リマスターではなく、リメイク作品であることが示されている意欲作!
2020年 4月10日発売 / スクエアエニックス
早くもクリアしました。
プレイして幸福を感じましたし、楽しさに溢れた時間を過ごすことができました。
夢中になりなかなか止め時が分からない日々が続きいたため、発売からわずか10日でクリアしてしまうという、私にとっては久しぶりの経験になりました。
クリアまでのプレイ時間は、クエストをほぼ消化した上で33時間ということになりました。
クリア後のお楽しみ要素もプレイ予定ですが、クリア直後のHighなタイミングでレビュー記事を書かせて頂きます。
私としてはFF7リメイクは満足のいく出来だったのですが、ネガティブな意見も多く聞かれます。
その中には私自身も一部同意できるものものもありました。
なので、ポジティブ要素だけでなく、ネガティブ要素にもしっかり触れていこうと思います。
目次
ポジティブ要素
リメイクだからこそ感じられる感動があった!
まずはグラフィックですが、FF7の物語の描写が鮮明になったことで、よりストーリーの面白さであったり、世界への没入感だったりが増しました。
「そりゃそうだろう、」話にはなりますが、そこが今作の私のゲーム体験における大きな感動をもたらしたという点は見逃してはいけないと思いました。
なぜなら、それこそが私の求めていたものであり、そこにしっかり応えてくれたという風に捉えています。
私はオリジナル版も1周だけしていますが、正直なところFFシリーズの中で世間から言われるほどには気に入っている作品ではありませんでした。
しかし、リメイク版をプレイしたことで、FF7シリーズが自分の中でより好きな作品になりました。
これこそがリメイクの力!と思うので、個人的には絶賛したくなります。
そしてクリア後に思いましたのが、当たり前のことを再確認する必要があると思いました。
それは「この作品はリマスター版ではなく、リメイク作品だ」ということです。
スクエニがオリジナル版FF7を大切に扱いながら「リメイク」とは何なのか?ということを自問自答し、作成したような強い意欲を感じました。
例えば、ストーリーについてです。
”オリジナルストーリーの大切さ”と、”それを受けたプレイヤーの声”という対極的な立ち位置にあるものに対して、どのように答えを出していくのかという難しい問題を避けることなく、しっかりと向き合っているのが伝わってきます。
オリジナル版にただ忠実にストーリーを進めるというのであれば、それはリメイクと呼べるのか?それならばリマスターでも良いのではないか?
ストーリーを大きく改変して一部プレイヤーの望む形を容易に受け入れてしまったら、それはリメイクではなく、オリジナル版とは距離感のある別作品になってしまうのではないか?
特に今作の終盤ではその答えをどういう方法で落とし込もうとしているのかが垣間見えたので、そこに制作者の方々の強い意欲を感じ、個人的には拍手を贈りたくなりました。
キャラクターの魅力が増した!
まず、メインキャラクターですが、「FF7のキャラクターってこんなに魅力的だったのか!」と思わせました。
例えばバレットであれば、クラウドと行動を共にすることで、心境が変化していくわけですが、その部分がより鮮明に伝わってきました。
情けない部分も格好良い部分も声や表情でよく分かり、魅力が大いに増しています。
驚いたのはエアリスですね。
再開してからしばらく二人で行動していくわけですが、その道中での二人の掛け合いを聞いていく中でいつの間にかエアリスの人物像が見えてきます。
最初は鬱陶しく感じたのですが、徐々にそれが心地良くなってきました。
そして衝撃的だったのが、心地良くなってきた絶妙なタイミングで「私のこと分かってきたじゃない」みたいなことを言ってくるわけです。
「この凄い仕事したの誰ですか?」と思いました。
こんなことになると序盤でティファの魅力にやられていた私もエアリスへと心が揺らいでしまいました。
いや、それでもやはり第一印象は大切です。
私はあえて、頑なにティファ派で行こうと思います。
よく分かりませんが、ティファの魅力につきましては昔から知っているような安心感でしょうか。
エアリスの得体のしれなさというのも魅力ではありますが、大切な人は案外近くに居たりするわけです。
やっぱりよく分かりませんがここから真面目に書きます。
ティファと過ごすときの安心感みたいなものがゲーム中で滲み出ているわけです。
特に序盤に二人でクエストに駆け回っているときがそうなのですが、そうしたものが出てくるのは凄いなと感心させられました。
そして、アバランチの面々ですね。
ビッグス、ウェッジ、ジェシーです。
オリジナル版では特に目立つ存在ではありませんでしたが、リメイク版では主要キャラに昇格したと言っても良い程の存在感があります。
特に良いなと思ったのは、それぞれの大切にしている想いを掘り下げてくれたことです。
これによって、一気に感情移入が進みました。
リメイクでこうした旧脇役の掘り下げをするというのは、大成功だったと思います。
間違いなく彼らの人気は高まったでしょうから、今後も新たに活躍してくれるような場面が出てくるかもしれません。
魅力的なキャラクターに引っ張らっる様にストーリーも進化を見せた!
