ボリュームは少なくとも、大変豪華なアレンジ盤である!
作曲、アレンジ:酒井省吾
作詞:糸井重里 ヴォーカル:大貫妙子
「MOTHER」シリーズも30周年ということで、現在大変な盛り上がりを見せています。
アニバーサリー関連商品が発売されたりしておりますので、それを手にして喜んでいる方の姿を見ると、「MOTHER」とはあまり深い縁があるとは言えないような私としても、なんだか感慨深い気分になってきます。
1つの作品を愛する人たちがこのような機会に、思い思いに商品を手にしたり、作品の思い出を語ったり、イラストを描いたり、そんな姿を見ると非常に心を揺さぶられます。
私も未所持であった「MOTHER3+」というアレンジアルバムを購入しました。
というわけで、勢いに押し戻させるような形ですが、今回は再び「MOTHER」のCDレビューをしてみます。
ちなみに、私は「MOTHER3i」が配信版のみだったので、こちらもiTunes版を購入したのですが、こちらに関しては私の思い込みで、CDの方も発売されておりました。
同じ思い込みをする方は少ないでしょうが、一応情報として書かせて頂きます。
CDの全体像
全11曲、収録時間は33分という短めのアルバムとなっております(短い故に繰り返し聴けたので、早期にレビュー記事を書くことになりました)。
「MOTHER3」のテーマ曲とも言える「愛のテーマ」に糸井重里さんが作詞され、大貫妙子さんが歌った楽曲が冒頭を飾ります。
そして、ゲーム中に出てきた「D.C.M.C.」というバンドの楽曲をクレイジーケンバンドのメンバーが演奏された楽曲が収録されている他、「MOTHER3」を象徴するような楽曲を選んで酒井省吾さんがアレンジされた楽曲で構成されております。
短いアルバムではありますが、上記のように大貫妙子さん、クレイジーケンバンド、酒井省吾さん、そして原曲の部分で鈴木慶一さん、田中宏和さんと層々たる面々が関わって作成されている豪華なアルバムと言えます。
各楽曲のレビュー
We miss you ~愛のテーマ~
「愛」というよりも、なんだか孤独感のようなものが前面に浮かび上がり、暗い印象を持ちます。
大貫妙子さんの歌い方も、流れるような感じではなく、じっくりと噛みしめるような歌い方なので、なんだか一言一言の重みを感じます。
むしろ、そこがこの楽曲の良さなのかもしれません。
歌詞はゲームシナリオにもリンクするような内容になっているようです。
しかも、糸井重里さんが作詞と言うことで、これは歌詞考察!といきたいところですが、ゲームを未プレイではどうしようもありません。
WiiU版をプレイしようかと、やはり考えてしまいます。
D.C.M.C.のテーマ
非常に耳に残り、さっきから頭の中で再生され続けています。
馴染み易く、聴き易いアレンジで、バンドの個々の音がどれも印象に残ります。
キーボードの主旋律、そこに被さってくる金管系、さらに畳み掛けてくるエレキギターと、楽曲構成の素晴らしさも感じます。
酒井さんの旋律が鮮やかに花開いているような素晴らしい楽曲だと思います。
おえらいさんのテーマ
「LOG-O-TYPE」のバンドアレンジ曲といったといころでしょうか。
原曲の旋律が非常に好きなので、それだけで繰り返し聴きたくなるのですが、これまたアレンジの素晴らしさも感じます。
リズム的な抑揚が効いていて心地良いです。
ちょっとジャズっぽくなったり、ブルースっぽくなったり表情豊かな楽曲で大変気に入っております。
16メロディーズ(はじまり)
「MOTHER」と「MOTEHR2」の「エイトメロディーズ」を足して「16メロディーズ」になっています。
どちらも美しい旋律ですが、合わせて来られると太刀打ちできません。
何と闘っているのかよく分かりませんが、一方的に打ちのめされるような感覚を覚えます。
なお、「PRESS START」2006年公演では2つの「エイトメロディーズ」が立て続けに演奏されております。
現場に居たら大変なことになってそうです。
MOTHER3 ~愛のテーマ~
ヴォーカルアレンジも良いですが、原曲がインストゥルメンタルのせいか、正直こちらの方がよりグッと来るものがありました。
このアレンジではピアノのバッキングが特に痺れます。
にしても、「MOTHER」シリーズらしい美しさを持った旋律の楽曲だなと思います。
コンポーザーが変わっても、これ程までに「MOTHER」らしさが出ていることも素晴らしいと思います。
なお、こちらも「PRESS START」2006年公演の演奏曲です。
うーん、これも聴きたかったです。
まとめ
豪華でアレンジも良く、非常に楽しめたアレンジ盤でした。
しかし、「MOTHER3」の世界をもっと感じ取りたい人にとっては、物足りなさも覚えるとは思います。
そういった意味でも、オリジナル音源を欲している人は少なく無いのではないでしょうか?
私としては、せっかくの30周年というタイミングなので、これを機会に「MOTHER」シリーズのオリジナル音源を集めたサントラが出ないかな?と願わずにはいられません。
更に言えば「PRESS START」の音源もボーナストラックで収録しちゃいましょう!
無謀にも思えることですが、声はしっかり上げておきたいです。
プレスタ音源はともかく、少なくともオリジナルサントラにつきましては、より「MOTHER」シリーズを盛り上げていくために必要なものであるように私は思います。
せっかくの素晴らしい音楽を埋めておくのは勿体ないです。
最後に話を戻しますと、このアレンジ盤もまだ聴いたことの無いファンの方がいたら、30周年という機会に是非聴いてみて貰いたい作品です。
多くの作品に触れてみて「MOTHER」の世界を思い起こしてみてはいかがでしょうか。