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レビュー「DESTINY 8 – SaGa Band Arrangement Album」

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サガシリーズの情熱が詰まった意欲作!

2021年2月17日リリース

作曲:伊藤賢治、植松伸夫、笹井隆司 編曲:上倉紀行

今回は、現在話題となっているサガシリーズのバンドアレンジ盤をご紹介します。

演奏されているのは、シリーズ30周年を記念して伊藤賢治さんが新たに結成されたサガオフィシャルバンド、DESTINY 8 です。

バンドメンバー

伊藤賢治(キーボード、作曲)

上倉紀行(キーボード、編曲)

森空青(ギター)

坂田善也(ギター)

池尻晴乃介(ベース)

岡島俊治(ドラム)

まず、バンドメンバーにつきましては以上の6人組構成となっております。

サガシリーズで多くの楽曲を手掛けていらっしゃ伊藤賢治さんは当然ながらこちらのブログに何度も登場しているお名前です。

加えて、先日の「KENJI ITO The Anniversary Concert」に出演されたキーボードの上倉紀行さんとドラムの岡島俊治さんの名前もあります。

上倉さんは演奏だけでなく、全楽曲の編曲もされています。

そして、ギターの森空青さんについては、「LIVE A LIVE A LIVE 2019 新宿編 ~25th Anniversary~」にてLaiD Back Gorillaのメンバーとして岡島さんと共に出演されていたので、そちらのライブに参加した私としては馴染みのメンバーになります。

ギターの坂田善也さんとベースの池尻晴乃介さんは初めてお目にかかる名前でしたが、今後ライブ等でも目にする機会があるのと思いますので、例によってお名前と楽器をしっかりとインプットさせて頂きます。

CDの全体像

全10曲収録時間は38分となっております。

アルバムのボリュームとしては少ないので、もっと聴きたかったと思うのは自然なことかもしれません。

しかし、楽曲的にはハードロックやヘビーメタル調の激しい楽曲が中心になっており、聴き続けることもそれなりにハードですので、実際に聴いていて「短いな」とはあまり感じなかったです。

特徴としては、サガシリーズの楽曲と言えば戦闘曲、ましてやロックバンドアレンジなら尚更、というイメージがある中で、スローテンポでメロディアスな楽曲も数曲含まれていることが挙げられます。

具体的には「涙を拭いて」等の楽曲がそれに該当するのですが、ロックバンドアレンジでこうした楽曲を選曲するというのは、やや珍しいかもしれません。

こうした例として個人的にパッと思い浮かぶのは、かつての植松伸夫さんのバンドである、The Black Magesがそのような試みをアルバムの中でやっていたなと思うくらいです。

また、「サガ公式バンド」であるというのも特徴的なところで、先ほど植松さんの名前を出しましたが、サガの楽曲を作成されたのは伊藤賢治さんだけではありません。

すなわち、こちらのアルバムには、伊藤賢治さんの楽曲のみが収録されているわけではなく、それこそ「涙を拭いて」植松伸夫さんの楽曲になります。

植松さん以外にも、浜渦正志さんと笹井隆司さんの楽曲が含まれています。

そうなると益々、収録曲が気になってくるところなので、楽曲紹介の方に進もうと思います。

収録曲

1.頂を目指して(ロマサガ RS) 作曲:伊藤賢治 編曲:上倉紀行

2.四魔貴族バトル 1(ロマサガ3) 作曲:伊藤賢治 編曲:上倉紀行

3.Thema(サガフロンティア2) 作曲:浜渦正志 編曲:上倉紀行

4.Feldschlacht I(サガフロンティア2) 作曲:浜渦正志 編曲:上倉紀行

5.Battle #4(サガフロンティア) 作曲:伊藤賢治 編曲:上倉紀行

6.涙を拭いて(魔界塔士サガ) 作曲:植松伸夫 編曲:上倉紀行

7.ステスロス(サガ3 時空の覇者) 作曲:笹井隆司 編曲:上倉紀行

8.必殺の一撃(サガ2 秘宝伝説) 作曲:伊藤賢治 編曲:上倉紀行

9.怒闘(魔界塔士サガ) 作曲:植松伸夫 編曲:上倉紀行

10.  七英雄バトル(ロマサガ2) 作曲:伊藤賢治 編曲:上倉紀行

全体の楽曲構成として意外にも感じられるのが、サガシリーズの原点とも言えるGB版サガの楽曲が多く、10曲のうち4曲をも占めていることです。

そして、最も多そうなロマサガシリーズの楽曲が意外に少ないという構成になっております。

結果、伊藤賢治さんの楽曲は10曲のうち5曲と意外と少ないのですが、この辺りは「サガシリーズ」としてシリーズ全体の作品を伊藤さん含む制作陣がいかに大切に扱っているかが伺い知れます。

さて、各楽曲の感想の前に、先日放送された「発売日決定!『サガ フロンティア リマスター』特別生放送!」においてこのアレンジ盤の聴きどころを各メンバーよりお話を聞くことができたので、まずはそちらをまとめようと思います。

バンドメンバーによる楽曲の聴きどころ

上倉紀行(キーボード、編曲)


サガシリーズから厳選された正にバンドならではのアレンジになっているので楽しんで聴いて頂きたいです。

坂田善也(ギター)


聴いて頂きたいのは「頂を目指して」です。空青さん(ギターの森空青さん)との熱いチョーキング※から始まる楽曲なのでゲーム本編と是非比べてみて下さい。

※チョーキングとは?

押さえている弦をそのまま上へ押し上げることで音程を上げて鳴らす奏法を言います。

池尻晴乃介(ベース)


聴いて欲しい曲は「七英雄バトル」です。特に一番最初のグリス※を魂込めて弾いたので是非聴いて頂ければと思います。

※グリス奏法とは?

