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レビュー「AREA」 / DEZOLVE

投稿日:2020年3月15日 更新日:

クロノクロスライブを支えたリズムセクションのメンバーは、自身のバンドでも凄まじいパフォーマンスをしている!

DEZOLVE:北川翔也、友田ジュン、小栢伸五、山本真央樹

『クロノクロス』20周年記念ライブに出演されたアーティストのことが、まだまだ知りたい!

第四弾は小栢伸五さん(ベース)、山本真央樹さん(ドラム)の所属されている「DEZOLVE」のアルバムを聴いてみました。

今回聴いてみたのは、クロノクロスライブの物販でも販売されていた作品になります。

フュージョン音楽とは?

クロノクロスライブの出演者のご紹介でも触れましたが、音楽ジャンルとしては「フュージョン」にあたります。

ジャズから派生した誕生した音楽ジャンルなのですが、ジャズにロックや電子音楽が合わさったような音楽です。

実は私はよく理解できていません。

何が分からないのかと言いますと、ジャズ要素が何処にあるのかがよく見えてこないのです。

特にドラムの基本リズムが4ビートであるように感じられないので、あれ?ジャズはどこ?と迷子になっています。

しかし、決まった形は特に無いようにも感じさせますので、あまり気にしなくても良いのかもしれません。

DEZOLVE のメンバー

DEZOLVEメンバーについては非常に気になる点があります。

それは、どういった経緯でメンバーがフュージョンに触れ、バンドを結成するまでに至ったのかという点です。

というのも、私自身のそうですが、この音楽ジャンルはゲーム音楽のように身近にあるものではないので、接点がなかなか無いようにも思えるのです。

そのような視点で公式のメンバープロフィールを見てみますと、メンバーに1つの共通点が見えてきました。

それは、幼少期から多くの音楽ジャンルに触れているということです。

音楽的好奇心が豊かな人が最後に辿り着く場所の1つなのかな?という印象を持ちました。

メンバーは以下の通りです。

北川翔也(ギター)

友田ジュン(キーボード)

小栢伸五(ベース)

山本真央樹(ドラム)

全員が作曲もされます。

このジャンルはもはや、どうやって作曲されているのかも私には想像できないのですが、メンバー自身が手掛けている形です。

今作で最も多く作曲を担当されているのはドラムの山本さんです。

ドラマーでありながら、作曲や編曲も得意にされているというのは、鍵盤もドラムやマリンバの如く、流れるように叩けるのでしょうか。

大変、困惑しております。

アルバムの全体像

インストゥルメンタル作品で、あまりメロディアスではありません。

正直、結構な回数繰り返し聴きましたが、かなり難解な音楽で、私がこのアルバムをレビューするのはかなり苦しいなと感じている次第です(今すぐ逃げ出したいです)。

とにかく格好良い音楽なのですが、印象的なのは複雑なリズム(それも変化の連続)、個々のテクニカルさです。

シンセサイザーでどこか幻想的な雰囲気を感じる場面もみられます。

そして、このアルバムではサックスプレイヤーの本田雅人さんも参加されています。

…その節は大変お世話になりました。

はい、ほんの少しですが私自身お世話になったことのある方です。

審査員の一人として私の所属していたビックバンドの演奏を聴いて頂き、コメントまで残してくれた方です。

要するに私からすると雲の上のような存在の方なのですが、なぜこの話を持ち出したかと言いますと理由があります。

「DEZOLVEのメンバーも大変レベルの高い、このような立ち位置にあるんだな」と考えると自分の中で整理がついたからです。

本田雅人さんのサックスの他、北川さんのギターと友田さんのキーボードで曲を彩っていて、この難解なリズムをベースとドラムで支えているという構図に聴こえます。

クロノクロスの楽曲も演奏するのは難解でしょうが、このアルバムの楽曲の難易度も凄まじいと感じますので、ライブ同様にリズムセクションの役割は非常に重要だと思います。

収録曲

1.Birth of Earth(作曲:山本真央樹)

2.Vista(作曲:友田ジュン)

3.Beat the Moments(北川翔也)

4.Clover(作曲:山本真央樹)

5.Soaring(作曲:山本真央樹)

6.Saga of Lazuline(作曲:友田ジュン)

7.Fairy Garden(作曲:小栢伸五)

8.Trapezist(作曲:友田ジュン)

