エースコンバットの楽曲への注目が一層高まったシリーズ初コンサート!
2019年7月27日 TIAT SKY HALL(羽田空港)

よくやくコンサート演目の楽曲が収録されたサントラレビュー記事が書き終わりましたので、今回は久々のコンサートレポートを書かせて頂こうと思います。
エースコンバットシリーズ史上初となった記念すべきコンサートを振り返ってまいります。
目次
シリーズ初コンサート
エースコンバットの楽曲につきましては、これまで国内でコンサートとして演奏されたのは、アマチュア団体を除きますと「PRESS START」にて『ACE COMBAT ZERO』を代表する楽曲である「ZERO」が数回演奏されたのみと記憶しています。
そもそもフルオーケーストラの楽曲ということもあり、オーケストラコンサートとの相性は抜群で、「ZERO」の演奏は多くのゲーム音楽ファンのみならず、ゲームに関心のある方々へ強烈なインパクトを残したのではないでしょうか。
「PRESS START」で複数回再演されたのは、それだけ反響があったのではないかと思います。
しかしながら、エースコンバットの楽曲は「ZERO」だけではありません。
オーケストラで演奏されるべき素晴らしい楽曲は数えきれないほど多く存在しております。
ゲームタイトルで言えば『ACE04』、『ACE5』、『ACE ZERO』、『ACE6』、そしてPS4の最新作『ACE7』といったところは、フルオーケストラの重厚な楽曲が多く、コンサートをやるにも選びきれない程だと思います。
私自身は、エースコンバットシリーズの楽曲はサントラの中でも特に好んで聴いている作品の1つであり、楽曲の特徴を考えても「いつか絶対にコンサートはやるべきだし、絶対に聴きに行きたい」と常々思っておりました。
そのコンサートが長年の沈黙を経て、遂に実現することとなり歓喜の声を上げたのは私だけではないはずです。

開催概要
公演日は2019年7月27日のみで、公演数は昼と夕方の2公演開催されました。
会場は羽田空港内の「TIAT SKY HALL」というイベントホールです。
フライトシミュレーションゲームの楽曲を飛行場内で演奏されるという粋な演出はファンを益々興奮の渦に巻き込んでいくこととなりました。
しかし、「羽田空港にコンサートホールなんてあったっけ?」と多くの人が疑問に感じたと思います。
私もその一人で、会場となる「TIAT SKY HALL」を調べてみますとその興奮は戸惑いに変わりました。
調べて見ると収容人数、いわゆるキャパが非常に少なかったのです。
椅子を設置すると最大246席、スタンディングでも400人程度のキャパしかありませんでした。
そして、すぐに理解しました。
「これはチケットが取れない」と。
シリーズのゲームそのものや音楽への人気に対して、キャパが圧倒的に足りません。
私も祈るような気持ちでチケットの先行抽選に臨んだのですが、容赦なく「ご用意できませんでした」という、予想通りとも言える結果となるに至りました。
こうなるともう絶望しかないのですが、奇跡が起こらないかと先着販売の一般発売にも挑戦してみました。
すると信じられないことにチケットを取ることができたのです。
一般発売の争奪戦で入手困難なチケットを取れたのは私自身初めてのことで、スマホを何度も見直し、発見しても実感が湧かず、今でも信じられない思いです。
なお、この会場問題についてはインタビュー記事にコメントがあったのですが、狙ってこの会場にしたわけではなく、妥当であると想定していた収容人数の会場がたまたま羽田空港であったという、全く予想外の回答でした。
長年コンサートが開催されていなかったのも、会場の収容人数が少ないのも、エースコンバットの楽曲に「需要があまり無い」と勘違いしていたのかなと言う印象を抱いてしまうようなコメントです。
コンサート中も「フライトシミュレーションゲームの音楽ですけど大丈夫ですか?」と尋ねるような場面もありました。
実際にはサントラの売れ行き等から需要があるのは分かっていらっしゃったそうです。
なお、今回の演目については後述しますが、事前の発表では『ACE7』の楽曲のみが発表されておりました。
私自身は『ACE7』をプレイ済みではあったのですが、この時点ではサントラが発売されておらず、DLCの購入特典としてゲーム内でサウンドを聴けるモードが追加されたのでそれを聴いて予習することとなりました。
その『ACE7』のサントラの発売はコンサート内で発表され、そのボリュームと値段に若干の戸惑いが混じった歓声が上がったのを覚えております。
会場内展示
公演に先立って何やら展示があるとのことで私も覗いてみました。
気になる展示内容としましては、米国軍に製品を供給しているALPHA INDUSTRIESとのコラボ商品であるジャケットがメインとなっておりました。
そして、なんと試着をしてACE7仕様のセット背景画組まれた中で写真を撮ってもらえるとうサービスになっており、私も参加させて頂きました。
非常にファン心を擽る内容の展示企画で、目前に迫ったコンサートへの期待も更に高まることとなりました。
なお、3本線が非常に格好良いデザインで正直なところ欲しくなったのですが、写真をみると華奢な私にはミスマッチであったため、購入は断念させて頂きました。
ジャケットは限定品で直ぐに売り切れてしまったようですが、コラボ商品として今度はパーカーの販売も予定されているようですので、公式サイトをご確認ください。
出演者
ゲーム制作関係者
河野一聡(エースコンバットシリーズ ブランドディレクター)
小林啓樹(コンポーザー)
演奏者
志村健一(指揮)
東京室内管弦楽団(オーケストラ)
東京混声合唱団(コーラス)
ゲスト出演者
盛田麻央(ソプラノ)
ゲーム制作関係者
当日は河野一聡さんと小林啓樹さんがMCも行う形でコンサートが進行していきました。