スライド奏法と似た奏法なのですが、その始点や終点の音が定められていない場合を言います。

岡島俊治(ドラム)


推したいのは「怒闘」の2バスで、バスドラムを両脚で踏むのですが、それが異常に速いので、そちらを是非聴いて頂ければと思います。

森空青(ギター)


特に聴いて頂きたいのは「四魔貴族バトル」です。1曲目が華やかな楽曲で、そこから急にボスバトル戦ということで、このバンドがどれだけ魂に満ちてるのかというのが伝わる1曲目になっていると思います。

上倉さんは、演奏者としてよりもアレンジャーとしてのコメントを残されております。

バンドメンバーそれぞれの思い入れのある、特に聴いて欲しい楽曲についてお話を聴ける機会は非常に貴重です。

これを聞くと聞かないとでは、また楽曲の印象も変わってきます。

というわけで、その辺りにも着目しながら各楽曲の感想に移ります。

各楽曲レビュー

1.頂を目指して(ロマサガ RS)


坂田さんが仰っていたチョーキングに注目して聴いてみますと、ギターの表現の豊かさを感じられます。

まるで奏者の感情までも響いてくるかのようです。

生憎ゲーム本編が未プレイでサントラもまだ聴いていないため、聴き比べることはできないのですが、イントロにしても主旋律にしてもギターの存在感がやはり強いです。

アレンジもソロに至るまでの流れが変化に富んでいて良いなと感じました。

2.四魔貴族バトル 1(ロマサガ3)


森さんの仰るように、早速のボス戦曲というところの熱さを感じられます。

伊藤さんの楽曲なので、戦闘曲ではありながらメロディアスではあるのですが、特にスピード感の変化というところでスイッチを入れてくれる感覚があります。

個人的にはきめ細かいリズムの生み出すグルーブ感のようなものが感じ取れるのがこの楽曲の魅力だと感じました。

3.Thema(サガフロンティア2)


こちらでは一転バラード調になり、サガシリーズらしさのあるドラマチックな主旋律を堪能できます。

シンプルなリズムで、その旋律を引き立てている印象です。

キーボードが中心となったアレンジになっていますが、終盤のギターの主旋律からソロに移り変わっていく個所も聴きどころだと思います。

4.Feldschlacht I(サガフロンティア2) 


戦闘曲ですが、あまりロックバンドアレンジというところの想像がつきにくい楽曲でした。

しかし、ベースが忙しそうに細かなリズムを刻んでいるのですが、そこが楽曲に巧くはまっているなと思いました。

サビ前のギターのお二人がオクターブ音で盛り上げていく箇所も個人的に気に入っております。

5.Battle #4(サガフロンティア)


こちらは最もライブで聴きたいなと思った楽曲です。

シンプルにアレンジしてもロックバンドアレンジ映えするような楽曲だとは思うのですが、旋律的にもリズム的にも変化に富んでいて楽しいです。

アレンジの部分では、ダイナミクスの変化というところで、中盤のピアノが躍動する部分が気に入っています。

ギターソロ前にコーラス音のようなものが聴こえてくるのですが、その正体が気になります。

6.涙を拭いて(魔界塔士サガ)


アコースティックなギターサウンドでしみじみと聴かせてくれます。

その中でもギターソロがまた味わい深く、特に和音を効かせた部分に感情を揺さぶられる様な温かみを感じました。

7.ステスロス(サガ3 時空の覇者)


こちらの楽曲は高音域をどうのように聴かせるかというところで印象が変わっていくように感じました。

そこを2本のギターを使ってオクターブで厚みを加えて聴かせてきたので、より高音域が響いてくる感覚があり、聴きごたえを感じられました。

8.必殺の一撃(サガ2 秘宝伝説)


全体的に速弾きが印象的なテクニカルな楽曲という印象です。

キーボードの主旋律の後ろでもギターが速弾きしていたりするので、その印象は強烈なものがあります。

9.怒闘(魔界塔士サガ)


岡島さんの2バスに着目してみると、確かに速いですし、何処かのことなのかすぐに分かりました。

唸るように襲い掛かってくる低い弾道のその響きは、その振動までがCDを聴いているこちらまで伝わってきそうです。

先日のコンサートの方では主旋律に関してはもっと掛け合い的な感じのアレンジになっていたと思うのですが、こちらのアレンジはシンプルなものに感じられました。

10.  七英雄バトル(ロマサガ2)


池尻さんの仰っていたグリスは、イントロの出だしの大変短い部分ですが、言われてみれば確かにその一瞬が、楽曲全体の熱さを生み出しているようにも感じられます。

何と言いますか最後のトラックだけに「やり切るぞ!」という思いが伝わってくるかのような響きに感じられました。

まとめ

サガシリーズのロックバンドアレンジということで、格好良いものを期待されていたと思うのですが、そうした期待に応えつつも、これまであまりアレンジされてこなかった楽曲に挑戦したりもされている意欲作です。

アレンジにしても演奏にしても”熱さ”を感じられる作品となっていますが、何よりもサガシリーズの音楽に対する想いの”熱さ”が感じられるような作品になっていると思います。

ロマサガの楽曲をもっと聴きたい方もいらっしゃるかもしれませんが、その他のサガシリーズの楽曲の良さも改めて感じることができますし、多くのサガファンに聴いて欲しい作品だと思います。

個人的には特にドライブシーンで重宝しそうな楽曲が多いように感じたので、これからドライブ用のプレイリストに加えようかと考えておりますが、そうした聴き方で楽しむのもまた良いかもしれません。

しかし何より、演奏者の魂のこもった演奏を感じ取りながら聴いて頂けると、この作品の良さがより見えてくるのではないかと思いました。

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