース)


難しい苗字ですが、”オガヤ”さんです。

「ゼノギアスコンサート」から引き続きの参加です。

フュージョンバンド「DEZOLVE」のベーシストです。

※ CDレビューはこちらをご参照ください。

ハックボーンにあるフュージョン音楽というのは、Jazzから派生した1つの音楽分野です。

ジャズということなので、エレキベースだけでなく、ウッドベースも操ります。

サラッと言いましたけど、要するに演奏するのが凄く難しい分野のプロの方です。

光田さんの難解な音楽をライブでやるというのは本当に厳しいのでしょうが、リズムセクションにこのような方がいるというのは心強いと思います。

ユニークなキャラクターであることは、ライブパフォーマンスを見ているだけでも、なんとなく見えてくるものがあります。

坂本さんとは特に波長が合いそうで仲睦まじそうですね。

ソロ回しでも聴かせてくれたあの弦を強く弾く独特な奏法はなんと呼ぶのでしょうか?

ソロ以外でもこの奏法の部分はかなり目立っていますし、格好良いです。

山本真央樹(ドラム)


パンフレットと順番が前後しますが、同じくリズムセクションであり、「DEZOLVE」所属ということで先にご紹介します。

小栢さん同様に「ゼノギアスコンサート」から続けての出演となります。

繰り返しになりますが、フュージョンという難しい音楽分野のプロの方です。

しかもリズムセクションの。

要するに、普通でないリズム感を持っていらっしゃいますので、光田さんの変拍子(変態拍子?)にも対応できる心強い存在です。

しかも小栢さんと普段からやっているというのが大きいと思います。

難解な演奏を支えるリズムセクションの2人に抜群の安定性と連携性があるわけですから、他のセクションの方々もその持っている才能を存分に発揮できるのだと思います。

自撮り棒で撮りながら片手で何処まで叩けるか!?という謎のミッションに挑んでいる姿が印象的ですね。

子供がドラムの演奏に興味を抱くような、パッと見ただけでも格好良さの分かる演奏をされています。

神永大輔(尺八)


「THE BRINK OF TIME 光田康典 & Millennial Fair」にも出演されています。

「和楽器バンド」所属なので、神永さんの尺八を耳にしたことがある方は少なくないはずです。

今回のライブでは、和楽器としてのパフォーマンスというよりも、民族楽器のような立ち位置にあったように感じました。

野口さんと役割が重なるところがあって、逆にそれを活かして掛け合いをする場面が多かった印象です。

悪い意味ではなく、私の知っている尺八演奏よりもポップで軽いイメージの音質に感じ、印象がかなり異なりました。

オーケストラで共演するとどんな風になるのかも興味がそそられます。

比較的自由に動き回れる楽器ですので、それを活かしてステージ上で存在感を放っていましたね。

坂本遥(ギター)


メジャーデビューされたばかりの若手バンド「エドガー・サリヴァン」のギターリストです。

※ CDのレビューはこちらの記事を参照ください。

「ゼノギアスコンサート」から引き続き出演されています。

陽気でお調子者なキャラクターが窺い知れます。

今回のビジュアル的には異なるのですが、お名前含め中世的な雰囲気を持っているのも魅力的です。

光田さんとの縁がよく分からないのですが、「エドガー・サリヴァン」に限らず広く活動されているアグレッシブなギターリストであり、愛嬌のあるキャラクターでもあるので、実力はもちろん、若手ながら顔も広いのは想像できます。

勝手な憶測ばかりで申し訳ないのですが、「DEZOLVE」のお二人とは「ゼノギアス」以前から元々知り合いのようなので、そういったミュージシャン同士の縁から広がったのかもしれません。

にしても、今回のコンサートではギターと言っても多種多様なことをやられていますね。

エレキ、アコギ両方というのは分かり易いですが、奏法にしてもピックだったり指だったり、ソロだったりコードだったり、他にも素人目には分からないことがたくさん…

プロって凄いですね、と当たり前のことを再認識させられます。

佐々木直也(ギター)


今回が初めての出演となります。

「空想委員会」のギターリストとして活躍されていました。

こちらのバンドは”現体制での活動を終了”という発表がされています。

佐々木さんはソロでの活動もされていて、CDも出されています。

※ CDレビューはこちらの記事をご参照ください。

ゲーム音楽が好きな方のようで、クロノクロスもリアルタイムでプレイされているような方です。

光田さんのプロキオン・スタジオが主催した「アナザーエデン オフィシャルライブ」にも出演されていますので、そういったゲーム音楽との縁が今回の出演に結び付いたようです。

メンバーのまとめ役のような印象で、ライブ中は一部でMCも務めています。

坂本さん同様、このライブでは普段やらないような様々なパフォーマンスをされています。

この辺はパンフレットの座談会を読むと大変興味深いのですが、ギターリストでありながら今までやったことのない、むしろ苦手意識もあるような奏法を今回やられているわけです。

