私のゲーム音楽コンサートは、ここから始まった!
作曲:植松伸夫 編曲:浜口史郎 指揮:竹本泰三
本日は2020年2月20日、すなわち「20200220」ということで、FFコンサートを収録したCDである「20020220 music from FINAL FANTASY」をご紹介しようと思います。
なお、2002年に開催されたこちらのコンサートについては、若かりし頃の私には情弱でチケットの手配ができず、参加できませんでした。
そのため、CDレビューを中心とした内容の記事となります。
目次
コンサートの概要
ひとまず、概要をざっと整理しますとこんな感じになります。
開催日:2002年2月20日
会場:東京国際フォーラム
指揮:竹本泰三
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
オーケストラアレンジ:浜口史郎
ゲストヴォーカル:白鳥英美子、RIKKI
ゲストピアニスト:黒田亜樹
ゲストギターリスト:天野清継
司会:森田成一(ティーダ)、青木真由子(ユウナ)
会場はその後もFFコンサートツアー「Distant Worlds」の日本公演でも複数回使用されることとなる東京国際フォーラムでした。
これまでFFシリーズのコンサート開催は実績が少なかったのですが、大きな会場での開催となっておりますが、今日のように昼夜2公演と言った形では無く、1公演のみだったようです。
指揮者の竹本泰三さんはこちらのコンサートをきっかけにゲーム音楽との関わりこととなり、次のFFコンサートツアーである「TOUR de JAPON」や、植松さんらと共に企画者となった「PRESS START」でも指揮台に立たれました。
その活躍は植松さんに関係するコンサートに止まらず、「星のカービィ」等、他メーカーのゲーム音楽コンサートでも活躍されているので、ゲーム音楽ファンにはお馴染みの指揮者だと思います。
編曲されたのは浜口史郎さんで、FFコンサートシリーズが立ち上がった初期のコンサート楽曲のほとんどを編曲されており、後の「Distant Worlds」においても同じアレンジの楽曲が再演されたりしています。
特筆すべくは、司会を「FF10」のティーダ役である森田成一さんとユウナ役の青木真由子さんが担っていらっしゃることで、FFコンサートにおいて声優が司会をされるというのは、その後は1度も実現していない非常にレアな機会でした。
「FF10」は同年度の7月に発売されており当時の最新作でしたし、多くのプレイヤーがクリア後の記憶がまだはっきりしていた熱のある時期ですので、「FF10」の声優が起用されたのはファンにとってとても大きな意味があったことは想像に難くありません。
そして極めつけは、「FF9」そして「FF10」の主題歌をそれぞれ歌われた白鳥英美子さんとRIKKIさんのゲスト出演です。
生での歌唱を披露するのはこちらのコンサートが初だったので、コンサートのハイライトとして多くのファンの記憶に刻まれているのは間違いないと思います。
更には、ピアノアレンジCD「Piano Collections FINAL FANTASY X」において浜渦正志さんアレンジの楽曲をピアノ演奏された黒田亜樹さんの生演奏もありました。
ピアノコレクションズの演奏者ご本人がコンサートで演奏される機会というのも希少で、大きなサプライズとなっていました。
そして、やはりギターの音色が好きな私としては、天野清継さんのギターもが聴いていて最も印象深く、会場で聴けた人が心底羨ましいです。
CDの全体像
こちらのCDは、そのコンサートの模様を漏れなく収録されたものになります、
収録時間はディスク2枚組の108分、全25トラックあります。
「漏れなく」というのは、1トラック目に「Tuning」が収録されていたり、司会のお二人もコンサートの目玉の1つだったためか、MCも収録されています。
発売当初は今は無き「デジキューブ」からのリリースでしたが、再販されているため現在も容易に入手可能となっています。
収録曲
[DISC1]
1.Tuning
2.Liberi Fatal (FFVIII)
3.愛のテーマ (FFIV)
