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レビュー「ポポロクロイス物語」オリジナルサウンドトラック

投稿日:2020年5月5日 更新日:

エンディング曲から始まるサントラで、未プレイでも物語の絵が浮かび上がってくる!

コンポーザー:佐橋佳幸、石川鉄男

ゲームのプレイ状況:未プレイ

「PRESS START」2006年公演で演目に入っていた「ポポロクロイス物語」のサントラをレビューします。

こちらの公演には参加していないですし、ゲームは未プレイですし、私はどうしてサントラを所持しているのでしょうか?

それは参加していなかろうが、プレスタで演奏されたと知ってしまった以上はチェックせずにはいられなかったからです。

プレスタで演奏されたのはポポロクロイス城、ガミガミシティ、ピエトロの旅立ち、氷の魔王の4曲になります。

これらの曲だけでなく、他の曲についてもレビューしていこうと思います。

「ポポロクロイス物語」とは、どんなゲームなのか?

未プレイですので、この機会に「ポポロクロイス物語」について少し調べてみました。

まず私が気になったのは「そもそも、ポポロクロイスとは何のこと?」という素朴な疑問です。

その答えは”ポポロクロイス王国”というゲーム中の王国の名前でした。

そして主人公はこの王国の幼き王子、”ピエトロ”というキャラクターです。

このピエトロが10歳の誕生日を迎えた日に大きな出来事があり、旅立つことになります。

ストーリーに関しては導入部から頭に入って行き易い内容で、王道的なRPGであるという印象を持ちました。

アニメーションが入ったり、ちょっと可愛らしい雰囲気もあり、幼い主人公の物語という点も含めますと、特に女性人気が高そうなRPGだなと思いました。

私自身も導入部から馴染み易さを感じ、好印象を抱きました。

楽曲制作者

佐橋佳幸(作曲、編曲)


サントラ収録曲全曲を作曲されている佐橋佳幸さんという名前はゲーム音楽業界では「ポポロクロイス物語」シリーズ以外においては耳にしません。

元々はバンドマンで、ギターリストとしてプロデビューされているようです。

そこから音楽プロデューサーとして多くの日本のミュージシャンをプロデュースされていらっしゃいます。

具体的にミュージシャンの名前を挙げますと、小田和正さん藤井フミヤさんと、層々たる名前が見られます。

そして、配偶者は女優であり歌手の松たか子さんとのことで、業界で多くの縁を持っていらっしゃる方であることが想像できます。

石川鉄男(編曲)


佐橋さん同様に音楽プロデユーサーとして数々のアーティストをプロデュースされています。

私は邦楽、とりわけ90年代の楽曲は未だによく聴いているのですが、その中では、川本真琴さんの楽曲の編曲もされているようです。

まさか私がよく聴く川本真琴さんの楽曲とゲーム音楽が繋がるとは、という予想外の出来事に興奮を隠せません。

「ポポロクロイス物語」では佐橋氏さんの曲を編曲されているトラックが多く収録されています。

佐橋氏とは元々よく仕事を共にするような関係性であるようです。

サントラの全体像

サントラに関してもゲーム作品同様に馴染み易さがあります。

安心して聴けますし、苦手な人は少ないタイプのサントラかもしれません。

「全体的にアップテンポの激しい曲調のトラックが無いな」と聴いていて思ったのですが、どうやら戦闘曲が未収録となっているようです。

そのせいか「このゲームはポ、ほのぼのとした作品なんだろうな」とサントラを聴いただけの段階では強く思わせました。

サントラの曲数が26曲と少ないのは、未収録曲の多さも想像させます。

そこは残念な部分ではありますが、短いということは気軽に聴けるというメリットもありますので、実際1時間程度の作業時のBGMとして選ぶ機会が何度かありました。

トップレート曲

※ 背景色付は☆5、その他は☆4

ピエトロの旅立ち

ポポロクロイス城

パーセラ

氷の魔王

むかしむかし

フライヤーヨットの飛翔

サニアとの出会い

ブリオニアの歴史

ピエトロの旅立ち

(作詞:長俊広 作曲:佐橋佳幸 ヴォーカル:ジュリエッタ柴田)