それを練習してさらりと乗り越え、このパフォーマンスをされるのは凄いなと思いますし、ギターリストって本当に厳しい仕事だなとも思わせました。

坂本さん同様に今後のギターリストとしての活躍が凄く楽しみですね。

このライブツアーに出演されたということは、とんでもない経験値を積んだわけですから。

壷井彰久(バイオリン)


「THE BRINK OF TIME 光田康典 & Millennial Fair」以来の出演となります。

この方はバイオリンの常識を覆すと言いますか、”エレキトリックバイオリニスト”という印象を持ちました。

ライブ中のエフェクターが並ぶ足元がバイオリニストのそれじゃないです。

どちらかというとギターリストのそれです。

なんだか、弓も傷んでいるし、見たことも聴いたこともありませんという感じでした。

ロックミュージックがバックボーンにあるように感じますが、ギターを弾かれていたこともあるようです。

最年長メンバーということで、冷静に今回のバンド全体を見ていることがパンフレットから窺い知れます。

壷井さんも「アナザーエデン オフィシャルライブ」にも出演されているんですね。

光田さん作曲の作品だけじゃなくて、プロキオン・スタジオ系の音楽はマークしておくべきだったと後悔が募ります。

藤野由佳(アコーディオン)


光田さんのライブやコンサートには欠かせない、必ず出演されている演奏家の一人です。

壷井さんらと「オオフジツボ」というグループでの音楽活動もされていらっしゃいます。

※ CDレビューはこちらの記事をご参照ください

今回はバンドが大編成なので、正直なところあまり目立つ存在ではないのですが、光田さんは積極的にアコーディオンソロも組み入れていらっしゃいます。

パンフレットの光田さんの各曲のコメントでもアコーディオンソロを聴きどころに挙げている曲が複数あるのが印象的です。

今回はそれぞれのメンバーにコンセプトキャラクターが居るのですが、藤野さんが私の中のベストドレッサーですね。

衣装とか髪型とか演奏中の表情とかが相まって素敵な姿に映りました。

寺田典子(パーカッション)


「ゼノギアスコンサート」に続いての出演です。

普段は海外を拠点にされているそうで、ゲーム音楽関連の海外のオーケストラグループのツアーに参加されたりしているようです。

決して大きくない身体をたくさん動かして、とにかく楽しそうに叩かれている姿が印象的です。

各メンバーの演奏にも熱い視線を向けてらっしゃるのがパンフレットから窺い知れます。

野口明生(ティンホイッスル、ローホイッスル、イーリアンパイプス)


全公演に参加されており、「アナザーエデン オフィシャルライブ」にも出演されている、プロキオン・スタジオ御用達のミュージシャンです。

メンバーでは無いですが「オオフジツボ」のCDにも参加されており、関わりが深いです。

驚いたのは、民族楽器をやられる前はピアノを弾かれていたそうです。

見ていてあまり感じませんが、実はホイッスルに関してはキーなどに合わせてかなりの本数を吹いているようです。

個人的にはイーリーアンパイプスという楽器の音が今回のライブで大好きになりました。

特にソロ回しでのパフォーマンスで惹きつけられました。

まず、野口さんが演奏するのは笛だけじゃないのか、ということに気付かされました。

どうやって音を出しているのだろう?と興味を持ち肘の辺りに目が行き、まさか!という展開でした。

大腿部も使用しているので立って演奏ができないとか、興味をそそられる要素の多い楽器です。

バンド内では尺八の神永さんがどちらかと言うと前で、神永さんを立てるように後ろから支えてらっしゃるような姿も印象的でした。

メンバー内での立ち位置も、若手の坂本さんや小栢さんを可愛がる兄貴分、というイメージがあり、こういったところも非常に格好良く映ります。

光田康典(キーボード、ブズーキ、パーカッション)


表記はないですが、コーラスもされているのでそこも注目が集まるところですね。

キーボードは主旋律となることも少なくなく、ライブ中もなかなかの忙しさです。

ブズーキというのはマンドリンのような音、形の弦楽器で光田さんが弾く姿はお馴染みの光景になってきましたね。

作曲家としてはあまりにも有名な光田さんですが、ちょっと違った一面が見えてきているように感じます。

演出もそうですし、こういたバックボーンがバラバラのメンバーを集めこの仕上がりに持っていくことができるのは、作曲とは異なるフィールドへ活躍の場が広がっていきそうで、今後にも大きな期待を抱いています。

ゲームの方は映像の進化と共に音楽の役割も変わってきている部分があるので、こうした光田さんの活躍からは目が離せないです。

さて、まだライブレポートは続くのですが、まだ長くなります。

読みづらくなってしまいますので、ここはFF7リメイクを倣って記事を分割させて頂きます。

続きの”曲目編”はこちらです。

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