ドラクエに苦手意識があっても気になり、結局遊んでしまう魅力はどこにあるのか?
2019年9月27日 発売/ スクウェアエニックス
クリア時間:60時間 総プレイ時間:122時間
「ドラゴンクエスト11」は発売以来、ずっと気にはなってはいました。
人気シリーズなので気になるのは当然ではあるのですが、2D3Dの切り替え要素が特に気になり、何度も3DS版を買おうとしたのですが、最後の一歩を踏み出せずにいました。
そのような中で今回、ついに「ドラクエ11」をプレイするきっかけとなりましたのが、昨年末のPSストアやMy Nintendo Storeのセールです。
「せっかくの年末年始だし何かゲームがしたいな」と思い、セールを覗いていたところ「ドラゴンクエスト11S」が目に留まり、「よし、ドラクエ11をやろう!」となったわけです。
しかし、実のところ私はRPGの中でもドラクエシリーズは苦手としており、これまで何作か触れてきてはいたもののほぼ全てのタイトルで挫折し、未クリアのままプレイを終えてしまっておりました。
というわけで、今回の記事では「ドラクエ11S」のクリア後レビュー記事と併せて、ドラクエシリーズの「何に苦手意識があったか?」、そして「それでもプレイしたくなる魅力は何なのか?」というところに着目した記事をまとめてみようと思います。
なお、シリーズの大多数が未クリアであるため、シリーズの核心に迫ることということは当然できないのですが、私みたいに「どうもドラクエが合わない」という人たちに対して、その魅力もお伝えすることでプレイするきっかけになってくれればという思いで書いていこうと思います。
目次
なぜ、このタイミングで「ドラクエ11S」をプレイしようと思ったのか?
そもそも、なぜ私がドラクエに苦手意識があるにもかかわらず、このセールのタイミングで最後の一歩を踏み出せたのかというお話なのですが、その理由はアニメ「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」にありました。
懐かしさから毎週楽しみに視聴しているのですが、ドラクエの呪文とかが出てくる度に「ドラクエ苦手だよな、でも面白いよな」と思いを巡らせ、そこから「やっぱりゲームのドラクエも懐かしいしプレイしてみようかな」という気持ちになってきたのです。
そして、セールで目に留まったことによりプレイする決心がついたといった流れになります。
ドラクエシリーズのプレイ遍歴
私が初めてプレイしたドラクエはファミコンの「ドラクエ4」でした。
それどころか、私が人生で初めてプレイしたRPGがこの「ドラクエ4」だったのです。
しかし、RPG初心者で、かつ幼い私にはとても自力では進めることができませんでした。
よく覚えているのは、当時ピアノを習っていたのですが、そこのピアノの先生がゲーマーだったので「鉄の金庫の取り方が分からない」などと相談して教えてもらったりしていました。
そして、終盤はドラクエ攻略に詳しい3名のクラスメイトを連日代わる代わる家に呼んでは、攻略方法を教えて貰いながらプレイすることで、どうにかクリアしたのを覚えています。
次にプレイしたのはファミコンの「ドラクエ3」でした。
こちらはピアノの先生が貸してくれたのですが、勇者の名前を自分に、その他のキャラクターの名前を「ドラクエ4」の際にお世話になったクラスメイトたちの名前にしたりもしました。
“遊び人”の名前をピアノの先生の名前にしようかと思ったりもしたのですが、そこは踏みとどまりました。
しかし気合が入っていたのはそこまでで、さすがにこれ以上クラスメイト御一行に私のドラクエ攻略の手助けをお願いするわけにもいかず、結局すぐに挫折し先生に返却するに至りました。
その後は「ドラクエ5」を欲しいなとは思ったのですが、誕生日やクリスマスには他のソフトを優先したりで買って貰えるタイミングがなく、攻略本だけ買って「凄いな、自分ならこのモンスターを仲間にしたいな」なんて思いながら読んだりしたのをよく覚えています。
それから長い間、大人になるまでドラクエとは縁が無かったのですが、次にプレイしたドラクエは、その憧れの「ドラクエ5」をプレイしました。
DSリメイク版の発売がプレイする機会となりました。
しかし、嫁選択イベントを終えると何故かそこで満足してしまいプレイを終えてしまいました。
そのまま幸せな結婚生活を続けたい想いが強かったのかもしれません。
ここで迂闊にどのキャラを嫁にしたかを口走ってしまいますと、この先の文章を読んで貰えなくなってしまいそうなので、そこには触れずに次へ行こうと思います。
次にプレイしたのは同じくDS版の「ドラクエ4」を懐かしみながらプレイしました。
これも未クリアなのですが、プレイを止めた理由はある程度進めたところで懐かしさが満たされてしまったからだと思います。
5章が始まったところで、仲間を探すのがちょっと面倒だと感じ、「また今度やろう」とか思いつつもその「今度」が未だに訪れていません。
次にプレイしたのは、3DSの「ドラクエ9」です。
「すれ違い通信」が世間的に盛り上がっており、友人もプレイしていたこともあり、発売から数か月後に購入しました。
その友人に例の地図を貰い、それどころかマルチプレイでメタルキング狩りまで手伝わせ、レベルを上げまくるというチート行為を行い、久々のクリアチャンス到来となりました。
しかし、惜しくも終盤のボス戦で全滅したのをきっかけに嫌になってプレイを止めてしまいました。
これだけ未クリアが続くと「ドラクエは自分には合わないだな」とある種の諦めを感じ、気になっても手に取らない状況がまた長く続くこととなりました。
そして、久々のドラクエが今回プレイした「ドラクエ11S」ということになります。
「ドラクエシリーズ」の何に苦手意識があったのか?