サントラを聴いていて、強烈なインパクトを感じるのが1曲目のこの曲です。

「ポポロクロイス物語」の粗筋を歌詞にしているため、世界観がダイレクトに入ってくるという非常に珍しい手法をとられた楽曲です。

サントラの1曲目で曲調的にもいかにもオープニング曲を思わせるのですが、歌詞を聴くとネタバレ満載で「オープニング?」という疑問が湧いてきます。

こちらの曲はオープニングではなく、エンディング曲でした。

それなら歌詞に納得が行きます。

それをあえて1曲目に持ってくるというのが面白いアイデアだなと思いました。

シナリオを振り返ってからサントラを聴いていくというのは新しい体験だなと思いました。

曲調的にも1曲目で違和感の無いものなので、「これはアリだな!」という印象です。

なお、ジュリエッタ柴田さんという謎人物の正体は、女優の奥山佳恵さんだそうです。

これは有名な話なのか、あまり知られていない話なのかもよく分かりませんが、佐原さんとの縁であることは想像できます。

ポポロクロイス城


プレスタ演奏曲です。

物語序盤のポポロクロイス城で流れる曲です。

ゲーム音楽でよく聴かれる城の曲とは傾向がやや異なる印象があります。

城を感じさせる厳格な印象はありません。

弦楽器音で構成されており、むしろポップさやほのぼのさを感じさせます。

1曲目に続き「そういう世界観なのか」と理解を深まるようなトラックです。

パーセラ


港町パーセラの曲です。

メロディアスで街らしい旋律の曲で、私の好きなタイプの曲です。

しかし、港町っぽさがやや弱いかなという印象も持ちました。

氷の魔王


プレスタ演奏曲です。

凶悪な敵を感じさせるシリアスな曲ではあるのですが、案外リズミカルで聴き易さを感じます。

そして、同じフレーズを繰り返すピアノの音に妙な心地良さがあります。

プレスタでどんなアレンジだったのかが大変気になる曲目です。

むかしむかし


「ピエトロの旅立ち」の一部の旋律を繰り返しているだけなのですが、これがいかにも回想シーンの曲という雰囲気に仕上がっていてお見事です。

音色が良いのだと思いますが、こういうアレンジ系の曲に存在感があるゲームは世界観構築に優れているなという印象があります。

サニアとの出会い


こういう優しさが前面に出た曲は胸に染み入ります。

ピエトロとサニアに纏わるお話はここではできませんが、私みたいにゲーム未プレイの方は、二人がどんな関係性で、どんな物語がそこにあったのかを想像しながら聴いてみるのも良いのではないかと思います。

ブリオニアの歴史


ブリオネアは地名なのでしょうが、物語の中で重要な立ち位置にあるのでしょう。

不穏な歴史がありそうな曲調ですが、それでいて格好良い旋律でもあります。

後半の伸びやかな展開が聴き心地良さを覚えます。

ベストトラック

フライヤーヨットの飛翔


前半は「ピエトロの旅立ち」、後半は「ブリオニアの歴史」の旋律です。

この異なる2曲が合わさって素晴らしい展開をしていきます。

特に、曲の繋ぎ方が鳥肌が立つくらい素晴らしいです。

ゲーム音楽でたまにある「合わせ技一本」みたいな曲とでも言っておこうと思います。

空の雰囲気を感じるので、「ワールドマップを飛び回るときの曲かな?」と思ったのですが、ムービーの曲のようです。

そのムービーを見るためにゲームプレイをしたくなってきます。

まとめ

ゲーム未プレイの私ですが、少ない曲数の中でもピエトロの物語を存分に想像でき、様々な絵が浮かぶようなサントラでした。

ほのぼのとした暖かみのあるサウンドが好きな方にお勧めしたいサントラです。

もう少し具体的に言いますと、サントラの中でも街BGMのようなトラックが好きな方によく合うのではないでしょうか。

サントラの中でも聴き易い部類に入ると思いますので、「ゲーム音楽に興味はあるけど、どれから聴いたら良いのか分からない」という方にも良いかもしれません。

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