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レポート 「新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX」

投稿日:

FF10の世界にどっぷり浸れる至高の空間!初めての歌舞伎観劇でも楽しめる!

企画/構成 尾上菊之助

2023年3月4日~4月12日 IHIステージアラウンド東京

今回は話題の「新歌舞伎 ファイナルファンタジー10」を観劇してきましたので、レポート記事を書かせて頂きます。

私は「FF10」やその音楽の大ファンですので、そうした視点からのレポート記事であり、歌舞伎について語れるの知見は一切持ち合わせておりませんので、その点はご了承ください。

「新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX」の制作経緯

本作を語る上で何よりも先に説明が必要な点が、制作経緯になります。

というのも、原作ファンの素朴な疑問として「何故、FF10を歌舞伎でやる必要があるのか?」という疑問を解決する必要があるからです。

原作ファンからしましたら、自分の大切な作品をアレンジされて、最悪な場合作品のブランド性が損なわれるようなことにならないかと危惧する方がいらっしゃても不思議ではありませんし、私自身もある種の抵抗感は湧き出てくるものがありました

大切なのは制作者サイドの原作への「想い」に尽きると思います。

例えば、「人気作であるFF10であれば商業的に大きな成功をもたらせるのではないか」、「和の世界観を持っているFF10という作品なら、日本の伝統芸能である歌舞伎にもマッチするのではないか」といった程度の動機付けで制作されたのであれば、原作を傷つけることにもなりかねないように思うのです。

しかし、本作の制作経緯は尾上菊之助さんの「FF10」に対する熱い想いが大いに込められています

コロナ禍に伴う感染対策上の問題で歌舞伎界も例外なく「公演中止」といった憂き目に立たされたことが大きなきっかけとなっています。

「自身の仕事をやりたくてもできない」、「楽しむお客さまの姿を見れない」といった大きな喪失体験をされ、苦境に陥ったことは想像に難くありません。

一方で、通常であれば稽古や舞台等に多忙な日々ではあるのですが、こうした状況によって「時間」が生まれることになります。

その中で尾上菊之助さんは久々に「FF10」をプレイされたそうです。

そして、「FF10」の物語やキャラクターたちの心情に大きな感動や共感を得た菊之助さんは苦境から立ち直ることとなり、「この作品を歌舞伎として披露し、世の中の悩める人たちを元気にしたい」と考え、すぐに出演者への直接オファー等多くの行動を起こし、新作歌舞伎の完成、公開へと至ったわけです。

とても熱いお話ですが、こうした行動は「FF10」のファンである私としても非常に大きな共感と感動を覚え、「歌舞伎でやって大丈夫なの?」から「絶対に観に行きたい」と私自身の考えも180度変わることとなりました。

初めて観る歌舞伎の印象はどうだったか?

歌舞伎を全く知らない私からしますと、歌舞伎は伝統芸能であり、堅く、難しいイメージがあったのですが、実際に観劇してみますと「ああ、歌舞伎って娯楽なんだよな」という当たり前のことに気付かされました。

現代語が多かったり、ストーリーを把握しているため分かり易いといった背景もあるのかもしれませんが、独特な動きだったり表情、話法等の歌舞伎ならではの部分も含め、素直に楽しかったです。

意外なことに「FF10」を知らずに来場されている方も非常に多かったのですが(開演前に挙手アンケートみたいのがありました)、感想をTwitter等で読んでみますと、そうした方たちも非常に楽しまれていた様子でしたので、少なくとも「FF10」か「歌舞伎」のどちらかが好きな人にとっては大いに楽しめるものとなっています。

それどころか両方を知らない人にとっても楽しめるものになっている印象すらあります。

一点だけ気になりましたのは、台詞と台詞の「間」が短かったことです。

私は歌舞伎を知らないので、それが歌舞伎特有の「間」なのか、あるいは公演時間の問題上、詰めざるを得なかったのかは分りかねているのですが、「間」が短いことによって、キャラクターの心情というのがやや感じ取りにくいなと感じた場面はありました。

 

原作ファン視点での違和感はあったか?

何度も周回プレイを重ねているような原作ファンの立場でいざ観劇してみますと、実のところ個人的には結構な違和感がありました。

例えばキャラクターの声は当然ながら原作と違いますし、シナリオが補完されていていたり削られたりしていることについても違和感を覚えました。

一方で、キャラクターの挙動は非常に素晴らしいものがありました。

いくらモーションキャプチャーしているとはいえ、ゲーム内でのキャラクターの動きと言うのは独特なものがありますが、その独特な動き、例えばゆっくりと座り込むときの動きなどについては、舞台上で忠実に再現されており、「凄い、まるで逆モーションキャプチャーじゃん!」と大興奮しました。

私個人としては違和感を覚えましたが、全体的な感想に目を通してみますと、キャラクター(声や動きの他に衣装など)について「違和感がない」の声が非常に多く目に入ってくるので、違和感というものをネガティブに考える必要はないと思います。

個人的には、違和感というものも含めて、むしろポジティブに本作ならではの「良さ」として感じられたので、全く問題点としては捉えていません。

こうした点も結局は作品への熱量が伝わってくるということも大きいのかもしれません。

アレンジされた音楽の印象は?

