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レビュー「MOTHER」サウンドトラック

投稿日:2020年5月20日 更新日:

「MOTHER」の楽曲は、やはりヴォーカルアレンジがナチュラル!

コンポーザー:鈴木慶一、田中宏和

ゲームのプレイ状況:未プレイ、プレイ実況動画を視聴のみ。

※ 追記 2020年7月にゲームクリア 

「PRESS START」2006年公演で演目に入った「MOTHER」シリーズのサントラをレビューしていきます。

まずは初代「MOTER」の楽曲が収録されたこちらのCDをご紹介しますが、注意点がございます。

一般的に「サントラ」と聴いてイメージする、ゲーム音源が忠実に収録されたCDは発売されておりません。

特殊な形態となっており、正直なところレビューする際も混乱を招き易く、難しい部分がありますので、慎重に進めたいと思います。

なお、私が所持しているのは再販版で内容が初版とは弱冠異なります。

「MOTHER」シリーズと私

「MOTHER」と言えば、私は2でその存在を知りました。

有名なテレビCMで木村拓哉さんが「マーザーツー マーザツー♪」と歌う例の印象的なCMで、少年時代の私も例外なく口ずさんでたわけです。

その「MOTHER2」は同級生がプレイしていて絶賛していたのをよく覚えています。

私は当時ゲームを買ってもらえるのは年に2本くらいで、発売のタイミング的にも誕生日やクリスマス、正月全てが遠かったので、気になりながらも購入に至りませんでした。

今思えば、その同級生に借りれば良かったのかもしれませんが、ゲームの貸し借りはトラブルになりそうで私は好きじゃなかったので、少年時代にプレイ機会はありませんでした。

しかし、気になていた証拠に4コマ漫画劇場は持っており、全く意味が分からないのに繰り返し読んだりしていました。

そして、時を越え遂にプレイ機会が訪れました。

ゲームボーイアドバンス「MOTHER1+2」が発売されたのです。

そして、それを友人が貸してくれました。

借りるんかい!

というツッコミは程ほどにしまして、もっと大きなツッコミポイントがあります。

2しかやりませんでした…

「借りてるのだから早く返さなきゃ!」という気持ちが働いているのもあったのですが、「MOTHER」といえば私にとっては2で、初代の方は当時自分の中で気になる存在では無かったのです。

友人は「初代も名作だからやれと」と、今思えばグッジョブな進言してくれたのですが、それでも返してしまいました。

こんな昔のことを鮮明に覚えているというのは、今でも後悔が残っているから、ということになります。

それから更に時が過ぎ、ゲーム音楽が好きになりますと、名作なだけに当然「MOTEHER」シリーズの音楽に触れる機会が訪れるわけです。

「PRESS START」2010年公演です。

2006年公演は全ナンバリングから楽曲が選定されたメドレーでしたが、2010年公演では初代の楽曲のみのメドレーが演奏されました。

これで初代に興味を持つに至りましたが、ゲームプレイが環境的に難しかったので、実況プレイ動画を見ました。

しかし、2010年と言いますと結構前の話で、内容を現在覚えているかと言うと非常に厳しいです。

自分でプレイしていればもう少し記憶に残っていたのかもしれませんが。

というわけで、このレビュー記事を書くために全部ではありませんが、再視聴させて頂きました。

当時視聴した動画が幸運にもPCのブックマークに残っており、削除もされていなかったため、ありがたかったです。

「MOTHER」というゲームの感想

ここで簡単にゲームの方の感想を書かせて頂きます。

ファミコンゲームということでボリューム不足や、ゲームシステムの不親切さを覚える部分はあるのですが、それでも名作だと感じさせます。

言うまでもなく良い音楽の話は後述しますが、アメリカンチックな唯一無二の世界観であったり、糸井重里節とでも言えるような独特な台詞回しだったり、街の名付けだったり、個性的なキャラクター(特に敵キャラクター)だったりが非常に魅力的です。

こういったユニークさというのは現代のゲーム業界においても、多くのことを学べるのではないかと思うほど、強烈なインパクトを感じました。

コンポーザー

前置きが長くなりましたが、いよいよ音楽の話をしていきます。

まずは、コンポーザーをご紹介します。

鈴木慶一


ゲーム音楽に関わったのは「MOTHER」シリーズがほとんどで、ゲーム音楽しか聴かない人には、著名人という印象は少ないかもしれません。

しかし、アーティストへのCMだったり映画だったりと大活躍されています。

「日本アカデミー賞の最優秀音楽賞」の受賞者という輝かしい経歴をお伝えすれば、いかに著名人かが理解しやすいです。

田中宏和


任天堂のゲーム音楽作曲家で、特にファミコン時代の多くのタイトルを手掛けています。

例えば、私が愛して止まない「光神話 パルテナの鏡」の楽曲も田中さんの作曲です。

また、有名なTVアニメポケモンの主題歌「めざせポケモンマスター」の作曲者でもあります。

このように、幅広く第一線で活躍されている鈴木慶一さんと、ファミコン音源に精通している田中宏和さんの共作ということだけでも、MOTHERの音楽の凄みを感じさせられます。

