「MOTHER」シリーズの楽曲は、聴かせ方が豊富な酒井サウンドも欠かすことのできないピースの1つである!
コンポーザー:酒井省吾
ゲームプレイ状況:未プレイ
開発が難航しながらも、多くのファンの祈りが届いたかのように発売された新たなナンバリングタイトル「MOTHER3」の音楽をご紹介します。
なお、こちらはCDでの販売はなく、iTunes storeにてダウンロードできる作品となっております。
目次
「MOTHER3」と私
「MOTHER3」につきましては、私はゲーム未プレイとなっております。
理由として大きいのは、当時シリーズの魅力への私の理解が追い付いていなかったことにあると考えています。
ひとまず、この機会に触りの部分をゲーム実況動画で見させて頂いたのですが、「MOTHER」らしい独特で魅力的なテキストに「ああ、本当にマザーのナンバリングタイトルなんだな」と感動を覚えました。
糸井重里さんが制作に携わるからこその、こうしたテキストの魅力と言うのは、このブログの「MOTHER」シリーズの音楽レビュー記事を書くことをきっかけとして今更になって理解が追い付きました。
今では大きな魅力を感じております。
そして、グラフィックについてもドット絵が美しく進化していて、心地の良い雰囲気を感じ取れました。
「そういえばゲームボーイアドバンスのグラフィックって良かったよな」と懐かしい気持ちにもなりました。
もちろん、プレイしたい気持ちも湧いてきましたので、「レビューは早いかな」と思いつつも、シリーズ音楽作品のレビューを続けてきましたので、現時点での音楽への感想を書いていこうと思います。
全体像
「MOTHER」シリーズの音源に関しましては、リリース形態が複雑で、情報整理が一筋縄にはいきません。
こちらの作品も例外ではなく、まずは情報の整理が必要となります。
そもそもMOTHER3の楽曲は全部で250曲にも及びます。
コンポーザーとして名前があるのは「PRESS START」の企画者のお一人ということで、このブログにも取り上げさせて頂いたことのある酒井省吾さんのみになります。
比較的短い曲が多い印象ですが、この量を1人でというのは一瞬驚きつつ「ああ、酒井さんなら普通の感覚なのかもしれない」なんて思ったりもします。
こちらの作品ではトラック数が15曲となっております。
未収録曲は非常に多いのですが、15/250曲ということではありません。
これまでの「MOTHER」シリーズの音源に触れてきた経験のある方ならお察しかもしれませんが、1トラックに1曲ではなく、メドレー形式となっております。
メドレー数は2~5曲になっていますが、合計すると44/250曲ということになります。
なので、曲数が少なすぎるというわけでもなく、しかもこの構成によって値段もお得に抑えられているという部分もありそうです。
気になるのは、オリジナル音源なのか、アレンジ音源なのかというところですが、アレンジ音源とうことになります。
酒井さん自らが選曲し、アレンジもされています。
さて、「MOTHER」シリーズと言えば鈴木慶一さんと田中宏和さんの印象が強いという方が少なくないと思うのですが、実は私もそのうちの1人ではありません。
白状しますと、大変失礼ながら「あ、3はコンポーザーが違うんだ、うーん」なんてことも最初に知ったときは頭によぎりました。
しかし、酒井さんの経歴を見れば分かる様に、糸井さんの酒井さんへの信頼は大変強いものがあり、「MOTHER3」にとって酒井さんの存在の大きさと言うのは計り知れないものがあります。
それは、音楽を聴いただけでも理解できるものがあるのですが、実際にゲーム映像を見てみることで「MOTHER3」の世界観を彩る酒井さんの音楽を耳にすると、疑いの余地がなくなります。
というわけで今では、「1と2は鈴木さん、田中さんで、3は酒井さんだなんて最高じゃないか!」と思っております。
他の多くの作品にも言えることですが「MOTEHR」シリーズも大変コンポーザーに恵まれた作品だなと思います。
なお、かつてメドレー構成なのを知らかった故にレート付けをしてしまっております。
自分自身でも違和感は覚えるのですが、第一印象も大切にしながら再聴しておりますので、あえてレート評価を用いた記事構成とさせて頂きます。
トップレート曲
