”Break Side”の意外な一面と”Boost Side”の意外な名脇役
オクトパストラベラーアレンジ盤 第一弾
監修:西木康智
個人的にこのCDジャケットからして好きなのですが…
音楽の話をしましょう。
目次
全体像
1枚のアレンジアルバムに、2つのタイプのアレンジが入っているという珍しい形態の作品となっております。
故に同一曲のアレンジも入っているというなかなか見られない現象も生じております。
前半は”Break Side”としてピアノとバイオリンを中心とした小編成のアコースティックなアレンジ、後半は”Boost Side”としてバンド編成のロックアレンジという構成になっております。
”Break”に”Boost”とオクトパストラベラーの戦闘シーンをモチーフにしているわけです。
とはいえ、これだけを言われてもイメージがしにくいと思いますので、早速曲目を並べてみます。
曲目
1.Break: フロストランド地方
2.Break: 踊子プリムロゼのテーマ
3.Break: 決意
4.Break: 赤き断崖の集落
5.Break: 崖下の村オアウェル
6.Break: ボスバトル2
7.Boost: バトル1
8.Boost: ボスバトル2
9.Boost: 理を司る者
10.Boost: 旅路の果てに立ちはだかる者
11.Boost: 魔神の血を継ぐ者
12.Boost: OCTOPATH TRAVELER -メインテーマ-
各アレンジ6曲ずつの構成になっております。
私も大好きな人気の「ボスバトル2」は両アレンジ収録です。
こうして見ますと、”Break Side”はフィールドや街、キャラクターテーマと比較的穏やかな曲が多く、
”Boost Side”は反対に戦闘曲が多いのは想像通りだと思います。
しかし、実際のアレンジはと言いますと、少々異なります。
例えば「Break: フロストランド地方」では、終盤にピアノは意外な力強さを見せています。
そして、このCDでは何といっても「Break: 赤き断崖の集落」が強烈な印象を残します。
バイオリンのみの編成なのでアコースティックな感じはするのですが、まぁ激しいこと。
荒っぽすぎるようにも聴こえる音のダイナミクスもそうですし、曲の速さも加速していきます。
当然ながら速弾き大会になりますので、各々がテクニックを存分に披露されています。
私はこのトラックが大好きなのですが、賛否は分かれるかもしれません。
もっと静かに聴きたいな、という声も聞こえてきそうです。
しかし、この後の「Break: 崖下の村オアウェル」が対照的に落ち着き過ぎてるくらいに落ち着いている曲になりますので、疲れずに聴いていられます。
なかなか巧く編成されてるなと思いました。
このCDを聴いていて思うのは、次の「Break:ボスバトル2」でもそうなのですが、バイオリンソロの活躍が目立つように思います。
ここ最近のコンサートでもバイオリンソロを聴ける機会が多いので、こういうアレンジが流行っていると考えるのはおかしいですが、私の中ではバイオリンの新境地が開かれている感覚があります。
さて、”Boost Side”についてですが、こちらのサイドでは、やはり「Boost:ボスバトル2」に触れたいです。
原曲よりも大きくテンポアップしているのですが、その疾走感がよいですし、ドラムのリズムの変化の付け方も格好良いです。
ギターの速弾きも聴きごたえがあります。
一方でそれを支えるドラムの安定感が際立っていますので、そこにも着目して聴いてみて欲しいです。
「Boost: OCTOPATH TRAVELER -メインテーマ-」につきましては、
私としても「えっ?こっちサイドに?」と思い、思わず曲目を見返してしまいました。
”Break Side”にも入ってるのでは?と思い見返したら入っていないという、攻めのトラックです。
個人的にはここの主旋律をエレキギターで、というのはちょっと合わないかなと思ってしまいました。
とはいえ、このギターも聴く価値が大いにあります。
伸びやかな主旋律の中でのビブラートの掛け方が素晴らしいです。
凄いな、と思っているところにアルバムが終わるので、余韻も残ります。
まとめ
全体的に賛否のありそうなアレンジ作品ですが、アレンジ的には意外とシンプルな部分があり、原曲を大きく崩さない形の作品となっておりますので聴き易さはあります。
強い変化球を望む人には合わないでしょうが、サントラを好きでたくさん聴いている方に、時々聴いて気分を変えてみるのには良い作品なのではないでしょうか。