まず間違いなくあるのは「先入観」だと思います。
幼き頃に初めてプレイしたRPGで、その際に感じていた「難しい」という感覚がたくさんのRPGをプレイし大人になってからもどこかに残っているような感覚はあります。
しかし、大人になってから「ドラクエ9」をプレイしていたときに「苦手なのはこれが原因かな?」と思ったものがありました。
それはずばり「戦闘システム」です。
1つは、私がシステムを理解できていない点が大きいのでしょうが、行動順が異なったりして他のコマンド式RPGよりも戦況の予測が立てづらいという点にやりにくさを感じています。
そして、それ以上に私を困らせているのが「運」の要素が大きく絡み、安定したバトルを展開しにくいという点です。
例えば、シリーズ恒例の「会心の一撃」や「痛恨の一撃」という要素が他ゲームの「クリティカルヒット」よりも戦局への影響が大きすぎるように感じています。
更には敵のステータス異常攻撃がどれだけ味方に入ってしまうか、あるいは能力のデバフ(「ルカニ」等)がボスに入ってくれるのか、といったところの影響が他のRPGよりも大きく、不安定なゲームバランスになっているなという印象を持っています。
「戦況の予測が立てづらい」、そして「運」の要素が強くかかわることで戦略性がやや薄くなっているように思い、負けたときの後味が悪く感じることもありました。
実際に「ドラクエ9」で終盤のボスに負けたときには「戦略を立て直してもう一度やってみよう」という気持ちが出てこなかった経験があります。
大部分のプレイヤーはこうした要素も「楽しみに」に繋がっているのでしょうが、個人的にはここが合わないと思わせていました。
なぜ「ドラクエ11S」はクリアできたのか?
こうした戦闘システムは「ドラクエ11」においても変わっていないので、ここが合わない感覚は同様でした。
にもかかわらず、クリアできた理由はもちろん「楽しかったから」です。
ゲーム全体の印象としてはこうしたネガティブ要素をポジティブ要素が上回りました。
というわけで、ここから「ドラクエ11S」のレビューを書いていこうと思いますので、以下にポジティブ要素とネガティブ要素(戦闘システムは上記に書いたのでここでは割愛します)をまとめてみようと思います。
ポジティブ要素
とにかくキャラクター育成が楽しかった。
プレイを楽しめた最大の理由がこちらです。
レベルは思ったよりも苦労せず上がりましたし、レベル上げで得たスキルポイントを使用してスキルパネルを開放していくのは、シンプルではあるかもしれませんが非常に楽しかったです。
ドラクエらしい世界観が楽しかった。
馴染み深いキャラクターデザインや音楽、魔法や装備品の名前、こうした「ドラクエらしさ」というのはやはり最大の魅力なのかなと感じます。
特に魔法や装備品は、物語の進行がどの程度まで進んでいるのかという目安にもなり、ワクワク感を加速させられました。
最強装備をアレコレ考えたり、鍛冶で作成するのが楽しかった。
やり込み的な部分で最も嵌ったのはここでした。
素材集めは少々面倒臭さもありましたが、それでも集めに行って時間が溶けるくらい夢中になりました。
最強装備を揃えてしまった後も全ての装備品を集めたくなり、それ鍛冶で最も完成度の高いものを作りたくなり、止め時が分からず徹夜作業したことすらありました。
こうしたゲーム性はドラクエシリーズでは体感したことが無かったので、シリーズの印象をがらりと変えることとなったように感じています。
「クエスト」によるプレイ時間稼ぎ感はなく、やり込みへの導き方が多彩であった。
個人的に、昨今のRPGに定着している「クエスト」とというものが、プレイ時間の引き伸ばしに感じてしまったり、いわゆる「お使い」に感じてしまったり、とあまり良いイメージを持てないでいます。
本作においてもクエスト自体は存在するのですが、例えそれをプレイしなくても長時間遊べるようになっている点に驚かされました。
実際のところ、クエストは大部分が未クリアの状態でも100時間を裕に超えるプレイ時間となっています。
