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FFシリーズ ゲーム音楽レビュー

レビュー「Final Fantasy 10 CHIPS」

投稿日:2020年3月7日 更新日:

攻めの選曲の向こう側に新しい発見がきっとある!

編曲: ASAGEN 、 DJ OMKT & MJ 、 W2X 、 Bun 、 Kplecraft 、 Xinon 、 BokkaDenshi

FF10もCDはなかなか豊富で、チップチューンアレンジCDもリリースされています。

チップチューンアレンジ系のCDは私はほとんど所持していないのですが、FF10の音楽は様々な角度から聴いてみたい思い、購入してみました。

チップチューンアレンジとは?

簡潔に言えば、ファミコン音源のようなアレンジということで良いのではないかと解釈しています。

ファミコン音源と聞きますと、ピコピコ音を想像しますが、正しくそれです。

そして、このような音質的な特徴だけでなく、制約の多い状況下で作成するという点もファミコン音源と同様です。

制約とはすなわち、ファミコン時代で言えば容量や技術的な問題による制約なのでしょうが、こうしたアレンジCDにおいても音域が限られている、同時に出せる音の数が少ないといった制約をあえて用いてアレンジされています。

ピコピコ音でこれらの制約もある中でも、聴き心地の良い楽曲が生まれたりするのが興味深いところで、こうしたCDの制作にはそのような新しい発見を楽しむといった目的があると私は捉えています。