以前にもどこかで言ったことある気がしますが、キャラクターに魅力があると、そのキャラクターたちは制作者が深く考えずとも勝手に動き出しますので、ストーリーがどんどん構築されていきます。
追加要素となったアバランチの面々のストーリーは正にこうして構築されていた印象があります。
そして、このリメイク版には今までに発売されてきたFF7の派生作品得た遺産を逆輸入のような形で大いに活かして物語に厚みをもたらしていっている印象があります。
特に今後のリメイク続編においては、ザックスやヴィンセント周囲の物語に関して、大いに活かされることになるのではないかと期待されます。
戦闘にFFらしさが残存していて好印象!
これは体験版の記事でも触れましたが、一見アクションバトルと思いきや、実はターン制のコマンドバトルというオリジナル版の要素が組み込まれています。
これはオリジナル版を大切にする制作者の意図の他、私のように「戦闘はコマンドの方が好きだし、得意!」という従来のFFプレイヤーへの配慮も感じさせます。
かといってそのクラシカルな要素を現代的なアクション戦闘に落とし込むという凄いことをやってのけています。
むしろ戸惑ったのは、近代的なアクションゲームに慣れている人たちだったのではないでしょうか。
このゲームの戦闘は、敵の攻撃を回避できないものが多いので、「実はATBバトルの応用なんだよ!」というのを理解した上でプレイした方が良さそうです。
その辺りは「Classicモード」の存在である意味説明されているとは思いますが。
ネガティブ要素
素直にボリュームがあるとは言えない”かさ増し”が引っ掛かる!
上記のようなキャラクターの追加要素からストーリーが広がり、ボリュームが増えるという要素は素晴らしかったと思います。
しかし、一方では必要性を感じさせない”ギミック”の数々が気になりました。
ギミックでゲームボリュームが増やしに来ているように感じ取れる部分がありましたので、そこはネガティブに思えました。
それ程難解なギミックは無かった印象ですが、いずれにしてもこれらで多くの時間を消費し、ゲームテンポが悪くなっていましたので、残念ながらストレスを感じるものもありました。
それでは、他に何でボリュームを増やすのが良かったのだろうかと考えますと、別行動している仲間の行動経緯をもう少し追ってプレイできれば良かったかなと思いました。
例えば、クラウドがエアリスと行動しているときにアバランチの面々は、それぞれどう行動していたのか、実際にプレイさせてくれれば、それはポジティブなボリュームアップになり得たかもしれません。
育成意欲が掻き立てられないゲームシステムに疑問!
魔法等のアビリティを使用するにはマテリアを必ず装備しなくてはなりません。
オリジナル版のマテリアシステムは恥ずかしい話、よく覚えていないのですが、ジョブシステムのように、MAXになればそのアビリティをマスターし、マテリアを外しても使用できると思ってしまいました。
MAXにして得られる恩恵は、上位魔法が使えるといったアビリティの強化だったり、そのマテリアを高く売れるといったもので、強化していく動機付けとしては弱いです。
もちろん、私の勘違いしたシステムではゲームバランスが成り立たなくなってしまうのでしょうし、不自由さがあるからこそ、それが戦略性にも繋がっているのも分かります。
それでも、育成を楽しむというのが私にとってはゲームシステム上では重要要素なので、十分に楽しめなかったというモヤモヤが多少残っております。
ボスの弱点は闘ってみないと分からず、戦闘中の変更も不可能なため、仕切り直しが前提になってしまっている部分を感じてしまったのも残念に感じました。
不十分な対策のまま倒せてしまうのもあまり楽しくないですし、かといってストーリー上盛り上がっているところに仕切り直しというのもどこか冷めてしまう部分があります。
武器には攻撃力やHP等、ステータス系の強化要素があり、そこがキャラクターの育成にも繋がるわけですが、これもちょっと楽しみ方がピンと来ませんでした。
武器とステータスとの組み合わせは個性的ですが、違和感を覚えてしまいました。
従来通りの”レベル”という概念もあるのですが、ステータスの変化が実感しにくいため「あれ、レベルアップしてたの?」という感覚に陥ります。
それぞれの武器毎に強化していくため、メニュー画面を開いては、結構な時間武器の強化に充てるようなこともありましたので、ゲームのテンポが崩れてしまうような感覚もありました。
分作は納得も、次回作についての情報が何もないのは残念!
