森田成一さん、青木まゆこさんの歌声を気軽に聴ける、ファンに嬉しい1枚。
NHKの全FFのフィナーレで、青木さんからの手紙に涙する森田さんの姿に深い感動を覚えましたので、久々にお二人のCDを聴き返してみました。
目次
CDの全体像
ゲーム中のキャラクター、ティーダとユウナが歌うという、アニメCD等で時々見られるタイプのCDです。
森田成一さん、青木まゆこさんのヴォーカルになりますので、このCDや音源を所持していますと、気軽にお二人の声を聴けるということになります。
FF10の発売から約3か月後にリリースされました。
すなわち、多くの人がエンディングを迎え、やり込みまで終えてしまい、学校も夏休みが終わり、すっかり”FF10ロス”状態になっているところにリリースされた形です。
少々回りくどくなりましたが、要するにこれはファンディスクということになります。
これ以上のことを期待して聴くのはお勧めしませんが、ファンの方は聴いた方が良いということは、間違いないと考えています。
余談かもしれませんが、私はこのCDは発売当初によく聴いていて、思い入れがあります。
当時高校生でして、自動車教習所に通う道中や、教習を待つ暇な時間に聴いてました。
何故こんな話をするのかと言いますと、こういったある特定の時期の出来事にリンクしていると、音楽は印象に残り易いということをお伝えしたかったのです。
今でも教習所の近くを通りかかるとユウナやティーダの歌声を思い出します。
まるで、自分の”時”の中に、このCDの曲たちが埋め込まれたかのような感覚があります。
作詞に関しては森浩美さんという男性の作詞家が手掛けています。
SMAPのシングル曲を多数手掛けていたりと、業界でかなり有名な方だと思われます。
どういったご縁があったのかは分かりませんが、ゲームから派生して色々な方と関りが出てくるんだな、と改めて感じさせられます。
収録曲
1.Feel / ユウナ(青木まゆこ) 作詞:森浩美 作曲:植松伸夫
2.Go Dream / ティーダ(森田成一) 作詞:森浩美 作曲:植松伸夫
3.Endless Love Endless Road / ユウナ&ティーダ 作詞:森浩美 作曲:植松伸夫
Feel
原曲は「祈りの歌」です。
これを持ってきたか、と少々不意を突かれるような選曲に思います。
「ユウナのテーマ」が「素敵だね」のアレンジ曲なのでそこは原曲がヴォーカル曲なので選曲できません。
そうした中でFF10の曲の中からアレンジする曲を選ぼうとしたときに、「ザナルカンドにて」よりは「祈りの歌」の方がしっくり来るかな?といった具合に選んだのかなと想像しました。
「祈りの歌」はユウナというよりは召喚獣や寺院のイメージが強いので、そこまでしてFF10の曲のアレンジ曲にしようというのは、その背景として次曲の「Go Dream」の構想の方が先にあったのかな?なんて考えたりもしました。
さて、曲の方はと言いますとファンディスクと考えるのであれば、原曲が原曲だけにちょっと暗いかな、という印象です。
歌詞はよく分かりません。
何が分からないのかと言いますと、人々に向かって以下のように呼び掛けているのですが、誰からの目線なのかが分かりません。
その手を私へと預けて 目を閉じて (中略) 眠りなさいゆっくりと
普通に考えればユウナが歌っているわけですから当然ユウナなのですが、歌詞の内容的にユウナから外れてしまっています。
何と言いますか、「聖母様からの呼びかけ」といったような雰囲気の歌詞に感じますので、どの程度FF10の世界を理解した上で作詞されたのかが未知数に思えます。
ユウナはスピラの人々にとって、この歌詞で呼びかけている人物よりも、もう少し近い距離に居るような気がします。
こんな風に書くとあまり好きでないのかな?と思われるかもしれませんが、気に入っている部分もあります。
召喚だったり異界送りだったりを思わせるようなイントロの幻想的なアレンジが好きです。
そして、物静かな曲調と歌詞の神秘的な雰囲気が、青木さんの声質的に、相性がよく感じます。
プロの歌手ではない青木さんのヴォーカルを引き立てているのが明らかなので、素晴らしい曲だなと思います。
2.Go Dream
こちらは歌詞も曲もしっくりきました。
曲は「ティーダのテーマ」のヴォーカルアレンジとなっています。
キャラクターのテーマ曲というよりも、船上だったり浜辺だったりで流れる曲なので、海を感じさせる伸びやかさだったり、それこそビサイドの浜辺のような明るさを感じさせます。
パワフルで元気な感じが森田さんのヴォーカルともよく合っていますね。
歌詞も青過ぎるほど前向きな感じが、うんうん、これはティーダだなと思わせるので、ティーダの個性がしっかりと入っていて良い歌詞だなと思いました。
冒頭で太陽(沖縄の言葉でティーダ)という詞を使用されているのもキャラクターのイメージを想起させられて良いですね。
3.Endless Love Endless Road
最後はデュエット曲です。
原曲は無く、植松さんがこのCDのために作曲された曲ということで良いかと思います。
タイトルからしてそうですが、なんだかお二人がラブラブな感じで、ゲームではこんなんじゃなかったよな…?となります。
あぁ永遠に この愛は続く
ここまで言ってしまっています。
もちろん言葉の選び方とかは凄く素敵なのですが、新婚の夫婦が歌うとしっくりくるような歌詞に仕上がっています。
これらは、FF10の世界観からは完全に離れてしまっています。
しかし、2人の明るい未来を想像したいファンも多かったでしょうから、これはこれでファンディスクとして私的にはアリです。
むしろこういうので良いんだよ、と思います。
植松さんが男女の愛を音楽的に表現するとこういう風になるんだな、というのが聴きどころの1つです。
ゲームではそういった曲はあまり聴けないので、そんな視点で聴いてみるのも良いのではないかと思います。
まとめ
まるでファンの気持ちを汲み取ったかのような絶妙なタイミングでこのようなCDを出してくれるのは嬉しい話です。
それも、ありふれたファンディスク、というわけでもなく、曲調や意味合いが異なる3曲を楽しめます。
それに、ファンであれば好きな作品のキャラクターの声を手軽に聴ける点はやはり嬉しいことだと思います。
最近リマスター版で初めてプレイしたような若い人たちにも聴いてみて欲しい1枚です。