”物語音楽”を感じさせるだけの高い質の楽曲とパフォーマンスを視て聴いて体感すべし!
作詞、作曲、プロデュース:Revo
「ルクセンダルク小紀行」に続きまして、今回は「ルクセンダルク大紀行」をご紹介しようと思います。
私が所持しているのは通常盤になります。
CDの全体像
曲数は12曲で、収録時間は72分となっております。
「ルクセンダルク小紀行」がシングル作品で、今作はアルバム作品というような立ち位置になりますが、アルバムという言葉では収まりきらないようなボリュームに感じられます。
今作においても千住明さんが指揮をとられているのですが、参加ミュージシャンはご紹介しきれないほど多数いらっしゃいます。
ほとんどの楽曲がヴォーカルアレンジとなっているため、シンガーも多数参加されています。
収録曲
1.Theme of the Linked Horizon
2.ルクセンダルク紀行
3.虚ろな月の下で [Vocalized Version]
4.君は僕の希望 [Vocalized Version]
5.風の行方 [Vocalized Version]
6.戦いの鐘 [Long Version]
7.雛鳥 [Vocalized Version]
8.愛の放浪者 [Vocalized Version]
9.純愛 十字砲火 [Long Version]
10. 花が散る世界 [Vocalized Version]
11. 巫女の祈り [Strings Quartet Version]
12. 希望へ向う譚詩曲 [Long Version]
1.Theme of the Linked Horizon
オープニングとなるトラックですが、BDFFのアレンジ楽曲ではなく、Linked Horizonとしてのメインテーマが収録されています。
こちらの楽曲は、Linked Horizonの世界観であったり、音楽観だったりを聴き手が理解するのにも必要となっております。
しかし全く違和感を感じさせないどころか、BDFFの楽曲と見事な融合をみせ、物語の序章のような役割となっております。
Linked Hrizon特有の物語性に強く惹かれるところがあるのですが、音楽的にもオーケストラにエレキギターのソロ、RevoさんのヴォーカルとLinkedo Hrizonに欠かせないピースが早速登場し、一気に物語音楽の中に導かれるような感覚を覚えます。
2.ルクセンダルク紀行
こちらの楽曲はタイトルの通り、ルクセンダルクの世界を巡るように複数の国の楽曲のメドレーとなっております。
ストーリー順となっており、「はじまりの国」、「砂と大時計の国」、「艶花の国」、「沈みそうな国」、「内戦の国」、「不死の国」と続きます。
シンガーは6つの楽曲それぞれ異なる方が歌唱されるという豪華っぷりで、メドレー順にmaoさん、Ceuiさん、RIKKIさん、Joelleさん、「Daisy×Daisy」のMiKAさん、小湊美和さんと圧巻の歌唱力を持つ面々となっており、これまた豪華です。
各楽曲の移り変わりの際にはDJのIke Nelsonさんによるナレーションが入るのですが、こちらも素晴らしいパフォーマンスとなっており楽曲を彩っております。
各国の楽曲の後は、締めくくりの新しいフレーズが付け加えられており、しっかりとまとめられています。
まだ2曲目ですが、もはやフィナーレを思わせる大団円で、こちらのアルバムのメイントラックとも言えそうです。
こちらの楽曲だけでもこのアルバムを聴く価値は大いにあるのですが、ここから先は各シンガーが更なる躍動を魅せてくることになります。
3.虚ろな月の下で [Vocalized Version]
ヴォーカルはRIKKIさんです。
「素敵だね」のようなシンプルで伸びやかな旋律ではなく、細かく複雑な動きをする旋律となっていますので、この対照的な旋律に対応すべく歌唱方法も全く異なっております。
私自身初めて聴いた際に、歌っているのがRIKKIさんであることに気付きませんでした。
透明感のある声を失っているわけではないのですが、声質を活かすというよりは、テクニカルな歌唱というところに力を入れている印象です。
個人的には、RIKKIさんの美声に対するイメージが強すぎるので、ちょっと勿体無いようにも感じられました。
ただ、このような楽曲を歌唱されるのを聴くのは貴重な機会ですし、歌唱レベルの高さをと改めて感じさせられた楽曲となりました。
4.君は僕の希望 [Vocalized Version]
ヴォーカルはmaoさんです。
存じ上げていなかったのですが、有名どころだと「ドラえもん」のオープニング曲を歌っていた方のようです。
ゲームでは「アトリエ」シリーズのエンディング曲も歌われています。
やや高めの声質で力強さのあるヴォーカルで、個人的に好みのタイプのヴォーカルです。
裏声やビブラートも凄く巧いなと感じます。
疾走感のある旋律や、ティンホイッスルのきめ細やかな音との合性も良く、気持ちが盛り上がる楽曲になっています。
5.風の行方 [Vocalized Version]
ヴォーカルはCeuiさんです。