原因は装備品集めに拠るところがやはり大きいのですが、シナリオのボリュームもあり、1本のゲームで長く遊びたいプレイヤーには打って付けの作品であるように感じました。
シンボルエンカウントが快適だった。
本作をプレイして確信したのは、シンボルエンカウントがいかにランダムエンカウントより快適かということでした。
2Dでのプレイにも惹かれていたので試してはみたのですが、結局はシンボルエンカウントの快適さの部分で一度3Dに戻したらもうそこから変えることはできなくなりました。
戦闘の有無をある程度は自身でコントロールできたり、敵の種類が1種類だけでも分かるのはレベル上げをする上でも敵のパーティバリエーションは多くなかったので、かなりメリットが大きかったです。
ネガティブ要素
戦闘の印象はあまり変わらなかった。
新しい要素は入っているものの、根幹の戦闘バランスは良くも悪くも変わっていないので、上述の個人的に合わない点もそのままでした。
変化というものを求められていないのかもしれませんが、プレイヤーの思い通りにさせない嫌らしさを感じる戦闘バランスなので、新しい世代にどう受け止められるかという点も気になるところです。
シナリオに惹かれない部分があった。
展開に強引さを感じたり、シナリオ上の都合に導かれるように進行する場面もあったので、「先が気になって止まらなくなる」というタイプのシナリオでは無かったです。
「それを良しとするなら、どんな展開でも出来てしまうな」とも感じさせられる場面も幾つかありました。
魅力的なキャラクターが躍動してストーリーを展開して行くというのが物語の理想だと思っているのですが、主人公がしゃべらないことでキャラクター性が捉えにくいのもあり、私好みのシナリオにはなかなか近付いて行かないのかもしれません。
あくまでも個人的な好みの問題なのでしょうが。
楽曲は気になった点も。
ドラクエの音楽と言えばフルオーケストラではあるのですが、音楽の壮大さとグラフィックの間にややミスマッチを覚えました。
楽曲の質の高さは言うまでも無いのですが、一方で「11の楽曲と言えばこれ!」と思わせる楽曲がパッと浮かばないようにも思えました。
これは、旧作の楽曲がかなり多く使用されていた印象もあるので、そういったところで11の楽曲の存在感が薄くなってしまったというのもあるのかもしれません。
レベルMAXの達成感が削がれる要素があった。
これはスキルパネルについてなのですが、レベルがMAXになれば全スキルを獲得できるようになると思い込んでいたら、スキルポイントが足りないようになっていたのが残念でした。
足りない分のスキルポイントを得るには手に入りにくいアイテムが必要となっており、「やり込み」の1つの要素にはなるのかもしれませんが、せっかくレベルがMAXになったのに達成感が削がれ、「どうしてこんな意地悪を…」という残念な気持ちになりました。
やり込み要素は本作の非常に優れた部分ではあると思うのですが、もう少し気持ち良くやれればもっと良かったかなと勿体なく感じました。
まとめ
というわけで、ポジティブ要素とネガティブ要素を書いてみましたが、ネガティブ要素は重箱の隅を突くようなものばかりで、「楽しかった」と思えたのは改めて整理してみても当然のように感じます。
また「苦手意識があるのに何故気になり、結局プレイしてしまうのか」という疑問への答えは、苦手意識があったところでドラクエ特有の世界観、とりわけ馴染み深い魔法や装備品といったものへの魅力は掛け替えのないものがあるため、新作が出る度に気になり、結局遊んでしまうということなのだと思います。
私にとっては初めてプレイしたRPGがドラクエシリーズですし、何だかんだで親しみ易さもあるのだと思います。
9月には「ドラクエ10オフライン」が発売されますが、やはり今から気になっていますし。何ならほとんど情報の無い「ドラクエ12」についても検索してみたり、そんな日々を過ごしています。
「国民的RPG」と言われたりすることもありますが、私だけでなく、多くの日本人にとって馴染み深く、安心して遊べるシリーズなのでしょう。
ドラクエシリーズは今後も廃れることなく、続いて行くものだと思いますので、今後の展開も楽しみにしております。