クロノクロスライブから広がった世界。そこには新世代の風を感じさせる魅惑のアルバムが!
エドガー・サリヴァン:佐々木萌、坂本遥(クロノクロスライブ出演者)
『クロノ・クロス』20周年記念ライブツアーに出演されたアーティストのCDのレビューをしていきます。
第一弾は、ギターリストとして出演された坂本遥さんをもっと知りたい!
というわけで、エドガー・サリヴァンの「NEWS」を聴いてみました。
目次
「エドガー・サリヴァン」とは?
まず、メンバーをご紹介します。
エドガー・サリバンのメンバーですが、以前はベーシストも所属していたようですが、現在は2名となっております。
佐々木萌:ヴォーカル、キーボード、ギター、作詞作曲編曲
坂本遥:ギター、ベース、コーラス、作詞作曲編曲
2名ではありますが、打楽器以外は揃っちゃってますね。
現在のバンドマンはこのように複数の楽器を扱えるような人も多いのでしょうか。
むしろ、メンバーは少ないことでやったことの無いことにもトライしてみる、そして気付けば音楽的な幅をもたらし、成長しているという好循環もあるかもしれません。
クロノクロスライブを観た人なら、坂本遥さんのベースに何やら心当たりのあるがあるのではないでしょうか。
ええ、そうです。
クロノクロスライブのソロ回しで、少しだけですが披露されていましたね。
小栢さんの背中に貼り付いてベースを弾くという、パフォーマンスをされていました。
ライブで観たときは「お、ベース弾いてる!」と思ったのですが、
元々ベースも弾けるような方だったわけですね、という発見がありました。
坂本さんは作詞作曲もされるとのことですが、少なくてもこのアルバムではその中心は佐々木さんの方でした。
佐々木さんは元々シンガーソングライターとして活動されていたようなので、自然な流れではあります。
女性のシンガーソングライターを中心にバンドが組まれるケースというのは、あまり多くは無い印象なので、そういった観点でも興味が湧いてくるバンドです。
アルバムの全体像
このアルバムが「エドガー・サリヴァン」にとってのメジャーデビューアルバムです。
「クロノクロスライブ」と「ゼノギアスコンサート」での坂本さんしか知らないので、坂本さんの所属されているバンドのイメージはロック色の強いバンドであると勝手に想像していました。
しかし、このアルバムを聴いてみますと、むしろポップス寄りに感じられました。
はっきり言ってしまえば、親しみやすい曲ばかりです。
苦手な人は、ほとんど居なそうなくらいに親しみやすいです。
第一印象はむしろ、明るさや爽やかさえ伴っているようにも思えます。
かと言って、他に聴いたことがある感じかというと、何かが違うんですよね。
まず最初に浮かんだのは、やたら耳に残るという点です。
あまり音域の幅が広くないところで、似たような旋律を繰り返し持ってきたりすることがあるので、かなり耳に残ります。
それに加えて、各曲を決定的に印象付けるような、格好良かったり洒落たりしているフレーズがそれぞれにあるので、そこに気付くとまた印象が変わってきます。
歌詞は現代の若者的な表現が多く、造語のようなものも出てきます。
解釈が難解なのですが、詞の持つ雰囲気や響きを重視しているのが伺えます。
新世代の歌詞を感じさせます。
主旋律はシンプルなようで、意外な動きもします。
しかし、それが心地良いというところに、ただ者じゃない感を覚えます。
以上がこのバンドの特徴なのかなと感じさせました。
アレンジは趣向を凝らしており、シンプルなバンドサウンドばかりではありません。
坂本さんのギターが全面的に出てきているような感じなのかと勝手に想像していましたが、むしろギターサウンドをあまり感じさせない曲もあったりします。
このような点においては、「エドガー・サリヴァン」というバンドの実態がうまく掴めないなという印象ももたらしました。
収録曲
1.今夜ステキになって (作詞作曲:佐々木萌)
2.Cry Me (作詞作曲:佐々木萌)
3.WONDERFUL WONDER (作詞作曲:佐々木萌)
4.MILK (50%) (作詞作曲:佐々木萌)
5.Hello (作詞:佐々木萌 作曲:佐々木萌、坂本遥)
1.今夜ステキになって
まず、タイトルのセンスがヤバいですね。
これだけで、やられる人も多いのではないでしょうか?
