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レビュー「ブレイブリーデフォルト フライング・フェアリー」オリジナルサウンドトラック

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「物語音楽」を感じられる楽曲展開の広がりをサントラでも楽しめる!

コンポーザー:Revo

ゲームのプレイ状況:1周

今回は「ブレイブリーデフォルト2」がいよいよ発売ということで、シリーズの原点となります「ブレイブリーデフォルト フライイング・フェアリー(以下「BDFF」)のサントラをご紹介します。

3つの名義「Revo」、「Sound Horizon」、「Linked Horizon」の整理

ちょっと混乱をきたし易いため、ブレイブリーシーリーズの音楽を語る上で3つの名義について整理しておきたいと思います。

「Revo」というのは個人名義であり、サントラの作曲者としての記載はこちらになります。

しかし、複数の音楽ユニット名義もありますので、この辺りを事前に整理できていないとブレイブリーシリーズ関連のCDを探すことすらままなりません。

実際に私はCDショップでどの名義で探せばよいのか分からず、店員さんに助けて頂いたことがあるのです。

まず、「Sound Horizon」につきましてはRevoさんが正規メンバーとして主宰する幻想楽団になります。。

「幻想楽団とは?」というのが気になるところですが、これにつきましては以下に公式HPのプロフィールの一部を引用させて頂きます。

幻想的な物語を音楽的に表現する為に相応しい楽団員を、その都度必要な人数を集めて編成するという希有なスタイルのグループであり、歌い手・語り手の人数・性別も限定はしていない。Sound Horizonの音楽を一言で言えば『物語音楽』ということになるのだが、詩、歌、語り、効果音等を情景に合わせて駆使した物語描写が最大の特徴であり、それはアルバム1枚を組曲に見立て構成する『組曲形式』という形で鮮やかに表される。作品のコンセプトの根幹には、生と死、光と影、愛と憎しみ、喜びと悲しみといった、二面性を持つ人間の根源に関する問いかけがあり、聴き込む程に奥の深い内容となっている。

そして、「Linked Horizon」という名義につきましては、「Sound Horizon」が他作品とコラボレーションする企画の際に使用する名義となります。

例えば、「ブレイブリーデフォルト」につきましてはサントラの名義は個人名のRevo」となっておりますが、幻想楽団としてのアレンジ盤「ルクセンダルク小紀行」及び「ルクセンダルク大紀行」や、そのライブ公演においてはLinked Horizon」の名義が使用されています。

すなわち、アレンジ盤を探すときのアーティスト名は「Linked Horizon」ということになります。

なお「ブレイブリーデフォルト」以外の作品ですと、「進撃の巨人」ともコラボレーションされています。

「Linked Horaizon」としての活動はごく一部のものですが、「Sound Horizon」の活動は15周年のアニバーサルを迎えられています。

サントラの全体像

ディスク2枚組の46曲、収録時間は148分です。

ボリュームとしてはサントラの標準的なものとなっている印象です。

サントラにおいても物語性を感じさせるような表情豊かな楽曲が多いなと感じさせるのが最大の特徴だと思います。

ただし、その点においては「Linked Horizon」としてのアレンジ盤で昇華され、圧巻のエンターテイメント音楽として完成されているという印象もあります。

そのため、1度そちらを聴いてしまうとちょっと中途半端さのようなものを感じるようになってしまうかもしれません。

私自身はアレンジ盤ばかりの方を聴いているという事実もあるのですが、やはりゲームらしいサウンドを聴きたくなることもあり、時々帰ってくるような立ち位置にあります。

Revoさんが中心となって築き上げた1つの音楽ジャンルとも言うべく「物語音楽」の片鱗を感じられつつ、ゲームのサウンドも楽しめるという、これまでのゲーム音楽界にはあまり見られなかった特殊なサントラであるように感じられます。

その新しい風は多くのゲーム音楽ファンに肯定的に受け止められることとなり、現在でも根強い人気のある作品となっております。

トップレート曲

※ 背景色付きは☆5、その他は☆4

[DISC1]

希望へ向う序曲

永遠の刹那

その祈りの向うに

はじまりの国

光と影の地平

戦いの鐘

勝利の歓び

虚ろな月の下で

来訪者

彼の者の名は

敵地潜入

花が散る世界

海原を駈ける船

砂と大時計の国

木漏れ日

君は僕の希望

風の行方

雛鳥

愛の放浪者

[DISC2]