河野一聡さんはエースコンバットシリーズという大きなブランドを背負って、様々な仕事をされておりますが、当然ながらコンサート開催においても例外なく中心的な役割を担っていらっしゃいました。
MCの中でご本人から多くのお話を聞くことができましたが、リーダーとして持つ野心や厳しさだけでなく、どこか謙虚さや繊細さも持ち合わせていらっしゃる一面も垣間見えたのが印象的でした。
シリーズファンの声にもよく耳を傾けてくださっているのもよく分かります。
コンポーザー陣からは小林啓樹さんがステージに立たれました。
他のコンポーザー陣も客席後方から見守っていらっしゃいましたが、代表して登壇されました。
小林さんは、これだけ多くの人の心を動かす音楽を作成されてきていますが、ご本人の感覚としてはあくまでもゲーム要素の1つとしての音楽を作成されている感覚のようです。
音楽そのものだけでなく、ゲーム全体に目を向けているクリエーターなのだなというのが新しい発見でした。
そのためか、河野さん同様、どこか謙虚さが垣間見えました。
演奏者
ゲーム音楽界においては、初のアマチュアオーケストラ団体であるリトルジャックオーケストラの指揮者として、あるいは、ゲーム音楽専門のプロオーケストラ団体のGame Symphony Japanの指揮者としても有名な志村健一さんが指揮台に立たれました。
ゲーム音楽の指揮に精通されているので、初のコンサートを主する側としても大変心強かった様子でした。
演奏されたのは東京室内管弦楽団で、おそらく私はこちらの団体の演奏は初めて聴く機会となりました。
会場が狭かったのは舞台上も同様であったため、フルオーケストラとはいかなかったものの、迫力のある演奏を聴かせて頂くことができました。
そして、エースコンバットシリーズの楽曲には欠かせないピースの一つであるコーラスと言う重役を担われましたのが東京混声合唱団でした。
特にアンコールでは大活躍で、会場中の人々に大きな余韻を残しました。
ゲストとしてヴォーカル曲を歌い上げた盛田麻央さんは、ゲーム中のエンディング曲を歌われてたご本人で、正しくスペシャルなゲストでした。
楽曲の前にそのような情報のご紹介がありませんでしたが、聴きながら「この方、ご本人だ!」というのに気付いて嬉しいサプライズとなりました。
こうしたクラシカルなヴォーカルを聴けるというのもゲーム音楽コンサートの醍醐味の一つで、美しいソプラノを存分に堪能することができました。
演目
[ACE COMBAT 7 time 1]
Drag Racer
Long Day
Faceless Soldier
Homeward
Lighthouse
[ACE COMBAT 7 time 2]
Archange
Daredevil
Hush
Epilogue
pensées
[ACE COMBAT 5 time]
First Flight & Rendezvous
15 Years Ago
The Unsung War
[Encore]
ZERO『ACE COMBAT ZERO』より
The Liberation Of Gracemeria 『ACE CONBAT 6』より
最新作『ACE7』の楽曲を中心に全15曲演奏されました。
HPでは”『ACE7』他”となっており、”他”の部分が気になっていたのですが、第3部という形で『ACE5』から5曲、アンコールで『ACE ZERO』と『ACE6』から1曲ずつという構成になりました。
代表曲と呼べそうな楽曲や、人気楽曲は漏らさず入っており、それでいて最新作の楽曲を中心にした絶妙な構成という印象です。
個人的には『ACE04』の楽曲が無いのは残念に感じましたが、『ACE5』の「First Flight」は、『ACE04』の「Blockade」のアレンジ曲ではあります。
とはいえ、中西哲一さんの楽曲も聴きたかったなとは思いました。
コンサートのハイライトはやはりアンコールの「ZERO」でした。
正直なところ、ちょっと前奏部分では何の楽曲だが分かりづらさを感じるアレンジではあったのですが、『ACE COMBAT ZERO』のタイトルが表示された直後の空気感は、特別なものでした。
演奏中にもかかわらず「ありがとー!」と興奮の声を抑えられない人が居たくらい、どっと会場が湧きました。
この瞬間はファンだけでなく、河野さん小林さんら制作陣も含め胸を打たれるものがあったのではないでしょうか。
この一瞬だけで来場できて良かったと心底思えましたし、これならまたコンサートの機会が必ず訪れるという確信も抱くことができました。
まとめ
楽つシリーズ初のコンサートでしたが、ゲーム音楽のイベントの良い部分というのがしっかりと出たコンサートで大成功だったと思います。
制作者であったり、ファンであったり、1つのシリーズ作品への様々な角度からの情熱が集結して素晴らしい空間になりました。
今回はまだプロジェクトの初期段階と言うところで、今後への展開というところで考えさせられる点は私個人としてもありました。
会場の規模の小ささというのは、参加したくても出来なかった多くのファンが居るのは事実ですし、運よく参加できてもフラットな場所に椅子を並べることになったため、前があまり見えなかった方も多かったと思います。
オーケストラの規模もエースコンバットの楽曲を考えるとフルオーケストラであるに越したことは無いとも思ったのも率直な感想です。
とはいえ、制作者サイドの情熱を大いに感じられましたし、コンサート展開の今後への期待は益々高まるばかりです。
2020年は残念なことに感染症の蔓延のため企画はあったとのことでしたが、発表にすら至りませんでしたが、それでもいつかコンサートが開催される機会があることを期待しております。
次回のコンサートではまた素晴らしい空間を私自身も含め作っていきたいと思っております。
その日を楽しみに待っていようと思います。