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アトラス ゲーム音楽レビュー

レビュー「ノーラと刻の工房 霧の森の魔女」オリジナルサウンドトラック

投稿日:2020年4月18日 更新日:

木管楽器を中心に柔らかみのある音色でアレンジされた暖かいサントラ!

コンポーザー:なるけみちこ

ゲームのプレイ状況:2周(やり込みなし)

ノーラとの出会い

なるけみちこさんと言えば「ワイルドアームズ」シリーズ等でお馴染みの、コンポーザーですが、丁度この頃は何かとタイミングが良く、この作品に出合うことができました。

1つは「PRESS START」を通じて「ワイルドアームズ」の音楽が好きになり、丁度なるけみちこさんの楽曲に強い関心を持っていたという部分でタイミングが良かったです。

そしてもう1つは、丁度「何か新しいゲームをやりたいな」と思っていたところに、この作品が好評を博し話題になっており、タイミングが良かったのを覚えております。

このような縁があり、プレイに至ったわけですがゲームの方を十分に楽しんだかと言いますと、大いにやり込むことはできませんでした。

アトリエシリーズも未プレイなのですが、私にはどうやら素材を集めて、物を作って…といったタイプのゲームはあまり合わないようです。

しかし、それでもストーリーを2周程度は遊んでいるというのは、1つには音楽の魅力があったという部分が大きかったと思います。

サントラの全体像

全体的なサントラの特徴としましては、1つは音の柔らかみでしょう。

ほのぼのとした雰囲気があります。

主役が木管楽器の音色の楽曲が多いです。

そこに「刻の工房」ということで時計の秒針音を思わせるような音が重ねられている楽曲が印象的です。

「柔らかみ」と「刻」という2つの要素によって、「ノーラと刻の工房」の世界観が構築されているのではないでしょうか。

DSのゲームらしく、主旋律の明確なメロディアスな楽曲が多く、ゲームをプレイしていても音楽に存在感があります。

このゲームが発売されたタイミングがゲーム映像が進化していき、ゲーム音楽の環境音楽化が始まった頃だったので、こうしたサウンドは当時、ある種の安心感を覚えました。

トップレート曲

※ 背景色付は☆5、その他は☆4

[DISC1]

今あたしがつむぐ日々

刻の工房

湖畔の町で

まいにちの暮らし

a little visitor

湖を渡る風

草の上に寝転んで

吹き上がる泉は虹色

いにしえの樹海

[DISC2]

たたかいの刻

さまよえる騎士、見参

飛び出せ! 冒険少年

オイラにまかせて☆

解明できます? 宝の地図

ポニーテールの剣術士

見つめ合うふたりは

遠い昔のものがたり

町の灯り

今あたしがつむぐ日々


麻生かほ里さんが歌うオープニング曲です。

アコースティックサウンドですが、基本的に裏打ちのリズムで弾むような軽快さがあり、楽しいゲームが始まるぞ!という期待をもたらしてくれます。

曲の構成が良いなと思います。

具体的には、サビの最後の部分の展開がちょっと意外な方向へ行き、すぐに2番に入る箇所が気に入っています。

この辺りが”なるけ節”なのでしょうか。

刻の工房


前トラックのインストヴァージョンです。

こちらは効果音の演出で、まさしく「刻の工房」といった雰囲気で、オープニング曲同等の存在感があります。

旋律の良さもありますが、音色に雑味が無いと言いますか、きれいにまとまっていて聴き易いです。

湖畔の町で


主旋律のユニゾンで、時折枝分かれする感じが非常に心地よいです。

比較的短い旋律で構成されており、ループに入って行くわけですが、それぞれ趣が異なっており、淡々としているようで何気にダイナミクスもあります。

最も好きなのは、つなぎ目の部分です。

この主旋律の木管楽器は何の楽器音なんでしょうか?

繊細な音の変化を味わえます。

a little visitor


尺八が主旋律で、他にギター、バイオリン、パーカッションという構成です。

テンポの速い曲ですが、それでも尺八の良さが出ていると思います。

尺八は伸びやかな楽曲の方が個性を活かせる印象ですが、細やかな音も、それはそれで息遣いを感じられて良いのだなと思わせました。

湖を渡る風


これまた何の楽器かは分からないのですが、木管楽器の高音部が凄く綺麗な曲です。

和音もソロも素晴らしいです。

シンプルな曲かと思いきや、複雑な展開するのもたまりません。

非常に気に入っているトラックです。

いにしえの樹海


最も意外な動きをしていく曲です。

よくある雰囲気重視のちょっと怖い感じの曲なのかな?と思いきや、意外とメロディアスな方向に向かていきます。

なるけみちこさんに見事に振り回されっ放しです。

さまよえる騎士、見参


ノーラは、ほのぼのしたゲームですが、バトルもあります。
ということは、ボス戦もあるわけです。

この曲はボス戦の曲の1つなのですが、格好良くてスタイリッシュです。

だからと言って、ほのぼのとした世界観を壊すようなものではないです。

主旋律がはっきりしせず、バッキングが主役にも思えます。

そういった部分がまた格好良いです。

ポニーテールの剣術士


キャラクターのテーマ曲では、この曲が一番好きです。

主旋律はマンドリンのような音で、アレンジはちょっとメキシカンな雰囲気も感じさせます。

全体的の雰囲気からしますと、異色の曲だとは思うのですが、別に浮いていたりはしません。

むしろ、馴染んでいるのは何処か柔らかみがあるせいでしょうか。

見つめ合うふたりは


こういうメロディアスでしっとりしたタイプの曲に私は弱いです。

特に高音部の響きがゾワゾワとします。

誰かに優しくしたくなるような素晴らしい楽曲です。

遠い昔のものがたり


「遠い昔、こんな物語がありました」と誰かに話をされているような気分にさせられます。

雰囲気に完璧に合致しています。

一部オルゴールの音色が使用されているのですが、どうしてオルゴールの音って、過去を想起させるんでしょうか?

このような音色の使い方は他のゲームでも聴かれますが、なんだか子供の頃の親の愛情みたいなものも想起させたりもします。

温かみの魔法のような音色だと思います。

ベストトラック

草の上に寝転んで


口笛ですね!

なるけみちこ氏といえば、私は「ワイルドアームズ」の口笛の印象が強いのですが、ノーラにも登場しました。

あちらは荒野に響く口笛ですが、こちらは放牧地の口笛といった様相で、同じ口笛でも全く雰囲気が異なります。

口笛部分も好きですが、後半の木管楽器パートのメロディアスさもツボに入ってしまいましたので、ちょっと悩みつつもベストトラックはこちらにしました。

まとめ

こうして各曲をレビューしてみますと、全体的にシンプルと見せかけて意外な展開をするような曲が多かったなと気付かされました。

そういった音楽的な楽しみ方もできますし、柔らかみのある暖かい音楽を聴きたい場面で流してみるのも良いサントラだと思います。

私のように「ワイルドアームズ」でなるけみちこさんの楽曲に興味を持った方もそうですし、木管楽器の音色が好きな方にも強くおすすめしたいです。

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