「プレスタ」がもたらした多大な影響とは?
企画者:竹本泰蔵、桜井政博、植松伸夫、酒井省吾、野島一成
これまで、なるべく話題性のある作品を念頭に置いてレビューする作品を選んできました。
しかし、残念なことにゲーム作品が話題となるはずのコンサート開催が、今年は見込みも立たないような厳しい状況となっております。
そのような状況に当ブログも影響を受けており、どの作品からレビューして行けば良いのかが分からなくなっている節があります。
そんなわけで、シリーズものを企画してみました。
そのシリーズ企画とは、2006年から2015年の間に計10回開催されたゲーム音楽コンサート「PRESS START(以下、プレスタ)」を1年ずつ振り返るというものです。
そして、演奏された曲目に焦点を当てながら、サントラレビューもして行こうと趣旨です。
とはいえ、まずは説明が必要だと思いますので、今回の記事は「プレスタとは何か?」について書いていこうと思います。
「PRESS START」とは?
「ファミ通」主催のコンサートですが、このコンサートには5人の企画者がいらっしゃいますので、まずはそれぞれご紹介します(敬称略)。
竹本泰蔵(指揮者)
クラシックに限らず、映画音楽やゲーム音楽といった他ジャンルにわたるオーケストラを指揮されている指揮者です。
私が初めてお目にかかったのは2004年に開催されたコンサートである「TOUR de JAPON music from FINAL FANTASY」で指揮をされている姿でした。
こちらのコンサートは私にとっては記念すべく、初参戦のゲーム音楽コンサートです。
そのため、こちらのコンサートで指揮されていた竹本さんは私の中で「ゲーム音楽コンサートにおける第一人者の中の一人」という風に捉えています。
「TOUR de JAPON」は、もう17年も前の話にはなりますが、現在でもゲーム音楽コンサートで指揮されております。
近年のゲーム音楽コンサートですと、「カービィ」や「ゼルダ」といった、任天堂ゲームのオーケストラで指揮されています。
桜井政博(ゲームデザイナー)
「カービィ」や「スマブラシリーズ」の産みの親です。
この一文だけでも強烈なインパクトがありますが、言うまでもなくゲーム業界では知る人ぞ知る存在です。
ゲーム音楽に直接的に結びつくようなイメージは無かったのですが、ゲーム音楽にも精通されている方だと考えて差支えないと思います。
ゲーム作りを仕事とされているだけでなく、生粋のゲーマーでもある故、幅広いジャンルの膨大なゲームをプレイされ、それらのゲーム体験の中でゲーム音楽の素晴らしさも感じ取られていると思います。
プレスタの仕事についても妥協無く取り組まれ、選曲候補に挙がった楽曲のゲームを実際にプレイされ、実際にプライ体験をしながらその曲を聴くことで選曲等に携わるという、気の遠くなるようなことをたられていました。
当然ながら、ビックタイトルを制作する傍らでです。
1年に1回でも、かなり厳しい仕事です。
再演曲も多かったとはいえ、これを10年間やられたと思うと頭が上がりません。
植松伸夫(作曲家)
FFシリーズのコンポーザーとして長年活躍されたのはあまりにも有名ですが、こちらでお伝えしたいのは、作曲家としての顔以外の部分です。
現在ゲーム音楽のコンサートが数多く開催されるようになったのは、植松さんが牽引していった部分が非常に大きいです。
2002年に開催されたFFコンサート「20020220」に始まるFFコンサートを開催されていき、そこから自身の曲に拘らず、幅広くゲーム音楽に触れる機会として「プレスタ」を企画されております。
こうして植松さんが広めたゲーム音楽やコンサート等のイベントの素晴らしさを多くの人が体験するようになり、結果的に現代のような多くのイベントが開催される時代へと繋がって行ったわけです。
また、プロによる演奏のみならず、アマチュアで活動されている方々の背中も躊躇なく押される方です。
植松さんのファンサイトの掲示板から生まれた「リトルジャックオーケストラ」を始め、現在ではより多くの人にゲーム音楽の演奏を楽しんで頂こうという趣旨(観客を舞台に上げるコーナーがあります)の吹奏楽コンサートも開催されています。
今やゲーム音楽を様々な楽器で演奏されたり、アレンジされたりしている方は非常に多くなっておりますが、この辺りの仕掛人も植松さんだと思っております。
というわけで、作曲家以外の顔というのは、多くの人にゲーム音楽を楽しんでもらうために出来ることを次々とやってこられたという顔になります。
「プレスタ」もその一部であると私は捉えております。
酒井省吾(作曲、編曲家)
多くのゲーム作品の手掛けていらっしゃいます。
代表作は「mother3」、「スマブラシリーズ」、「カービィシリーズ」、「ヘラクレスの栄光シリーズ」辺りでしょうか。
ゲーム音楽好きの方なら、酒井さんの曲を聴いたことの無い人はなかなか居ないであろうと思われます。
任天堂のビッグタイトルで作曲されていることもあり、「プレスタ」においても任天堂のコンポーザーや開発者との繋がりが強い印象を持ちました。
私はゲーム音楽はFFシリーズから入っているので、任天堂系のサントラはあまり持っていなかったのですが、プレスタと酒井さんの影響で結構増えました。
野島一茂(シナリオライター)
今ちょうど「FF7リメイク」の2周目をプレイしておりまして、そのシナリオの素晴らしさを体感しているところですが、このシナリオは正に野島さんの書いたものになります。
最近私がやたら観てしまう「FF7アドベントチルドレン」も同様ですね。
そして、なんと言っても私が人生で最も影響を受けた「FF10」のシナリオを書かれています。
大袈裟な話ではなく、嗜む程度にしかゲームをして来なかった私をゲーマーに変貌された方ということになります。
「プレスタ」の企画者としての役どころはちょっと難しいところですが、野島さんが関わる企画がある年もあり、楽しめたのを覚えております。
以上のように層々たる方々が企画者となっております。
「プレスタ」のMCで聴いた話によりますと、それぞれが元々面識があり、会食するような間柄であったようです。
そういった中で「こんなコンサートやってみたいね」「いいね!」みたいな話をする中で、本当に実現してしまった企画ということになります。
当初は結構軽い気持ちでの企画だったのかもしれませんが、それが10年間も開催され、かつ多大な影響を与えたというのが凄いですし、このメンバーだからこそ出来たことなんだろうなとも感じます。
まとめ
プレスタがゲーム音楽にもたらしたものとは何だろうと改めて考えてみますと、こういうことだと思います。
「多くの人が多数のゲーム作品の音楽に触れる機会」をもたらしたのだと思います。
ゲーム作品というのは、ジャンルも様々で、コンポーザーも様々です。
私自身もそうでしたが、「プレスタ」で聴いた曲に感動してサントラを購入したり、そのコンポーザーの他作品も聴くことになったりしました。
あるいは、良いと思った曲をゲーム中で聴きたいがために、そのゲームをプレイしたりもしました。
そして、「プレスタ」では人作品につき数曲しか聴けないが故に、「その作品単独のコンサートも開催して欲しいな」と思うようになったりもしました。
私と同じように思った人も多かったのか、数年後にその思いが叶うなんてことも増えていきました。
このように、「プレスタ」の残した功績はあまりにも大きいのです。
複雑な版権も絡むような企画で、本当は選曲したかったけれども漏れてしまった曲もあったようですが、そうした中で10年も続き、大きな功績を残したことは多くの人に知って頂きたいです。
なので、私自身も「プレスタ」の記憶を止めておけるよう、このブログに記事を残して行ければと思っております。