9.The Pandemic Plant(作曲:北川翔也)

10. Last Colony(作曲:山本真央樹)

11. Our New World(作曲:北川翔也)

1.Birth of Earth


山本さん作曲と聞くと、確かにドラムベースに曲が構築されているような感じがします。

マーチングを思わせるようなドラムのスネア音から始まるのが面白いですね。

そこからシンセサイザーで徐々に盛り上げていく感じがオープニング曲の雰囲気を出しています。

ソロパート等の展開が変わる前にリズムが変化するのも洒落た構成だなと感じさせます。

2.Vista


友田さん作曲です。

曲の出だしは訳が分かりませんが、比較的リズムの取り易い曲です。

中盤のソロ回しと、後半のサックスとギターの掛け合いが聴きどころだと思います。

3.Beat the Moments


北川さんの作曲です。

爽やかなギターサウンドが曲の中心となっています。

ドラムのリズムの取り方が前曲と似ているのですが、ギターの存在感が強いので、ジャズテイストが弱く、ロック寄りの曲なのかなという印象です。

4.Clover


山本さん作曲です。

しかし、ドラムベースでつくられた曲とは対極にあるような曲に感じます。

しっとりとしており、アコースティックな雰囲気まで出ている曲です。

キーボードが入ってきてから美しさを覚えるので曲名のCloverを感じさせます。

なんだか良いことがありそうな気分になるトラックです。

5.Soaring


こちらも山本さん作曲です。

タイトルから”空”を想起させますが、爽やかな曲です。

主旋律の音がよく分からないのですが、シンセサイザーでしょうか?

おそらく、これはウインドシンセサイザーと呼ばれるものだと思います。

電子楽器なのですが、管楽器の奏法でコントロールできるので、本田雅人さんが吹いているのだと思います。

曲の後半は小栢さんのベースで洒落た感じも加わっています。

6.Saga of Lazuline


友田さん作曲です。

この曲は展開が激しく、多くの表情を見せるので、全体像が見えにくいです。

印象的なのは、ギターソロの箇所のとんでもない変化です。

ふいにリズムが(テンポも?)変わって「え?よく分からないけど凄い」となります。

そして、鬼のような高速ユニゾンを経てドラムが止まり、ピアノソロへ。

どうしてこれを演奏できるのか、ちょっと理解が追い付かないトラックです。

7.Fairy Garden


このアルバムでは唯一の小栢さん作曲です。

フルートが印象的な曲ですが、本田雅人さんが吹いているのだと思います。

サックス奏者がフルートも兼任するのはジャズ界ではよく目にする光景です。

コーラスのようなものも入っていて、このアルバムの中ではちょっと異色なトラックに感じます。

8.Trapezist


友田さん作曲です。

バラード曲と言って良いのかはわかりませんが、しっとりとしてます。

印象的だったのはピアノとベースの部分なのですが、不気味な雰囲気でなんだか怖いです。

…バラードでは無いですね。

9.The Pandemic Plant


北川さん作曲です。

もう、何と言えば良いのでしょうか。

「修行か何かですか?」

そう言いたくなるくらい訳の分からないリズムです。

リズムセクションも大変だけど、これはソロもどうやってリズム取っているんだか…と呆れさせます。

10. Last Colony


山本さん作曲です。

これは主旋律があるので聴き易いですね。

シンセサイザーが心地良いです。

ギターとのユニゾンが特に最高です。

11. Our New World


北川さん作曲です。

いかにも締めくくりの曲名で、主旋律も両手を広げたくなるような伸びやかさがあります。

というわけで、印象に残った曲なのですが、聴き返してみると「意外とテンポが速いな」と感じます。

この相反する部分が楽しいなと感じます。

なんというか、形が無いんですよね。

自由な音楽を感じます。

まとめ

凄いとしか言いようがないのですが、特筆するべくはテクニック、リズム感覚、形をあまり感じさせないような音楽というところだと思います。

しかも、メンバーの年齢が若いので、この次元に居らっしゃるのにもかかわらず、伸びしろまで感じさせてしまうのが末恐ろしいです。

ゲーム音楽好きの人が聴くとしたら、リズムの変化の部分では光田康典さんのファンにはやはりお勧めしておこうと思います。

しかし、それ以上に感じたのは桜庭統さんのライブが好きな方々には、楽曲の複雑性という部分でより合うのではないかなと思いました。

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