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レビュー「MOTHER MUSIC REVISITED」

投稿日:2021年2月3日 更新日:

丁寧に計算されたアレンジを堪能すべし!鈴木慶一さんのヴォーカルにも注目!

2021年 1月27日リリース

鈴木慶一50周年記念作品 

今回は、つい先日リリースされたばかりの話題作、「MOTHER MUSIC REVISITED」をご紹介します。

私が購入したのはCD2枚組のデラックス盤になりますが、今回の記事ではひとまず特典ディスクは除外し、アレンジ盤としてのレビュー記事を書かせて頂こうと思います。

アレンジ盤の概要

全10曲収録されております。

鈴木慶一さんが初代『MOTEHR』の楽曲をセルフカバーされ、自らキーボード、エレキギター、さらにはメインヴォーカルにコーラスをも担う形でアレンジされています。

まさしくアニーバーサル作品といった様相です。

ただし、収録楽曲は鈴木慶一さんの作曲された楽曲のみではなく、田中宏和さんの楽曲も含まれておりますし。

以前にもヴォーカルアレンジを中心としたアレンジ盤が、「MOTHER サウンドトラック」として発売されております。

なんと収録楽曲もトラック順も共通しているのですが、アレンジとしてはそちらの作品とは大きく異なっております。

違いとして感じる要素はやはりヴォーカルによるものです。

前作では女性ボーカルの楽曲が多かったため、今作では想像以上に新鮮な感覚で楽曲を楽しむことができました。

しかしながら、今作のアレンジに関しては賛否が分かれるところかもしれません。

個人的に感じたネガティブな要素としましては、全体的なダイナミクスの薄さです。

上品で落ち着いたアレンジにも感じられるのですが、どこか淡々としてしまっているような印象を持ってしまいました。

しかし、繰り返し聴いていくと味わい深さを感じさせられる部分もあり、その辺りは流石だなとも思わせます。

なお、「SNOW MAN」のアレンジに関しては上記プロモーション動画のアレンジとは全く異なる内容になっておりますので、要注意となっております。

収録曲

1.POLLYANNA (I BELIEVE IN YOU)

2.BEIN’ FRIENDS

3.THE PARADISE LINE

4.MAGICANT (INST.)

5.WISDOM OF THE WORLD

6.FLYING MAN

7.SNOW MAN (INST.)

8.ALL THAT I NEEDED (WAS YOU)

9.FALLIN’ LOVE, AND (INST.)

10.  EIGHT MELODIES

1.POLLYANNA (I BELIEVE IN YOU)


華やかさという部分ではオープニング楽曲らしさには欠けるのですが、コーラスが非常に丁寧に重ねされており、そこにアレンジへのこだわりを感じることができました。

地味な部分ですが、バリトンサックスのロングトーンが印象的です。

個人的には最後の女性コーラスの部分の歌唱方法や声質が可愛らしくて良いなと思いました。

2.BEIN’ FRIENDS


このトラックで印象的なのは鈴木慶一さん自ら演奏されているエレキギターです。

メインヴォーカルにも音が被さり、一部ユニゾンとなっている部分もあり、強く主張されています。

ちょっと重い、気怠さのあるアレンジかなと感じました。

3.THE PARADISE LINE


こちらの楽曲はちょっと驚きました。

とにかくヴォーカルが印象的なのですが、なんと鈴木慶一さんがオクターブで低音域、高音域の両方を歌われているようです。

他にヴォーカリストの名前の記載がないので、高音域のパワフルなヴォーカルも担っているというのが、ご年齢を感じさせず、大変失礼ながら素直に驚かされました。

今回のアレンジ盤の聴きどころの1つだと思います。

4.MAGICANT (INST.)


曲名の通り、インストゥルメンタルの楽曲です。

前作同様ヴォーカルなしのアレンジとなりました。

アレンジや演奏に鈴木慶一さんの名前はなく、権藤知彦さんの名前のみがスタッフクレジットに記載されています。

素直なアレンジという印象で、マジカントの神秘さと奇妙さが失われていないません。

そういう意味では安心して聴けるトラックと言えそうです。

5.WISDOM OF THE WORLD


イントロ部分が『MOTHER』の楽曲とは思えないくらい意外な仕上がりになっていますが、ヴォーカルが入ると急に『MOTHER』サウンドになるなと感じました。

前半はピアノ中心のアレンジという印象ですが、そのピアノの音の数は少なく、最低限なものになっています。

そこにやはり丁寧なアレンジという印象を抱きます。

後半のドラムも無駄のなさを感じさせます。

6.FLYING MAN


リズミカルな楽しさを感じられる楽曲で、アルバム全体の構成上、ある種のアクセントになっています。

そういう意味では重要な立ち位置の楽曲に感じます。

もちろんアレンジ自体は良いのですが、全体として考えたときには「この楽曲にもっと派手さがあればな」とも感じてしまいました。

7.SNOW MAN (INST.)


こちらのインストゥルメンタル楽曲にも鈴木慶一さんの名前はありません。

リズムとしての心地良さを削り取り、かつ旋律の美しさの印象も薄くなっているので、結構攻めたアレンジだなという印象です。

幻想的な雰囲気が強く、まるでスノーマンがマジカントになったかのようです。

8.ALL THAT I NEEDED (WAS YOU)


エコーを多用したり、機械的なサウンドを感じさせるアレンジです。

元の楽曲にポップさがあるのですが、ヴォーカルが低音域なのも含めちょっと硬さも感じられます。

すなわち、ポップさは残りつつも硬さも感じられるというところで、個人的には違和感も覚えました。

9.FALLIN’ LOVE, AND (INST.)


同じく鈴木慶一さんの名前がないインストゥルメンタル曲です。

徐々に音に厚みが加わっていくタイプの楽曲ですが、個人的には終盤にもっともっと厚みを加えてダイナミクスを効かせて欲しかったなとも思いました。

10.  EIGHT MELODIES


男性ヴォーカルの「エイトメロディーズ」が実に新鮮で、最初聴いたとき「おっ!」となりました。

鈴木慶一さん自らメインヴォーカルをされていますが、意外と男性ヴォーカルも嵌まっております。

メインヴォーカルの声質とコーラスとの相性も含め、非常に良いです。

そして、改めて旋律の凄みを感じさせられました。

大人が歌っても、子供が歌っても、おねえさんが歌っても、この美しい旋律は色褪せないのではないでしょうか。

まとめ

改めて1曲1曲をじっくり聞いてみますと、きめ細かく計算され丁寧にアレンジされているのがよく分かるアルバムです。

そこにアニバーサル作品に相応しい情熱も感じ取ることができました。

しかし、アルバム全体として聴いたときの物足りなさというのはどうしても感じてしまうところがあり賛否が分かれそうです。

個人的には、それは抑揚の少なさに起因しているようにも感じました。

音の強弱だったり、厚みの変化だったり、そういったところは個人的には欲しかったかなとも思います。

最も注目すべき点は鈴木慶一さんのヴォーカルでしょうか。

当然ながらただ歌っているわけではなく、様々な計算のもとテクニカルな歌唱をされたりしております。

短いアルバムなのでもう発売後間もないにも関わらず既に7回ほど聴いているのですが、聴いた後に余韻として残り、「もう1度聴こう」と思うのはこのヴォーカルに含め、丁寧に計算されたアレンジに徐々に気づくというところが大きいからだと思います。

なので、第一印象として物足りなさを感じたとしてもぜひ繰り返し聴いて頂きたいと思います。

※DELAX盤のゲームオリジナル音源のレビュー記事はこちらです。

 

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