4.MC-1
5.FINAL FANTASY I~III メドレー
6.MC-2
7.エアリスのテーマ (FFVII)
8.Don’t be Afraid (FFVIII)
9.ティナのテーマ (FFVI)
10. MC-3
11. 親愛なる友へ (FFV)
12. Vamo’ alla Flamenco (FFIX)
[DISC2]
1.MC-1
2.ザナルカンドにて (FFX)
3.ユウナの決意 (FFX)
4.MC-2
5.Love Grows (FFVIII)
6.素敵だね (FFX)
7.MC-3
8.いつか帰るところ~Melodies of Life (FFIX)
9.MC-4
10. 片翼の天使 (FFVII)
11. MC-5
12. The Man with the Machine Gun (FFVIII)
13. FINAL FANTASY
楽曲は全て植松伸夫さん作曲のものとなっています。
当時FFシリーズのナンバリングタイトルは「FF10」まで発売されており、年内に「FF11」の発売が控えているという状況でした。
すなわち、「FF10」における浜渦正志さんや仲野順也さんの楽曲は今回はプログラムに入っておらず、「FF11」の楽曲を先行して披露するようなこともありませんでした。
MCパートでは、「観客はどこから会場へ来たのか?」という話題で地名を言って観客に挙手をお願いするような場面があったのですが、森田さんが「ザナルカンド!」とユーモアを交えて楽しまれていたのは今でも話題になることがあります。
全楽曲がフルオーケストラのみの編成ではなく、コーラス隊が加わる編成の「Liberi Fatal」や「片翼の天使」が演奏されました。
「ザナルカンドにて」は黒田さんによるピアノソロver.になっており、その後何度も演奏されることになるオーケストラver.ではないので、非常に貴重な機会になっています。
続く「ユウナの決意」もピアノソロver.となっています。
「親愛なる友へ」と「Vamo’ alla Flamenco」ではギターの天野さんが躍動するのですが、今回の演奏の中では個人的にこの「親愛なる友へ」が特に感動し、繰り返し聴いています。
全体的にはタイミング的に「FF10」中心の選曲であっても不自然ではない中、各ナンバリングからバランスよく選ばれており、個人的にはここで演奏された楽曲というのがFFシリーズのスタンダード的な立ち位置の楽曲であると捉えたりもしています。
もちろん、「あれ、入ってないぞ?」と思うような楽曲(例えば「FF9」の「独りじゃない」など)もあるのですが、盛りだくさんの豪華ゲストに誰もが満足できる内容だったのではないかと思います。
こつらのCDで唯一残念な点としましては、音の大きさのバランスが悪く、特にMCではオーディオのボリュームを上げないとよく聞き取れなかったりするのが残念です。
今ではこういうことは無いのでしょうが、当時はオーケストラコンサートを開催すること自体が新しい試みで、収録するというところでもまだ経験が足りない部分があったのではないかなと思います。
まとめ
FFコンサートの元祖というわけではないのですが、この2002年のコンサートきっかけにゲーム音楽のコンサートの輪が広がって行った印象があり、個人的にもこのCDを聴いてみたことで「ゲーム音楽をオーケストラで演奏することが、こんなに素晴らしいことなんだ」と気付きました。
すなわち、私にとってはその後の趣味生活に大きな影響を及ぼす重要な1枚であると言えます。
私のように植松さんの音楽からゲーム音楽が好きになったタイプの世代の近い人には、同じように感じている人も居らっしゃるのではないかと思います。
今は多くのゲーム音楽コンサートCDがありますが、「どれから聴いたら良いのか分からない」という人にもお勧めできると思います。
浜口さんのアレンジは、個人的には原曲のイメージに比較的忠実なアレンジをされる印象があります。
すなわち、ゲーム音楽のオーケストラアレンジを聴くのに入門編となるような聴き易さがあります。
是非多くの方に聞いて頂き、ゲーム音楽コンサートの素晴らしさを感じ取って欲しいです。