CDの全体像

音楽の特徴として、ヴォーカル曲のような口ずさみたくなる旋律の曲というのが大変ユニークで、MOTHERの世界を見事に彩っております。

そしてこちらの作品は、初代「MOTHER」のヴォーカルアレンジを中心に収録されたアレンジ盤になっておりますので、どこか必然性を感じる部分があります。

アレンジ盤ですので、収録されている楽曲は全12曲と大変少なくなっております。

しかし、ゲーム音源も全く収録されていないわけではなく、「The World Of Mother」というトラック名で一部楽曲が短いメドレー形式で収録されています。

ヴォーカルアレンジだけでなく、インストゥルメンタルのアレンジ楽曲も2曲収録されています。

このように全体の構成が複雑になっておりますが、それでも作品としのバラつきを感じるわけもはなく、サントラというよりも1つのアレンジアルバムとして高い完成度を感じさせます。

その質の高さから、ファンも多いCDだと私は認識しております。

収録曲

1.Pollyanna (I Believe In You)

2.Bein’ Friends

3.The Paradise Line

4.Magicant

5.Wisdom Of The World

6.Flying Man

7.Snow Man

8.All That I Needed (Was You)

9.Fallin’ Love, And

10.  Eight Melodies

11.  The World Of Mother (Extended Version)

12.  Smiles And Tears (Demo Track)

各楽曲のレビュー

1.Pollyanna (I Believe In You) 


フィールド曲のヴォーカルアレンジです。

パーティが主人公1人で移動するときはこちらの曲が使用されます。

イントロがいかにも1曲目、という盛り上げ方があり、ワクワクさせられるます。

やはりヴォーカルアレンジというのが非常にナチュラルな曲だなと感じさせます。

個人的には日本語歌詞でも聴いてみたいな楽曲です。

2.Bein’ Friends


同じくフィールド曲のヴォーカルアレンジですが、こちらはパーティが複数人居る際に使用されています。

前トラックよりもややテンポが速く、メロディアスな中にもノリの良さを感じます。

アレンジはやや癖のある展開があり、揺さぶられるものがあります。

3.The Paradise Line


パラダイス鉄道による移動時の楽曲をヴォーカルアレンジしたものです。

実はオリジナルサウンドトラックが出ていたら、こちらの原曲をベストトラックに挙げていたと思います。

特に好きなのが小刻みな旋律の部分なのですが、残念ながらこちらのヴォーカルアレンジではその部分が変わってしまっているので、ちょっと残念に思ってしまったトラックです。

4.Magicant


マジカントの国で使用される楽曲のインストゥルメンタルアレンジです。

原曲は好き!というよりも凄い!の方が勝る楽曲です。

幻想的で不気味で神秘的な雰囲気が凄いです。

こちらのアレンジでは更にそれらが増長されている印象で、聴けば聴くほど癖になります。

曲の展開と言い、音色と言い、素晴らしいものがあります。

アレンジャーもとんでもない人だなと思わせました。

5.Wisdom Of The World


クイーンマリー城の楽曲ということですが、ゲームでは未収録曲です。

原曲も存在するのでしょうか。

比較ができないということもあり、是非聴いてみたいです。

6.Flying Man


フライイングマンのテーマ曲のようですが、こちらもゲーム未収録曲です。

実はこのCDでは最も気に入っている楽曲です。

「ラーラララーラ♪」のところがたまらなく好きです。

これも原曲あるなら聴きたいです。

7.Snow Man


スノーマンの街で使用される楽曲のインストルメンタルアレンジです。

原曲は吹雪いていそうな雰囲気で、白い街並みに高い融合性を感じます。

こちらのアレンジでは曲の後半部分が印象的で、雪解けのような景観が目に浮かびました。

8.All That I Needed (Was You)


ライブハウスでのイベント曲です。

3人が踊る姿が目に浮かびます。

印象的なシーンの1つなので、楽曲も印象に残ります。

こちらのアレンジではイントロ部分が好きです。

9.Fallin’ Love, And


イベントシーンのインストゥルメンタルアレンジ曲です。

女性キャラクターとダンスを踊る、ちょっとドキドキする印象的なシーンで使用されています。

こちらのアレンジではバッキングが大変複雑に鳴り響くのが印象的ですが、それがピタッと止まり、伸びやかな主旋律が響く箇所が素敵だなと思いました。

10.  Eight Melodies


この楽曲そのものがシナリオに深く関わる重要曲ですね。

音楽の教科書に載ったのが話題になりました。

なんとも言えない暖かみがあります。

何より凄いなと思いますのが、単音で聴いてもその奥に壮大なものを感じさせられ、鳥肌が立ってしまうことです。

こちらのアレンジではヴォーカルアレンジになっていますが、少年少女の合唱団(もしかしたら少年だけ?)による歌唱で、それがまた独特な感動を覚えます。

11.  The World Of Mother (Extended Version)


ゲーム音源のメドレー形式となっています。

初版と再版盤で内容が少し異なるようです。

聴けるだけでもありがたいのですが、メドレーでなく1曲1曲を数ループずつ聴きたいなという想いはどうしても込み上げてしまいます。

いつか、そのような機会が訪れるかもしれませんので首を長くして待っています。

12.  Smiles And Tears (Demo Track)


2の楽曲です。

再版盤だけに収録されています。

こちらも鳥肌が立つような旋律で、「MOTHER」シリーズの音楽だなと感じさせます。

まとめ

アレンジ盤として気に入っていますが、これもやはりゲームの世界観を理解した上で聴く必要性があるCDではあるなと感じました。

正直なところ、ちょっと一癖はあるかなと思います。

個人的にはヴォーカルの声質がしばらくの間ちょっと違和感があり、聴き込むうちに「この声でこそ良いんだ!」と思うようになりました。

なので、合わないなと感じた人でも繰り返し聴いてみて欲しいアレンジ盤だと感じております。

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