”ステキ”をカタカナにして見栄えも良いですし、響きも良いですね。
今夜ステキになって ネオンを縫って 繰り出したいのさ
サビの歌い出しがこれですから、もう最高ですね。
私自身も作詞をしたことがあるから思うのですが、正直、何か深い意味があるわけではないとは思うのです。
”なって” ”縫って” と韻を踏んでますが、これはメロディーに合わせた響きをを重視したことで生まれた詞だとは思います。
しかし、そういう背景が仮にあったとしても、”ネオンを縫う”とかいう表現が出てきてしまうのは天才的だなと唖然とさせられました。
この曲の歌詞は難解なのですが、全体を通して、個人的にどうにか意味を見出そうとしたところ、結論はこういうことになりました。
「この世界を二人だけのものにしよう!」
私も若かりし頃の恋を思い出しましたよ。
若者らしい、エネルギッシュで勢いのある素晴らしい曲だと感じます。
メジャーデビューアルバムの1曲に相応しい、お二人の勢いを表したような最高の楽曲だと思います。
2.Cry Me
一人称が”僕”で、佐々木さん本人の体験を元にしたというよりは、自身で想像された人物の想いを表出したような曲に思えます。
それって凄く難しいことなのですが…
この曲も若かりし頃を思い出します。
誰かをいつか僕は救えますか?
特にこの箇所ですね。
私も周りとは違う道を選んだタイプなので、共感が出てしまいます。
見事にやられてしまっています。
3.WONDERFUL WONDER
青春の1ページが絵に浮かぶような曲です。
チャイムが鳴ったら逢いにいくね
といったように、具体的な描写を少ないですが効果的に用いて、すぐに絵が浮かぶように作られていますね。
詞の響きの部分では、日本語だけでなく、英語でも構築できるのが佐々木さんの強みですね。
青春の1ページを心地よいリズム、響きで聴けるので、10代の女性に特に聴いて欲しいです。
4.MILK (50%)
この曲は坂本さんのギターを存分に聴くことができます。
すなわち、シンプルなロックバンド編成のアレンジです。
歌詞は比喩を用いているのは分かるのですが、この曲も難解ですね。
しかし、何としてでも曲名、特に(50%)の意味を自分なりに解釈したいところです。
少しのミルクを こんな日々に溶かしたら変わるかな
思春期に感じる謎の退屈さってありますよね。
何かが満たされていない感じ。
その答えが”恋”であると考えたのではないでしょうか。
やはり「恋のドキドキがあってこそ青春が盛り上がる!」みたいなところがあるように思います。
コーヒーに注ぐミルクを誰かへの恋愛感情に例えているのではないでしょうか?
あなたを愛している、それだけが僕にあればきっと 苦い日も色を変えるよ
はんぶんのミルクをあなたにもあげよう
そして自分だけでなく、半分をその恋した相手に注いで一緒に幸せな青春の日々を過ごしましょう、私はそんな風に解釈しました。
5.Hello
坂本さんが作曲に加わっていると、雰囲気が少し変わりますね。
特に変調の感じが今までの曲と異なります。
Hello hello hello hello やっと会えたね この日を迎えて幸せだよ
歌詞は最後の曲らしく、ハッピーな感じですね。
まだ恋が成就していないような曲が続いていたので、ここでスカッと解消される感じがします。
歌詞も他曲に比べてシンプルで、そういった点も最後の曲として良いなと好印象を持ちました。
まとめ
このアルバムは多くの人に聴き易いのでかなりお勧めできます。
他のCDもすぐに聴きたくなることでしょう。
ゲーム音楽ファンのどの層の人に合うかと考えると難しいのですが、普段から邦楽を聴くような方で、キャッチーな曲が好みで、かつクロノクロスライブで出演者に興味を持った方は迷わず聴きましょう!