映画音楽テイストのゲーム音楽とは一味違ったサントラである!
コンポーザー:Harry Gregson-Williams、日比野則彦、村中りか、岩瀬立飛
ゲームのプレイ状況:3周程度
予告させて頂いた通り、「PRESS START」で演目に挙がったタイトルのサントラをご紹介します。
1発目の今回は2006年のプレスタで1曲目として演奏された「メタルギアソリッド2」のサントラです。
すなわち10年の歴史を持つプレスタですが、その第一回目の一曲目、記念すべく曲ということになります。
演奏されたのは「Metal Gear Solid Main Theme」のみですが、こちらではサントラレビューという形で他の楽曲にも触れて行こうと思います。
目次
サントラの全体像
私にとってこの作品は、若かりし頃にサントラを聴き始めた頃の初期作品的な立ち位置にあります。
具体的には、初めて買ったサントラがFF10だったのですが、なんと2番目がこちらのサントラになります。
ゲームは発売当初に友人に勧められプレイしたのですが、「こんなに凄いゲームがあるのか!」とアクションゲームが苦手にも関わらず、そのゲーム性とストーリー性に衝撃を覚えました。
警告音ばかり鳴り響き、ドッグタグも全然集められないくらいの下手糞でしたが、繰り返しプレイしたのをよく覚えています。
であれば、サントラも大いに聴き込んでいたのだろうなと思いきや、実は当時あまり聴き込みませんでした。
いや、矛盾するようですが、それなりに繰り返し聴いてはいたのですが「あまり耳に入ってこないな」というのが率直な感想で、この不可解な現象に戸惑ったのを覚えております。
その原因は今なら分かるのですが、映画音楽的な楽曲だから馴染めなかったというのが正解だと思います。
メロディーラインが明瞭な曲が少なく、俗に言う環境音楽のような部類に入るからではないでしょうか。
実際のところ、ゲームをプレイしていても耳に残るような曲があまり無いです。
全体的に緊張感を感じる曲が多いので、敵から隠れているときの手に汗を握った記憶はなんとなく思い出せます。
しかしサントラを聴いても、そこから具体的なゲーム場面を思い起こすといったゲームサントラならではの楽しみ方がしやや難しいです。
グラフィックが進化した現代においては、BGMがこうした環境音楽タイプのゲームというのは珍しくないですが、PS2のこの時代に映画的なゲームを作ってしまったということなのでしょう。
そう考えると凄いことですので、私がMGS2をプレイして衝撃を受けたのは当たり前のことだったのだなと思います。
注意点としては、こちらのサントラは収録曲が大変少ないです。
こちらのサントラでは、Harry Gregson-Williamsが作曲した曲を中心に収録されています。
実はもう1枚サントラがあり、私はまだ所持していないのですが「The Other Side」というサントラもあります(最下部にAmazonリンクを貼っておきます)。
そちらには日比野則彦さん作曲の曲のみが収録されています。
トップレート曲
※背景色付は☆5、その他は☆5
Revolver Ocelot
RAY Escapes
Can’t Say Goodbye to Yesterday (Piano Version)
Fortune
Can’t Say Goodbye to Yesterday (Full Version)
Revolver Ocelot(作曲:Harry Gregson-Williams)
敵キャラクターであるオセロットのテーマ曲です。
何をされるか分からない、という緊張感が漂う楽曲です。
序盤は小気味悪く、それが一転加速し緊張感が増します。
このような曲構成がいかにもオセロットという感じがします。
RAY Escapes(作曲:Harry Gregson-Williams)
こちらも緊張感漂う楽曲ですが、迫りくる脅威から逃れようとするも、迫ってくるような曲の展開が良いです。
後半は気味の悪い静けさで、一難去ってもまだ苦難が待っていそうな予感を感じさせます。
Can’t Say Goodbye to Yesterday (Piano Version)(作曲:村中りか)
エンディング曲のピアノヴァージョンです。
ピアノらしい表現が活かされているアレンジで、序盤は伸びやかさがあり、徐々に音が細かくなって盛り上げて行き、最後はしっとりと終わらせます。