※ 背景色付は☆5、その他は☆4
Welcome to MOTHER3 world
「楽しいネーミング」~「WELCOME!」~「ホントのWELCOME!」
舞台はタツマイリ
「LOG-O-TYPE何かがおかしくなっている」~「走れマイドック!」
Twist and Battle
「こうもりさんツイスト」~「ロックンロール (あまくち)」~「やんちゃなブルース」
ダスターのテーマ
「悲しみのタツマイリ」~「もう朝だった」~「ドロボー・マインド」
タツマイリの思い出
「ハッピータウン?」~「そして誰もいなくなった」
マジプシーと
「ピンクのシェル」~「マジプシーのお・へ・や」
Welcome to MOTHER3 world
「楽しいネーミング」、「WELCOME!」、「ホントのWELCOME!」のメドレーです。
「WELCOME!」は躍動感があって歓迎されているのかよく分からない気持ちにさせられるのですが、むしろそこが素晴らしいです。
そして、「ホントのWELCOME!」はビックバンドジャズの楽曲で雰囲気が一転します。
タイトルの通り、こちらはいかにも「ようこそ!」という雰囲気の旋律です。
サックスの主旋律に金管のバッキングが心地良いですが、なによりも4つ切りのギターサウンドがたまりません。
「ゲーム音楽でこれが聴けるとは!」という驚きがありました。
この楽曲も酒井さん自らがアレンジしていると思うとその多才さに驚かされます。
舞台はタツマイリ
「LOG-O-TYPE何かがおかしくなっている」、「走れマイドック!」のメドレーです。
前曲は「LOG-O-TYPE」というタイトルテロップ曲をベースにアレンジされた楽曲で、やや不穏さを感じる部分も含め、大変心地良いです。
そして、そこから疾走感のある「走れマイドック!」に繋がるのがまた粋に感じます。
なお、「LOG-O-TYPE」は「PRESS START」2006年公演で演目に入ったが楽曲です。
アレンジされた音源はあるのですが、オリジナル音源が聴けないのが、非常に好きな楽曲なだけに残念です。
何かの折に1~3のオリジナル楽曲を収録した記念サントラのようなものがリリースされないかなと淡い期待を抱いております。
Twist and Battle
「こうもりさんツイスト」、「ロックンロール (あまくち)」、「やんちゃなブルース」のメドレーです。
「こうもりさんツイスト」が特に気に入っています。
これはゲーム場面をみたのですが、戦闘シーンの曲というのが意外性が大きく、すっかりやられてしまいました。
ダスターのテーマ
「悲しみのタツマイリ」、「もう朝だった」、「ドロボー・マインド」のメドレーです。
同じ旋律の異なるアレンジ曲が1つのトラックで楽しめます。
「ありそうで無かった」とは、こういうことでしょうか。
こういった形で聴くのも良いなというのを感じさせられました。
マジプシーと
「ピンクのシェル」、「マジプシーのお・へ・や」のメドレーです。
後者のやや静かな旋律の上に鳴り響くサックス音が印象的です。
「こういう聴かせ方もあるのか」と感服してしまいました。
ベストトラック
タツマイリの思い出
「ハッピータウン?」、「そして誰もいなくなった」のメドレーです。
こちらの楽曲はシンプルに主旋律の素晴らしさにやられました。
酒井さんの楽曲の印象は「色々な味わい深い聴かせ方をしてくれる」というのが強いのですが、このように主旋律でやられる楽曲もあるというのはイメージとは異なりました。
「参りました!」ということで、こちらがベストトラックです。
まとめ
ゲーム内容も全く知らず、軽い気持ちで聴き始めたのですが、次第に心地良さを強く感じるようになり、リピート再生がなかなか止まらなくなりました。
なので、「MOTHER」シリーズのゲームや音楽をよく知らないゲーム音楽ファンの方にもおすすめできます。
この作品で「MOTHER」シリーズの音楽レビューは一区切りとなりますが、シリーズ全体の作品を聴き返してみて正直、構成の分かりづらさ故の難しさはありました。
しかし、作品の制作方針1つをとっても、こうした独自性があることこそが「MOTHER」シリーズであるということなのかもしれません。
そして、それこそがシリーズの魅力を感じるうえで大きな要素の1つであるように感じられました。