CDの全体像

聴く前の印象として、「ちょっとこれは冒険となるな」というのが私の胸中でした。

なぜなら、想像してみると「FF10の楽曲には合わないのではないだろうか」というのが率直なイメージだったからです。

結論から言いますと、やっぱり合っているとは言い難かったです。

何が足りないのか?というところですが、FF10独特の不安感とか物悲しさが出しづらいのがツラいところかなという印象です。

抑揚が効きづらく、どこか淡泊なアレンジにはなり易いのですが、それがちょっとFF10の作風には合わないかなというところです。

もちろん、それによって新しい発見もできる作品もあるのだとは思っていますが。

選曲はチップチューンで良い化学反応を起こし易い戦闘曲が中心ではあるのですが、かなり強気の選曲もあって、そこがこのCDの最大の聴きどころだと思います。

収録曲

1.ザナルカンドにて

2.プレリュード

3.ノーマルバトル~勝利のファンファーレ

4.祈りの歌

5.ミヘン街道

6.襲撃

7.いつか終わる夢

8.シーモアバトル

9.OtherWorld

10. Ending Theme

1.ザナルカンドにて


分かります。

FF10のCDで「この曲を外すわけにはいかない」いうのはよく分かります。

しかし、この曲をチップチューンアレンジというのは攻めたな、と思います。

原曲がピアノソロ曲というのが最大の特徴です。

ということは、同時に鳴らせる音の数という部分には問題ありません。

音域的には、あえてオクターブ上に行かないという制約がありますので、この点は影響が大きいです。

ピアノコレクションやオーケストラアレンジのような終盤の盛り上げ方ができません。

テンポの変化や間の置き方など、この曲で凄く大事な表現もみられません。

滑らかさだったり抑揚だったり、ピアノの持つ持ち味も消えています。

すなわち、淡々とした「ザナルカンドにて」ということになります。

もちろん、チップチューンアレンジCDなのでアレンジとしては不正解でも何でもありません。

この淡々とした感じに魅力を感じる人も必ず居ると思います。

この難しい仕事をしたアレンジャーの方には素直に拍手を送りたいです。

2.プレリュード


この曲の選曲は妥当ですね。

原曲もややチップチューン寄りなアレンジの曲だと思いますので。

しかし、聴いてみると「だからこそ変化を付けなきゃいけなくて難しかったんだろうな」というのを感じさせます。

結構思い切ったアレンジをされてます。

驚きはこの曲の主旋律とも言えるベース音の排除。

そして、高音域で鳴り続ける、原曲にはない音の追加。

このどちらにも違和感を覚え、ちょっと私の好みには合わない結果となりました。

しかし、そういう方法であえて変化を付けようとされたのかな?という意図を感じます。

そういう意味ではこのトラックも攻めているように感じます。

やはり、拍手を送りたくなります。

3.ノーマルバトル~勝利のファンファーレ


当然の選曲だと思います。

このアレンジは苦手な人居ないんじゃないかな、という印象です。

というのも、非常にこのアレンジに合っています。

ベース音は無いのですが、高音域でベースのように主旋律を支えている感じで、こういうのも良いんだな、という新らしい発見をさせてもらいました。

そして、途中の戦闘コマンドの効果音も面白味がありますので、こういうのは皆好きですよね、と思います。

勝利のファンファーレに繋げる演出も良いですね。

このような楽しく心地よく聴けるトラックもアレンジCDには必要ですね。

私としては、時々聴き返したくなるくらいに好きなアレンジです。

4.祈りの歌


強気の選曲その2、だと思います。

シンプルに2ループ、「祈りの歌」です。

ちょっと聴きどころが分からず私は困惑気味になりました。

でも、よく聴いてみますと最後の長く伸ばすところ(ロングトーン?)で、音が段階的に減っていて、ちょっと余韻が残るようなアレンジをされています。

これに気付いたら、意外と良いなと思ってしまいました。

この曲のチップチューナレンジをオーダー出された時のお気もちを聞いてみたいです。

やはり、拍手を送りたいです。

5.ミヘン街道


これは聴く前から期待大でした。

そして、期待どおりでした。

前奏からしてそうなのですが、軽やかに弾むようなリズムが凄く心地よいです。

主旋律の音を細かく上下するところなんかもチップチューンならではな感じで粋だと思います。

聴いていて楽しくなります。

楽しい気持ちになり、気持ち悪い笑みを浮かべながら、いま私はこの文章を書いています。

6.襲撃


選曲、攻めましたねその3。

音の厚みが無くなるとちょっと厳しいです。

自分の頭の中で音を補おうとする謎の現象が沸き起こります。

ただ、このアレンジの凄いなと思うところは、厚みが足りないよと言っているのに、大胆にも単音になる箇所があるのです。

ちょっと待ってこれ以上はもう… いや、良いじゃん!となります。

さぁ、拍手を送りましょう!

7.いつか終わる夢


選曲攻めるねぇ、その4。

この曲こそ重厚感が重要なのであってですね、それをチップチューンですか、という感じです。

しかし、音質で工夫されているので、音の薄さは意外と感じません。

ただ、あんまり綺麗では無いなというのが素直な感想です。

にもかかわらず、幻光虫漂う幻想的な感じが出せちゃってるのは恐るべしですね。

はい、拍手!

8.シーモアバトル


この曲のためのCDじゃないですか?と思うほど妥当な選曲です。

音の数(アルペジオ?)で勝負できる曲なので、合わないわけないですね、分かります、という感じです。

実際、聴いていて違和感がありません。

ハイテンポ気味なのが、良さを増長していると思います。

9.OtherWorld


攻めた。その5。

いやいや、戦闘曲とはいえヴォーカルものはですね、しかも、あの特殊なヴォーカルをチップチューンでですか…

と、驚きの選曲です。

ヴォーカル部分も厳しいですが、前奏部分もなかなかの厳しさを感じさせます。

しかし!間奏が凄く格好良いです!

嘘じゃないので聴いてみて欲しいです!

拍手!

10. Ending Theme


いやいや、最後まで過ぎでしょ、その6。

この曲の原曲って、エンディングの映像が物凄く目に浮かんでくるんですよ。

あんなシーンやこんなシーンが。

それをチップチューンで流されますと、頭の中の映像がグチャグチャで大混乱になります。

そして気付きます。

「あ、2Dヴァージョンのエンディングムービーを思い浮かべれば良いのだ!」と。

そして、すぐに思い浮かべることが困難であることを悟ります。

悟りの1曲です。

「祈りの歌」の部分にしても「ザナルカンドにて」の部分にしても、全体的にしっとりと仕上がっていて、この1つの雰囲気の印象が強いので抑揚不足を補っているような印象があります。

アレンジャーって凄いですね。

もう1度拍手お願いします。

まとめ

なんだかレビューを書くのも楽しくて、珍しくタイピングする手が止まりませんでした。

全曲レビューする気なんて無かったのに、あっという間にこの文章量です。

このアレンジCDは、このように人を楽しくさせてくれるような魅力があるのかもしれません。

楽しく聴いているうちに、楽曲の魅力について新たな発見があるかもしれません。

なので多くの方に聴いて頂いて、その発見を私に教えて欲しいです。

そして何よりも言いたいのは、アレンジャーの方々の「挑戦するぞ!」という意気込みが感じられる点がこのCDの素晴らしいところです。

皆さま本当に素晴らしいお仕事をされています。

というわけで、最後にアレンジャーの皆様に大きな拍手を送って頂きたいです!

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