舞台上で使用されるBGMについては、全て歌舞伎仕様にアレンジが施されていました。

和楽器がふんだんに使用されており、音の厚みもそうなんですが、シンプルに音量としてもボリュームが大きい印象がありました。

楽曲をアレンジするにあたり、作曲者の1人である植松伸夫さんと直接コンタクトを取られている様子が事前公開されていましたが、植松さんが仰っていたFF10楽曲全体のイメージである「祈り」というものをキーワードに和楽器で楽曲を構築されています。

それらのアレンジ楽曲は舞台に非常にうまく融合されており、「FF10」の世界感も損ねない絶妙な範囲でアレンジされているため、私も含め「サントラ出してください」の声がたくさん挙がっています。

強いて言えば、サントラマニアの私からしますと、楽曲の使用箇所が原作と異なっている楽曲も多く「今はその曲じゃない方がいいな」というのは、幾つかの場面で感じました。

例えば、”ナギ平原”で「ユウナの決意」が使用されていなかったり(後の場面で使用されていた)、ゲーム本編では映像と音楽がうまくシンクロしていた「Ending Theme」のタイミングがずれていたりといった細かな点は気になりましたので、ファンの方は気になる人もいらっしゃるかもしれません。

長時間公演への不安がある中、行ってみてどうだったか?

本作を楽しむうえでの不安要素の1つとして、「長時間の観劇はつらくないのか?」というのもがあると思います。

私個人としましても、この不安はそれなりに抱きながら会場に行ったわけですが、結論としましては誰が行ったとしても「全く疲れない」ということは無いと思います。

しかし、観劇時間だけで7時間も体験した後の割には、少ない疲労感だと感じました。

どんなに良いクッションを使用したところで、人が長時間の座り続けることを耐え切ることは難しいですが、それでも尾上菊之助さんのお心遣いで全座席に置いてあるクッションの効果は少なくないように感じました。

いずれにせよ、楽しい時間と言うのはあっという間に過ぎるものですので、実際に観劇してみますと「長時間」という印象は残らず、意外とあっという間に感じられます。

そのくらい、楽しい公演だったということです。

あとは休憩時間の過ごし方によっても疲労感は大きく変わると思いますので、必ず席を立つことは必要だと思いました。

空間を離れることで没頭感が薄れてしまうかもしれないと危惧はしましたが、実際には外の空気を吸う時間も必要で、気分転換をしながら頭もリフレッシュすることで長時間にわたる公演を終始集中して観ることができたという感覚が残っています。

まとめ

原作の扱い方への不安、歌舞伎という未知な世界への不安、長時間公演への不安だけではなく、現実的な問題として終演時間が遅かったりもしますし、スケジュールを合わせる苦労もあります。

加えて公演時間が長いということは、すなわちチケット代が高額になりますので、たとえファンであっても観劇を迷うのは当たり前ですし、私も苦しんだ部分ではありました。

しかし、そこで諦めてしまっていたら今回のような特別な体験が得られなかったと考える方がつらいので、やはり少々無理をしてでも行って良かったなと私は考えています。

結局のところ、私にとってこの歌舞伎の何が最も良かったかと言いますと、大好きな「FF10」の世界に久し振りにどっぷり浸れたことでした。

日常のことをすべて忘れて、丸一日「FF10」の中に入り込めるという体験は、2001年の「FF10」発売当初に初プレイしていた時以来という感覚で、あの頃の感動をまた体験できたという感覚があり、それが何より素晴らしかったです。

尾上菊之助さんの「元気にしたい」という想いは、私にもしっかりと届き、間違いなく元気を貰うことができました。

もう公演が終わってしまうのは寂しい気持ちでいっぱいですが、今年中に無くなってしまう会場の「IHIステージアラウンド東京」では無理でも、いつか再公演をして頂きたいです。

その際は必ず再訪しようと思いますし、BDディスクやサントラCD等の円盤化グッズの通販展開なども併せて期待したいところです。

「FF10」のファンであればきっと元気を貰える公演だと思いますので、残り少ない公演に駆け込むのも良いでしょうし、足を運べなくてもBDディスクが発売されることがあれば、少なくともファンの方には是非観て頂きたいと思っております。

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