分作なのはプレイしてみて私は納得できました。
むしろ、それで良かったと思います。
ストーリー上のキリが良いので、思っていた以上に物語として1つの結びとなっていて違和感を覚えませんでした。
また、上記のようにボリュームを増やす部分に疑問はあったとはいえ、いずれにしても結果的にミッドガル編だけで十分なボリュームになったと思います。
しかし次回作の見通しについて何も情報が無いというのは、FFブランドやスクエニの今後を考えたときに、信用を落としていく重大な問題なのではないかと感じられます。
「本当は情報を出したいのに、開発状況的に出せる状況じゃないのでは?」という想像をしてしまいます。
そうなってくると、誰もが思う疑問として「本当に続き作ってくれるのだろうか」という不安までもが付きまとってきます。
私としてはストーリーの続きも気になりますし、まだ登場していない他の仲間たちが、どのような魅力を加えて自分の前に現れてくれるのかが気になって仕方がありません。
クリアして最初に頭に浮かんできたのは「早く続きがプレイしたい」という想いだったので、尚更不安になります。
どちらとも言えない要素
今作は音楽が凄いボリュームになっております。
複数の場面で使用する曲が少なく(むしろ、無い?)、1つ1つの場面で1つの曲が使用されているくらいの勢いです。
植松さんの原曲を活かしたアレンジ曲が多いですが、新曲も多くあります。
この辺はポジティブともネガティブとも判断がつかずにいます。
ポジティブ要素で考えますと、曲数が非常に多いので、各場面の描写と向き合いながら音楽に物凄く力を入れて制作されているのですから、それは素晴らしいことです。
しかしネガティブ要素で考えますと、曲数が多すぎて曲への愛着が湧かない、頭の整理が追い付かないので、音楽を聴いてもゲーム場面が思い浮かばないなんてことまであるかもしれません。
この辺りはもう少しゲームをプレイし、サントラ(予約した!)も聴いたりしながら自分なりに答えが出せれば良いなと考えております。
リメイク続編で気になる要素
まず気になるのが、「引き継ぎがどうなるのか」とうことです。
キャラクターのレベルだったり、武器やマテリア(成長要素含む)、アイテム等の扱いは続編ではどうなるのでしょうか?
頑張って成長したものが白紙になってしまうのを想像すると気が萎えてしまう部分がありますが、それ以上に白紙になったことを想像すると強い違和感を覚えます。
なので、この問題は自作を制作する上で重要な要素なのではないでしょうか。
そして、既に多くの方が感じていると思うのですが、ワールドマップ及び飛空艇問題は現在の技術で解決できるのでしょうか?
続編が発売されるのを前提で話しますが、ここを誤魔化すような形になってしまえば、今作の「分作バッシング」をも超えるような大きなバッシングポイントになってしまうと思います。
しかし、一方でプレイヤーの予測を超えた素晴らしいものが完成していたら、「さすがFF!これぞFF!」ということになりますので、大きなチャンスでもある部分だと思います。
ピンチはチャンスなのです!
もちろん、制作前からこの部分をどうするかのビジョンが無いわけがなく、見通しが立ったからこそ開発に至ったくらいの重要事項だとも思うので、信じて待つしかないかなと思っております。
まとめ
無駄と思える要素があり、テンポが悪い。
それが”かさ増し”というネガティブな印象を与えてしまっているのは私としても共感できるものがあります。
しかし、それが結果的に分作に対するバッシングを高めてしまっているのは非常に勿体なく、残念に感じました。
1つ言えるのは、ゲームボリュームに関して”広大なマップ”だったり、”自由度”だったりを求めるような方はプレイしてはならないゲームだと思います。
近年の洋ゲーを中心にRPG業界を席巻するオープンワールドゲームのようなものをが好きで、そこを求めてしまう方にはもはやゲーム分野が異なる勢いなので全く合わないと思います。
このゲームを楽しめるのは基本的に従来のFFファンだと思います。
シナリオがベースにあって、それを仲間キャラクターたちと一本道で辿る従来の日本式RPGです。
そして、FF7リメイクには魅力的なストーリーがあり、キャラクターが居ます。
これらに魅力が無いのであれば「一本道」という批判も仕方ないです。
しかし、これらに魅力がありますので、「一本道」の言葉に惑わせれれずに、最近ゲームから離れてしまっているようなかつての多くのFFファンに是非ともプレイして頂きたいなと、強く願っております。
そして、FFの話で盛り上がるような日々が、こうした人々の元に戻ってくれば良いなと考えております。