絶妙なトラック並びとアレンジで、非常に聴き易いピアノアレンジ盤!
ピアノ:本田聖嗣 編曲:浜口史郎
FF7のピアノアレンジです。
シリーズ恒例の定番アレンジで、聴き易いアレンジに仕上がっています。
目次
7年間の空白
定番アレンジと言いましたが、意外にもFF7はピアノコレクションがなかなか発売されず、発売はなんと2004年でした。
ゲームの発売が1997年ですので、7年の時を経て発売されたことになります。
おそらく、映像作品である「FF7アドベントチルドレン」(以下、FF7AC)が翌2005年に発売されましたが、こちらの開発が背景にあるのではないでしょうか。
アドベントチルドレンでもこのピアノコレクションの楽曲が使用されています。
憶測ですが、開発のためにアレンジ曲を制作していく流れの中で「そういえばピアノコレクション出してなかったね」ということになったのかもしれません。
CDの全体像
実のところ、私はこのCDによってFF7の楽曲の印象が少し変わりました。
「FF7の楽曲って思ってた以上に美しかったんんだな」というのがファーストインプレッションです。
裏を返せば、オリジナル音源では美しさが出しにくいと言いますか、電子音だとその辺りが難しかったのかなという風にも思ってしまいました。
ピアニストは本田聖嗣さんです。
ピアノの印象としては無知である故にあまり語れないのですが、柔らかなタッチが特徴なのかな?という印象は持ちました。
しっとりとした曲はもちろんですが、戦闘曲にもどこか繊細さを覚えます。
編曲は浜口史郎さんです。
FFコンサート等のオーケストラアレンジでのご活躍の印象が強かったのですが、ピアノアレンジでも素晴らしい編曲をされています。
浜口さんの編曲の印象は「原曲のイメージを壊さないよう、なるべく忠実にアレンジする傾向にあるのかな?」と感じています。
オーケストラアレンジ同様、ピアノソロに馴染みのない初心者の方でも聴き易い作品に仕上がっています。
収録曲
1.ティファのテーマ
2.F.F.VIIメインテーマ
3.シンコ・デ・チョコボ
4.旅の途中で
5.闘う者達
6.星降る峡谷
7.ゴールドソーサー
8.牧場の少年
9.ルーファウス歓迎式典
10. J-E-N-O-V-A
11. エアリスのテーマ
12. 片翼の天使
13. 忍びの末裔
1.ティファのテーマ
オープニングタイトルっぽさが無いのに、この曲が1曲目というのは驚きもありましたし、素晴らしさも感じました。
私はこのCDの象徴的な曲だと思っています。
主旋律はほぼそのままで、原曲から大きく変化させたアレンジでないのに、美しさが際立っています。
素晴らしい変化で、「思ってた以上に美しかったんだな」というのは、この曲においても抱いた感想になります。
2.F.F.VIIメインテーマ
ゆったりと静かに入って、2ループ目からフォルテッシモを出してくる素直なアレンジといった印象です。
このシンプルなダイナミクスが良いのと、高音域の繊細なタッチがたまりません。
3.シンコ・デ・チョコボ
しっとりした曲が続いた後のこのタイミングで入るのが良いですね。
リズミカルさと軽やかな曲調がちょっと箸休め的になります。
4.旅の途中で
最大の衝撃はこの曲でした。
実は私はこのCDを聴いたのはFF7ACを観た後だったのですが、その理由がこの曲にあります。
FF7ACに「Reminiscence of FFVII」というディスクが付属されていました。
これはFF7のシナリオを要約した感じにまとめたダイジェスト版のディスクです。
こちらのエンドロールでこの曲が流れ、余りにも綺麗な旋律に「これ、何の曲だっけ?」と混乱しました。
曲名が分からなくなるくらい曲の印象が変わったわけです。
そして、FF7のサントラを聴き返し「旅の途中で」だったことが分かり、ピアノコレクションに収録されていることに気付き、CDを入手したのです。
このときの驚きの記憶は今でも鮮明で、私にとって大切な曲の1つとなっています。
5.闘う者達
まずはイントロの激しく弾けるような雰囲気が大好きです。
そして、ピアノ特有の流れる雰囲気の音が曲のあちこちに散りばめられているのが良いです。
激しさと柔らかさが共存した素晴らしいアレンジであり、演奏です。
6.星降る峡谷
このトラックは多少癖を感じました。
原曲のリズミカルな雰囲気が無くなっています。
聴きどころは終盤のダイナミクスです。
7.ゴールドソーサー
軽やかな印象のアレンジになっています。
スタッカートが多いので跳ねるような軽やかさです。
ベース音の細やかな部分において、音の強弱も安定していて技術的に凄いなと感じました。
8.牧場の少年
この曲もタイミングが良いですね。
そろそろ静かな曲を聴きたいと思っていたところにこれが来ます。
しかも、ダイナミクスがあまりなく、終始静かな楽曲になっています。
それがCD全体としてみたときに非常に良いアクセントになっています。
9.ルーファウス歓迎式典
静かだった前トラックからの流れでこの曲が来るのがより良さを感じさせます。
さすがに、これは意図的な配置だと思うのですがどうでしょうか。
前曲と対照的に終始フォルテシモ気味で、しかも楽しい曲なのでピアノアレンジなのに元気が貰えちゃいます。
10. J-E-N-O-V-A
非常に迫力のあるトラックです。
前奏の右手は和音よりも単音でも聴いてみたいなと思いました。
迫力に欠けてしまうでしょうけど、ちょっと和音のイメージがしっくりこないというのが正直なところです。
聴きどころは曲の最後の展開ですね。
この曲のまとめ方は凄いなと思いました。
11. エアリスのテーマ
この曲はもう、ピアノが合わないわけがないですね。
誰が聴いても期待通りと感じるのではないでしょうか。
エアリスの想いだったり、願いだったりを想像しながら目を閉じて聴くと一層素晴らしいです。
12. 片翼の天使
「セフィロス!」の箇所が非常に効果的な抑揚がついており、まるで歌っているかのようで、凄く印象に残ります。
最後の少し溜めてからの「セフィロス!」も最高です。
左手のベース音も力強く格好良いです。
曲の展開も良いですね。
前奏が終わってからシンプルに入って行かないのが素敵です。
13. 忍びの末裔
セフィロスからのユフィ。
考えられない並びですが、これが本当に素晴らしい。
この曲はヴォーカル曲のような構成なので、それが良い感じに働きエンディング曲的な役割も担えるんですね。
面白い発見をさせられました。
最後に聴くのに激しくもゆったりでもなく、丁度良い加減に思えます。
まとめ
意外と曲数が多いのですが、飽きずに、疲れずに聴けるトラック並びは特筆事項だと思います。
誰が決めたのか、意図的なのかは分かりませんか非常にセンスを感じました。
また、FFのピアノコレクションの中でこの作品は特に聴き易いので、私の中では気持ちが落ち着かない時や眠れない夜に聴くのに定番のCDとなっています。
ピアノコレクション入門作品としても良いのではないかと思います。
FF7リメイク発売を前にこちらのCDを聴き返してみるのも良いのではないでしょうか。