同じく存じ上げていなかったのですが、ゲームの楽曲ですとこれまた同じく「アトリエ」シリーズのエンディング曲を歌われています。
アニメやPCゲームでのご活躍がかなり多いようです。
特徴は何と言っても高音域の美しさなのですが、和音も自身で歌われているか、その重なった響きが幻想的で、心を震わせるものがあります。
目を閉じて風の動きをイメージしながら聴きたくなる楽曲です。
6.戦いの鐘 [Long Version]
基本的にはロックテイストで、それこそエレキギターやベース、ドラムにキーボードが中心となった熱い楽曲になっているのですが、そのような中でも主旋律を担う金管楽器の勇ましさが素晴らしいです。
ロックと金管の融合性の素晴らしさを実感した楽曲でした。
7.雛鳥 [Vocalized Version]
ヴォーカルは小湊美和さんです。
存じ上げない…と思ったのですが、知っている方でした。
というのも、「太陽とシスコムーン」の元メンバーということで、当時オーディション番組見ていたので、そちらで存じ上げていたのです。
音楽性のバックボーンにあるのは民謡のようですが、そのイメージとは異なり、こちらの楽曲ではパワフルな歌唱を聴かせてくれます。
かなり高音域の楽曲なのですが、それをパワフルに歌い上げており、圧巻です。
耳に残りやすいキャッチーな旋律ということもあるのですが、こちらのアルバムの中でも個人的にかなり好んで聴いている楽曲です。
8.愛の放浪者 [Vocalized Version]
ヴォーカルはRevoさんです。
優しく穏やかな歌声が非常に心地良く感じられます。
歌詞の音の響きが絶妙で、思わず口ずさみたくなる楽曲です。
間奏部のギター、キーボード、アコーディオンの高速ソロ回しがまた格好良いです。
9.純愛 十字砲火 [Long Version]
ヴォーカルは「Daisy×Daisy」のMiKAさんです。
アニソン歌手で有名な水樹奈々さんの妹で、「Daisy×Daisy」のヴォーカリストです。
「Daisy×Daisy」のメンバーは現在MIKAさんのみで、ソロユニットとなっています。
ライブでも大変な盛り上がりとなっていますが、とにかく元気の出る楽しい楽曲で、私自身も大好きな楽曲です。
もちろん、MIKAさんのヴォーカルだからこその良さがあり、「ルクセンダルク紀行」でのパワフルなヴォーカルとは打って変わってアイドル風に歌い上げております。
これがまた凄くテクニカルなものを感じさせる歌い方で、聴いていて本当に夢中になってしまう魔力があります。
サントラには未収録の曲なのですが、ゲーム中では「十字砲火♪十字砲火♪」の部分しか登場しません。
元々こちらの楽曲があって、ゲームでは一部だけ切り取って使用されたのか、あるいは僅かなフレーズから広げて曲として完成させたのか気になるところです。
10. 花が散る世界 [Vocalized Version]
ヴォーカルはJoelleさんです。
以前にも触れましたが、ゲームですと「FF13-2」のヴォーカル曲でも歌われています。
こちらの楽曲では、角がなく丸みのある、要するに滑らかな歌唱に感じます。
その美しい曲線は聴いていて引き込まれるものがあります。
インパクトというところではやや小さいかもしれませんが、アルバムの後半にもってこいの楽曲だと思います。
11. 巫女の祈り [Strings Quartet Version]
唯一のストリングスアレンジによる楽曲です。
前トラックまでで全てのシンガーの楽曲が終わったタイミングですので、落ち着いたストリングスの和音が染み渡るような感覚を覚えます。
12. 希望へ向う譚詩曲 [Long Version]
「ルクセンダルク小紀行」にも収録されております。
ヴォーカルはRevoさんとJoelleさんです。
最後はやはりこの楽曲が良いです。
希望のある未来に向かう物語の続きを想起させられる、感動的なフィナーレです。
まとめ
通して聴きますと、ルクセンダルクの各地を旅しながら希望へと向かうような物語性を存分に感じられ、まさしくLinked Hrizonの”物語音楽”であると感じさせます。
しかし、これを実現させるためには単純に楽曲の良さだけではなく、演奏者だったりシンガーだったりが高いパフォーマンスを発揮しないことには難しいことだと思います。
このアルバムの何が凄いのかと考えてみますと、やはり楽曲やパフォーマンスといったあらゆる部分での高い質が感じられ、見事に”物語音楽”が成立し、聴き手の心に響いてくることだと思います。
各楽曲においても繰り返し聴きたくなるような楽曲が複数あり、聴きどころ満載となっております。
こうなってくると、もはやBDFFをプレイしていなくても大いに楽しめる作品になっているのではないかと感じます。
なので、ゲームに関心があまりない方にも是非聴いてみて頂きたい作品です。
なお、私は参加出来なかったのですが、コンサートも開催されており、そちらの映像作品では衣装や演出を含めより”物語音楽”を体感し易いものとなっていますので、ぜひ合わせて視て聴いて頂ければと思います。