風が吹いた日

艶花の国

沈みそうな国

大空を翔ける艇

不死の国

巫女の祈り

邪悪なる戦い

邪悪なる飛翔

地平を喰らう蛇

希望へ向う譚詩曲

希望へ向う序曲


メインテーマとなる楽曲で、タイトル画面で使用されています。

私にとっては初めて聴いたRevoさんの楽曲でもあります。

オーケストラによる楽曲ですが、メロディアスなメインフレーズのみならず、展開としてのダイナミクスが大きく、そこに物語性を感じられます。

これから始まるストーリーへの期待が大いに高まる楽曲となっています。

永遠の刹那


メニュー画面の楽曲ですが、こちらも非常に印象に残る楽曲です。

ちょっと怪しげな旋律をオルゴール音のような優しい音色で奏でているのが意味深です。

その意味深さがある種の「予感」となって無意識のうちにプレイヤーの心に刻み込まれる印象です。

はじまりの国


はじまりの国である「カルディスラ」で使用されている楽曲です。

まず何が良いかと言いますと、イントロ部分の音の広がりが素晴らしく、街曲なのに鳥肌が立ちます。

織りなす旋律は人々の営みだったり、感情だったりを映し出しているようなドラマチックなものに感じます。

光と影の地平


フィールド曲です。

王道なのかもしれませんが、笛の音色によって展開されていきます。

それがゲーム音楽らしいフィールドの広大さを感じさせるのですが、そこに金管楽器による勇ましさも加えられています。

静かになる箇所はまるで夜にでもなったような時の流れを感じさせられます。

勝利の歓び


勝利のファンファーレ的な楽曲です。

非常に軽やかな旋律は「勝利の舞」を感じさせられます。

プレイしていて当初は違和感のあった楽曲だったのですが、聴けば聴く程に嵌まっていくような感覚がありました。

彼の者の名は


「アスタリスク」と呼ばれるジョブを司るアイテムを所持している敵との戦闘曲です。

平たく言えばボス曲ということになります。

とにかくスピーディーな楽曲なのですが、その中でリズムとしては基本的に裏打ちというところで、大変ノリの良い楽曲となっています。

私が特に気に入っているのは、一拍おいてフェイント気味に主旋律に入る箇所です。

ロックな楽曲ですが、主旋律がバイオリンというところがまた良いなと思います。

君は僕の希望


パーティキャラクター「ティズ」の必殺技使用時の楽曲です。

戦闘中に楽曲が変わる演出というのは意外と少ないのではないでしょうか。

ティンホイッスルのような高い音色の旋律が印象的です。

必殺技を使うということは、相手は強敵となり易いので、格好良さの中にも何処か緊張感もあります。

風の行方


「アニエス」の必殺技使用時の楽曲です。

リズム的には4拍子ではあるのですが、風を切るような独特さも感じます。

必殺技の割にはやや落ち着きのある意外性のある楽曲という印象です。

雛鳥


「イデア」の必殺技使用時の楽曲です。

女性キャラクターらしいさのある高音域の旋律で、ソプラノサックスのような音色で奏でられています。

展開には怒涛の勢いがあり、女性的な可愛らしさの中に迫力も感じられます。

愛の放浪者


「リングアベル」の必殺技使用時の楽曲です。

個人的に最も口ずさんでしまう楽曲はこちらで、大変心地良い旋律となっています。

アコーディオンの音色を選択されているのがまた良く、和音含め楽曲の雰囲気に非常によく合っています。

艶花の国


「フロウエル」という国で使用されてる楽曲です。

こちらの楽曲はとにかく歯切れの良いギター(フラメンゴギター?)の音色が良いです。

間髪入れずにどんどん展開していく旋律も素晴らしいです。

街曲として非常にイメージの定着しやすい、ゲーム音楽性としても優れた楽曲だと思います。

沈みそうな国


「グランシップ」という国で使用されている楽曲です。

「艶花の国」同様にギターによる主旋律なのですが、全く印象が違います。

切なさの混じったような美しい主旋律は思わず聴き入ってしまうものがあります。

やはり主旋律の和音による飾り付け方が絶妙なのだと思います。

大空を翔ける艇


飛空艇の楽曲ということで、しっかりとした飛行感のある楽曲です。

エレキギターの音色がこれ程さわやかに感じられることに驚きました。

「飛行」といっても、飛び立つところから安定するところまで様々な表情を感じ取ることができる楽曲の展開となっております。

地平を喰らう蛇


ラストバトル曲です。

コーラス隊が印象的な迫力のある楽曲となっていますが、エレキギターの掛け合いがまた非常に格好良いです。

スピーディーで細かな音符の連なる箇所が複数ありますが、ただの速弾きではなく、意味のある速弾きに感じられ、聴き応えがあります。

希望へ向う譚詩曲


エンディング楽曲にヴォーカルを付け加えてアレンジされたものとなっております。

これまでの複数楽曲の旋律が組み合わさった集大成となるヴォーカル曲です。

こうした楽曲による演出からもやはり「物語音楽」というものを感じられます。

ヴォーカリストは「FF13-2」でもゲストヴォーカルとして参加されたJoelleさんです。

男性パートはRevoさん自らが歌唱されております。

お二人によるハモりも良いのですが、ユニゾンがまた良いです。

展開としても終盤の盛り上げ方がまた素晴らしく、そこはもう本当に「物語の集大成」といった感じで、Revoさんの音楽性というものが詰まった大変な力作だなと感じさせられました。

ベストトラック

木漏れ日


「ユルヤナの森」で仕立て屋をしている老師がいるのですが、その仕立て屋の場面で使用されている楽曲です。

ピアノによる美しい旋律の楽曲で、私が好みのタイプの楽曲でもあります。

その旋律は温かみがあるのですが、音域が上へ上へとゆったりと昇っていくような構成になっております。

それはまるで老師がこれまで積み重ねてきた記憶の1つ1つを旋律へと映し出しているかのようで、実は只者では無いというのが垣間見えてくるかのようです。

悩みましたが、こうした旋律で訴えかけてくるような美しさがゲーム音楽の醍醐味の1つであると感じているので、こちらをベストトラックに選定しました。

まとめ

今回「ブレイブリーデフォルト2」の発売を機に聴き返してみたサントラですが、改めて聴いてみますとRevoさんのやろうとされている「物語音楽」というものがサントラの中でも想像以上に感じられました。

旋律の良さはもちろん、音色も素晴らしいですし、何と言っても楽曲の展開の仕方が素晴らしいです。

物語のように広がっていく楽曲の数々は、ルクセンダルクという世界を隅々まで感じることができます。

「ブレイブリーデフォルト2」でもRevoさんがコンポーザーを務めていらっしゃるということで、これから新しい世界の広がりを感じ取れるであろうことが非常に楽しみとして大きくなりました。

「Linked Hrizon」としての今後の活動からも目が離せませんので、注目していこうと思います。

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