王道的なダイナミクスなのかもしれませんが「それで良いんだよな、やっぱり素晴らしいよな」と感じさせられます。
Fortune(作曲:日比野則彦)
敵キャラクターの1人、フォーチュンのテーマ曲です。
フォーチュンはかなり印象的なキャラクターでした。
名前からして幸運を抱えているようでいて、実は計り知れない不幸を背負いながらも勇ましく闘う敵女性キャラというイメージを持っています。
事実から目を逸らすことでむしろ、たくましさを得ているようにも思えます。
こちらはゲーム中でも印象に残り易い楽曲です。
彼女の抱える強烈な悲しみが滲み出ているような楽曲に感じます。
特に最初と最後の何処か物悲しい旋律のサックスソロにそういった感覚を覚えます。
曲の構成もやはり素晴らしく感じます。
ソロパートに続く部分では、小刻みな電子音的なベースとパーカッションリズムが聴かれ、いかにもメタルギアの楽曲っぽさがあります。
サックス音の個性を感じるところではありますが、全体的な曲の雰囲気としてはMGS2の世界観から浮くことなく、見事に溶け込んる点が素晴らしいなと感じます。
Can’t Say Goodbye to Yesterday (Full Version)(作曲:村中りか)
アメリカのジャズヴォーカリスト、Carla Whiteが歌う、エンディング曲です。
歌詞こそ英語なので分かりませんが、その歌声、ピアノの前奏やバッキング、曲を盛り上げていくストリングスといった多くの要素がMGS2の世界観にマッチしています。
「昨日にサヨナラは出来ない」という後ろ向きにも感じるタイトルから妄想しますと、戦場では既に起こってしまって、どうにも変えられないことを悔やむということは切り離せないものなのかもしれません。
ただ前を向いて突き進むという考え方は通用しないような過酷さ、とでも言うべきでしょうか。
そんな妄想をしながら聴きますと、ヴォーカルの素晴らしさをより一層感じさせます。
「後ろめたさ」のようなものをヴォーカル表現をされているように私は感じられます。
ベストトラック
Metal Gear Solid Main Theme
(作曲:岩瀬立飛 編曲:Harry Gregson-Williams)
なんと言っても、こちらの楽曲です。
これを繰り返しきたいがためにサントラを買いました。
当時は学生だったので、私にとってCDは高い買い物でした。
にもかかわらず、迷いなく買ったのはこの曲の存在が大きいです。
時代を感じさせる話をしますと、当時着メロにしていたくらいですので。
今思えばちょっと恥ずかしいです。
とはいえ、電話なんて掛かって来なかったので街中で鳴るようなことはありませんでしたが。
この曲の何に惹かれたのだろうと考えますと、メロディアスな主旋律は当然ですが、アレンジによるところも大きかったと思います。
前奏の高揚感、メロディアスな主旋律、そこに続く小気味悪いメタルギア風サウンド。
そして主旋律がコーラスを伴って壮大な形で帰ってきて、その雰囲気を保ったまま余韻を残すようにパッと曲を終わらせる。
その結果、繰り返し聴きたくなってしまいます。
こちらをプレスタ2006年公演で演奏されたわけですが、どんな感じだったのでしょう。
コーラス隊も居たのでしょうか?
パーカッションはどんな手法でメタルギアの雰囲気を出したのでしょうか?
もう聴ける機会は無いのかもしれませんが、想像は膨らむばかりです。
まとめ
聴き返してみても、ゲームサントラとしてはやはり少々特殊で、映画音楽のようにシーンに合わせて曲が変幻自在に動きを見せるような印象があります。
曲構成を考えながら聴いてみますと、実際にどんなシーンに繋がって行くのかといった想像ができますので、一般的なゲームサントラとは一味違った楽しみ方ができます。
なので、私のようにメインテーマが好きな方だけでなく、ちょっと変わった雰囲気のサントラを聴いてみたい方にお勧めしたいです。
そんな中でもゲームの世界観とのマッチングも素晴らしいのが聴きどころだと思います。
収録曲が少ないのは残念にも思いますが、一方では繰り返し聴き易いというメリットも感じさせますので、「あまり耳に入ってこないな」と感じても何度か聴いていくうちに、このサントラの魅力に気付くことができるのではないでしょうか。