リメイクの発売が迫っている今だからこそ見えてくる原曲の秀逸さ。
コンポーザー:植松伸夫
ゲームのプレイ状況:1周
いよいよFF7リメイクの発売が迫ってきました。
そんなタイミングであるためFF7への関心が個人的にも高まっているのでサントラを聴き返してみました。
目次
サントラの全体像
FF7はゲーム史において重要作品であることは言うまでもありませんが、ゲーム音楽史においても重要な作品のように思います。
特にオープニングとラストボス戦での演出効果は後発のゲームにも多大な影響をもたらしたのではないかと感じさせます。
しかし、裏を返せば実験的な要素とも考えられる部分があり、名曲と呼ばれる曲がある一方で全体的には中途半端な部分も感じてしまいます。
その原因の1つは、その後のコンサート開催に伴うオーケストラアレンジや派生作品のサウンドトラックで大きく印象を変えているため、今聴き返すとなるとこういった感覚に陥るということだと思います。
もう1つは私個人がFFをプレイした順番のせいだと思います。
8→10→9→6→5→4→3→2→1→7という順にプレイしたので、スーファミとプレステの間に挟まれた7のどっちつかず感が印象に残ってしまったのだと思います。
※ちなみに7以降はオンラインタイトルを除き、発売順にプレイしています。
ただし、音楽だけでなく映像も過渡期の作品なので、世界観の構築というゲーム音楽の要素は非の打ちどころの無さを感じるという点は強調しておきます。
トップレート曲
※ 背景色付は☆5 その他は☆4
【DISC1】
オープニング~爆破ミッション
魔晄炉
ティファのテーマ
闘う者達
タークスのテーマ
クレイジーモーターサイクル
【DISC2】
旅の途中で
牧場の少年
黒マントの男を追え
ルーファウス歓迎式典
J-E-N-O-V-A
太陽の海岸
ゴールドソーサー
ケット・シーのテーマ
【DISC3】
星降る峡谷
偉大なる戦士
忍びの末裔
シドのテーマ
花火に消された言葉
【DISC4】
完全なるジェノヴァ
神の誕生
片翼の天使
オープニング~爆破ミッション
「オープニング」は何が始まるんだろう?という期待をこの少ない音で持たせるのが凄いなと思います。
派生作品等のトレーラーでも必ず流される曲なので、実はFF7を象徴する曲です。
そして「爆破ミッション」に繋がるわけですけど、このイントロは誰が聴いても格好良く思うのでは?とまで思います。
オープニングの少ない音から一気に音を畳み掛けてくるので、期待が喜びへと昇華します。
しかもこれらがムービーを引き立てる演出としても大変効果が高いという点も見逃せず、ゲームの歴史に残るような1曲なのではないでしょうか。
ティファのテーマ
植松さん節が炸裂している曲ですね。
やはり、植松さんのキャラクター曲は、聴いているとそのキャラクターが本当に目に浮かぶので素晴らしいです。
この曲はアレンジで大化けする曲なのですが、この原曲となるサントラバージョンは、音質的にはなかなか厳しいなとは思ってしまいました。
特にイントロ部分にそれを感じます。
闘う者達
この曲はイントロ部分によってアレンジの印象が大きく変わるのですが、こちらの原曲はと言いますと、これも味があって良いですね。
アレンジではスピーディーに、きめ細やかに、力強くというのがイメージにあったのですが、原曲ではシンプルに力強さを感じます。
戦闘曲っぽさはむしろこの原曲の方が高く感じます。
タークスのテーマ
怪しさ名部分とちょっとコミカルな部分も出ていて、タークスのテーマ曲としては、かなり的確なのではないでしょうか。
植松さんの職人技を感じるトラックで、もっと人気が出て欲しいです。
FF7メインテーマ
壮大さの中にも優雅な感じのするメロディーなので、これはオーケストラアレンジで聴きたい1曲です。
原曲だとその優雅さとダイナミクスに欠けてしまっている感じがあります。
旅の途中で
この原曲はゲーム場面で聴いてもサントラで聴いても、いまひとつ良さが分かりにくい曲でした。
ただ、アレンジ曲を聴くと、この曲の旋律の美しさに驚かされました。
こんなに綺麗なメロディーだったのか!と。
以後は不思議と原曲も好んで聴くようになりました。
ゴールドソーサー
夜の煌めいた雰囲気と、遊ぶぞ!というワクワク感とが両立している曲で、これもゲームシーンとの融合性の部分で質が高いです。
プレイヤーがゴールドソーサーに入り浸りたくなるのは、間違いなくこの曲のせいだとも思います。
忍びの末裔
ユフィのテーマ曲です。
歌ものをインスト化したようなメロディーなので、初めて聴いたときは違和感を覚えると同時に、凄いなとも思った曲です。
ポップな感じですが、明るさと温かさを兼ね備えているように感じさせるのは、いつもの植松さんの素晴らしい仕事だなと感じます。
7のキャラクター曲の中では、私が最も好きな曲です。
花火に消された言葉
独特の間が、人がゆっくりと大切な想いを伝えようとするような場面を想起させて、素晴らしい曲だなと思います。
欲を言えば「もっと音質が柔らかければ」とも思いますので、アレンジも聴いてみたいところです。
すなわち、リメイク版で聴くのが楽しみに感じている曲です。
エアリスのテーマ
FFの曲でまず最初に思い浮かべるのがこの曲という人も少なくないと思います。
非常に人気の高い曲で、ゲームシーンとのシンクロの部分で評価が高い曲なんだと思います。
オーケストラアレンジはこれまでにコンサートで何度も聴きました。
RIKKIさんが歌った曲(「素敵だね」の記事をご参照下さい)のように、一風変わったアレンジを他にも聴いてみたいですね。
片翼の天使
植松さんは、ラストボス戦は新しいことにトライしてくる傾向がありますね。
今作ではコーラスを入れてきました。
現在ではゲーム音楽とコーラスの組み合わせは定番になってきていますが、その始まりとも言えるのがこの曲で、ゲーム音楽史的にも非常に重要な曲です。
しかも、オーケストラ、コーラスだけでなく、その後ロックバンドを加えるアレンジをしたという点でも非常に重要な曲です。
ラテン語歌詞ですが、意味はともかく歌詞の響きも非常に曲に合っている点も素晴らしいなと思います。
ベストトラック
ルーファウス歓迎式典
植松さん的には心外かもしれないので、怒られてもおかしくないようなチョイスですが、好きなものは好きなのでごめんなさい、という曲です。
勇ましくも軽やかな感じが心地良く、歌詞を知らなくても口ずさんでしまいます。
今宵もお風呂で口ずさみました。
ただ心地よく楽しくさせるだけじゃなく、不思議とこういう曲からも植松さんの優しさを感じます。
まとめ
これまで、あまり聴き返すことの無いサントラでした。
その理由はコンサートでのオーケストラアレンジの他、「ピアノコレクション」や「FF7アドベントチルドレンOST」のように、原曲をアレンジされた曲の方が完成度の高さを感じていたというのが正直なところです。
しかし、アレンジして輝く曲が多いという事実は、それだけ原曲に秀逸なものが揃っているからこそであるということを聴き返してみて再認識しました。
このように聴き返す機会を持てたのはFF7リメイクというゲームを開発してくれているスクエニのお陰でもありますので、そこは有り難く感じます。
また、リメイクの発売が一層楽しみになってきました。
ゲームも、音楽も元が素晴らしいのだから、不安に思う必要は無いと思いますので、期待しております。