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レビュー「MOTHER1+2」オリジナルサウンドトラック

投稿日:2020年6月7日 更新日:

原曲の雰囲気はそのままに新しいサウンドに仕上がっているが、受け取り方に賛否あり?

 

コンポーザー:鈴木慶一、田中宏和

アレンジャー:松前公高

「MOTHER」シリーズのサントラレビューはまだまだ続きます。

いったい、いつになったら「PRESS START」2006年公演の演奏曲に関するサントラレビューが終わるのか、2007年は果たして無事にやってくるのかといった様相になってきております。

しかし、今が頑張り時なので、今宵もサントラに向き合っていこうと思います。

CDの全体像

ゲームボーイアドバンスで出された「MOTHER1+2」のサントラという立ち位置CDになります。

オリジナル版の音源に松前公高さんのアレンジが加わっております。

すなわち、「オリジナルサウンドトラック」ではあるけれども、アレンジ盤の側面を持つという、ややこしさを伴っております。

このような形式になったのは、さすがにゲームボーイアドバンスで、特に初代「MOTHER」のピコピコサウンドのままにするのはどうなのか?というところもあったのかもしれません。

さて、そのアレンジがどうかというところが注目されると思うのですが、これは好みがはっきり分かれそうです。

原曲を大きくは崩さず、雰囲気は残しながらも、新しいサウンドを生み出しています。

このような言い方をしますと、ポジティブなのですが、一方では中途半端さも感じてしまう部分もあります。

これは聴くタイミングにもよるのかもしれませんが、少なくとも現在に聴き返してみますと、オリジナル版音源の良さが薄らぎ、かつ新しさもあまり感じられません。

そういった部分でネガティブな印象を持ち易いかもしれません。

ほとんどの曲はシンセサイザーでのアレンジで、サントラ全体としての抑揚が小さく感じられたので、私はちょっと物足りなさを感じてしまいました。

なお、注意点としましてこのCDには重大な誤りがあります。

9トラック目の「The Paradise Line」ですが、なんと曲名と内容が一致していません。

「The Paradise Line」は私の大好きな曲なので、トラックリストをみてこれを楽しみにしていたのですが、実際に聴いてみると異なる曲が収録されていて大変驚きました。

トラック名は「The Paradise Line」ですが、収録内容は「All That I Needed(Was You)」です。

途中で収録内容が変わったとか何か事情がありそうですが、重大な誤りなので注意して頂ければと思います。

トップレート曲

※ 背景色付は☆5 その他は☆4

[MOTHER]

Pollyanna (I Believe In You)

Humoresque Of A Little Dog

Eight Melodies

[MOTHER2]

オネットのテーマ

ツーソンのテーマ

スリークのテーマ

フォーサイド (摩天楼に抱かれて)

エイトメロディーズ

ビコーズ アイ ラブ ユー

スマイル アンド ティアーズ

Pollyanna (I Believe In You)


このアレンジは多くの人が受け入れられるのではないでしょうか。

音色に楽曲の”らしさ”を感じられます。

イントロ部分はやや違和感ありますが、旋律の音色が私の持っている楽曲のイメージと重なっておりました。

やや軽快で弾けるような雰囲気が良いと思います。

Eight Melodies


以前にも言ったことがあるのですが、この曲に関してはむしろ単音でシンプルに聴くのが好きなのですが、このアレンジに関してはシンプルな仕上がりにはなっておりません。

ダイナミクス重視という形ですが、この辺が絶妙な加減になっており、良いアレンジだと感じました。

特に2コーラス目で静かになるのが印象的です。

オネットのテーマ


この楽曲は弦楽器、金管楽器(ホルン?)が非常に良い味を出しており、原曲よりも良いくらいに感じました。

派手さが無く、淡々とした感じが返って心地良いです。

ツーソンのテーマ


この楽曲も主旋律のホルンのような音が非常に心地良いです。

後半のパーカッションも良い具合に曲を盛り上げてくれ、もう1コーラス聴きたくなります。

スリークのテーマ


旋律は淡々としているのですが、後ろのパーカションやアコースティックなギターサウンドのリズムが心地良く感じられ、トップレートにした楽曲です。

そして、その伴奏部分に耳を向けると、全体的なバランスの良さにも気付かされます。

アレンジの奥深さを感じさせるトラックです。

フォーサイド (摩天楼に抱かれて)


この楽曲は何といってもバッキング音の心地良さが際立っています。

主旋律よりも目立つくらいなのですが、それが良いです。

伸びやかな主旋律にキレの良いバッキングという、相反する要素ですが素晴らしくまとまっています。

エイトメロディーズ


旋律も伴奏も単音のシンプルな構成で、メロディアスさが際立った「MOTHER」サウンドらしさを感じ取れます。

そこに、徐々にノイズ音が入ってくるのですが、これもまた”らしさ”を感じます。

「MOTHER」シリーズの楽曲とはいかなるものなのか?というのを知りたければ、このトラックを聞きましょう!と見知らぬ誰かに推奨したくなるトラックです。

ビコーズ アイ ラブ ユー


木管楽器の主旋律ですが、この滑らかさに欠けるプツプツとした音色が心地良いです。

シンプルな伴奏を彩るマンドリンの音も良いアクセントになってます。

スマイル アンド ティアーズ


全体的に収録時間の短い楽曲ばかりなのですが、こちらの楽曲のみ7分超えのボリュームになっています。

楽曲の長さに加え、ストリングスのサウンドが入ってくることにより、楽曲のスケールの大きさを感じます。

最後を飾るに相応しいトラックです。

ベストトラック

Humoresque Of A Little Dog


ベストトラックは迷わずこちらです。

音色といい、曲の構成といい、大変素晴らしく感じられます。

弦楽器の裏打ちのリズムが心地良いのですが、これは実は私の大好物であったりします。

自分自身もそういった演奏をした経験があるからなのですが、身体が自然と反応するような不思議な感覚があります。

リズムだけでなく、主旋律も含め、全てが素晴らしいトラックだと思います。

まとめ

冒頭に言いましたネガティブな印象は、もしかしたら発売当初によく聴いていなかったことの弊害なのかもしれません。

今になって聴くとこのように感じるという部分で、サントラの聴き方というものを改めて考えさせられる1枚となりました。

1枚で2タイトルの厳選された楽曲を楽しめるというところで、手軽に「MOTHER」サウンドを楽しみたいという方にはお勧めしたいです。

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