決して崩れることのない、FFサウンドの土台となっている!
コンポーザー:植松伸夫
ゲームのプレイ状況:1周
今回は「ファイナルファンタジーⅠ・Ⅱ全曲集」より初代FFの楽曲を中心にレビューさせて頂きます。
FFシリーズの原点に一度立ち返ってみようと思います。
目次
初代FFと私
シリーズ原点と言っても、私自身初めてプレイしたFFは「FF8」ですし、FFシリーズが私にとって特別な作品になるきっかけという意味での原点というところでは「FF10」になります。
すなわち、私はリアルタイムで発売当初にプレイしておりませんし、ファミコン版をプレイしたこともありません(最近ファミコンソフトは入手しました)。
実際のところ私が初代FFをプレイしたことがあるのは、ゲームボーイアドバンス版のみです。
GBA版の発売が2004年の7月なのですが、プレイしたのは同年だったと記憶しております。
なぜか、一人旅をした際に夜行列車(今は亡きブルートレイン)の個室車内でプレイしたので、そういう意味でも印象深い作品となっています。
思えば当時は「FFシリーズを全てクリアしよう」という個人的企画に打ち込んでおり、その一環として手に取ったタイトルでした。
プレイした感想としましては、クリスタル中心の印象深い世界観というところが、ドット絵だったりのファミコン特有の表現と相まり、大変素晴らしく描かれているなと感じました。
それは音楽についても同様で、ファミコン媒体だからこその美しさがそこにあり、シリーズ原点に相応しい感動的なものでした。
ゲームの印象は、思っていた以上に遊びやすく、飽きることなく一気にプレイできました。
少ない容量で巧みに凝縮されている感覚があったので、ボリュームの少なさというのもむしろ好印象に映りました。
CDの全体像
CD全体の構成としては、63分の中に全49曲収録されています。
オープニングにこのCDのための「プレリュード」のアレンジ楽曲が1曲含まれていますが、「FF1」及び「FF2」の楽曲がCD1枚に収まっている形です。
それぞれの作品のボリュームに伴う楽曲の少なさや、容量の制限による楽曲の短さというところで、このようになっているのだと思います。
ただし、この辺りはあくまでも現代の物差しで言うのであれば、という話にはなります。
当時の作品としては音楽的なボリュームも決して少なくなかったのではないでしょうか。
「FF1」の楽曲は49曲のうち20曲になります。
コンポーザーは現代ではあまりにも有名ですが、当時はまだ無名であった植松伸夫さんが担いました。
エピソードとして、先日のファミ通の記事でも植松さんが仰っていましたが、当時はスクウェアの社長が邦楽有名アーティストの起用を提案したのに対して、坂口博信さんが「植松でいきたい」と言ったという話は何度か耳にしたことがあります。
植松さんはFFがコンポーザーデビューというわけではありません。
例えば、私が子供のころ植松さんの楽曲だとも知らずに口ずさんでいた「とびだせ大作戦」の楽曲等も手掛けておりましたし、既に名曲は生まれていました。
その特別な才能を当時既に坂口さんは見抜かれていたというところでしょう。
そんな中で植松さんの音楽の広まりがいよいよ加速していく契機となったのが、「FF1」の楽曲なのかもしれません。
トップレート曲
※ 背景色付きは☆5、その他は☆4
プレリュード
オープニング・テーマ
コーネリア城
メイン・テーマ
マトーヤの洞窟
街
店
船
メニュー画面
グルグ火山
戦闘シーン
エンディング・テーマ
プレリュード
FFシリーズの代表曲とも呼べる楽曲ですが、作品を重ねるごとに様々なアレンジが積み重なれていっております。
初代FFでは、ハープで奏でられることの多い、誰もが聴いたことのあるだろう例の旋律を中心に、そこに幻想的な和音が広がっています。
音の厚みのなさや音色の少なさ、旋律の短さという制約がある中にもかかわらず、究極の幻想音楽として君臨しているかのような存在感があります。
近年のコンサートで演奏されているような、副旋律が混じってくるオーケストラアレンジも素晴らしいのですが、この時点で既に高いレベルにまで到達している印象があり、凄みを感じさせます。
オープニング・テーマ
「プレリュード」と同様にFFを代表する楽曲で、一部のファンからは”国家”と呼ばれる程に親しまれている楽曲です。
現在ではシリーズのテーマ楽曲のような扱いをされており、エンディングのスタッフロールで使用されるのが定番となっておりますが、初代FFではオープニングで使用されておりました。
私自身も、この旋律を耳にするだけでその場の空気が一変するような感覚を覚えますし、ゲームだったり、ゲーム音楽だったりの世界に自分を導いてくれたことへの感謝の想いまで込み上げてくることさえあります。
初代FFのバージョンはややテンポが速いのが特徴的で、その辺りがオープニングという使用場面の違いなのかなと感じます。
マトーヤの洞窟
意外性と中毒性を併せ持つダンジョン楽曲です。
私はどういうわけか、幼少期からのこの楽曲を知っておりました。
確か、たまたま頂いた目覚まし時計の中にアニメ楽曲らと共に収録されていたと記憶しているのですが、子供でも一瞬耳に入ってくるインパクトに驚かされます。
特に楽曲の後半部分の展開の意外性というところに強いインパクトを感じました。
街
曲名が漢字一文字で「街」というところに、”元祖街曲”といった風情を感じます。
街曲といえば温かみのある旋律のイメージがありますが、この楽曲がそのような傾向を作るようなきっかけとなったのかもしれません。
人々の穏やかな営みを感じさせられます。
船
裏打ちのリズミカルな楽曲で、正直なところ「船」という要素は薄く感じられるます。
しかし、そのリズミカルな部分にファミコンゲームらしい楽しさというのを感じます。
”険しい航海”というよりは、”勇敢に前進していく航海”という印象の楽曲です。
戦闘シーン
初代FFの楽曲の中では曲の長さだったり、展開の多さだったりに異彩を感じさせます。
効果音との合性が素晴らしいのもまた特徴的だったと思います。
個人的には「VOICES music from Final Fantasy」で披露されたアカペラヴォーカルヴァージョンの印象が強かったりします。
ベストトラック
メイン・テーマ
植松さんらしい優しく美しい旋律の楽曲が初代FFの楽曲の中にも数曲ありますが、個人的に特にそれを最も感じさせられるのがこの楽曲です。
私が初めて聴いたのは「20020220 music from Final Fantasy」のCDでした。
メドレー形式の楽曲に含まれていたのですが、「旋律的な美しさというのは、FF初期作から光っていたのだな」と感動したのを覚えています。
初期のシリーズ作品もプレイしてみたいと思わせた1曲でもあるので、こちらをベストトラックとします。
まとめ
シリーズを代表する楽曲が早速収録されており、FFサウンドの崩れることのない土台となっていると考えても良い作品だと思います。
現代的なアレンジとの聴き比べも良いですし、ファミコンサウンドならではの風情だったり、制約がある中での表現力の素晴らしさだったりを感じることができます。
個人的には、より想像性を膨らますためにサウンドだけでなく、ドット絵も眺めながら聴き返すのをおすすめしたいです。
リバイバルサントラで映像と共に楽しむのか、ドット絵集を眺めながら聴くといった方法が良いのではないかと思います。