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クリア後レビュー「ペルソナ5スクランブル ザファントムストライカーズ」

投稿日:2022年3月31日 更新日:

変化した戦闘システムの中に見付けた「ペルソナ5」らしさ。続編作品として楽しめる!

総プレイ時間57時間(1周+クエストコンプリート)

今回は2022年1月にPSプラスにおけるフリープレイゲームに追加されたのをきっかけにプレイし、結果ドハマりした「ペルソナ5スクランブル ザファントムストライカー」についてレビュー記事を書いてみようと思います。

なお、ゲームタイトルが非常に長いので以下「ペルソナ5S」と略させて頂きます。

「ペルソナ5」の続編なのか?スピンオフタイトル「ペルソナ5無双」なのか?

「ペルソナ5S」「ペルソナ5」シリーズのうちの1作品なのですが、スピンオフ作品やファンディスクといった内容というよりも「ペルソナ5」の続編と呼んで良い内容になっています。

少なくともシナリオは完全に「ペルソナ5」の続きとなっており、引き続き怪盗団メンバーが大活躍する内容となっています。

一方で続編と呼ぶのに引っ掛かる点としては戦闘システムの大きな変化が挙げられます。

「ペルソナ5」らしさを感じさせるダンジョンギミックや、ペルソナ育成の楽しさは引き継いでいるのですが、兎にも角にも戦闘システムが大きく変わっています。

「ペルソナ5」はコマンド形式で敵の弱点を突きながら攻略していくという従来のペルソナシリーズの戦闘システムだったわけですが、今作では無双シリーズでお馴染みのコーエーテクモゲームスの開発チームが制作に加わり、コマンド形式だったのがアクション形式の戦闘へと変わっています

それも、大量の敵を一騎当千的になぎ倒していくスタンスであるため、「ペルソナ5無双」といった側面があることは否定することができないのです。

それならば、「どの程度無双シリーズ寄りなのか?」という疑問が湧いてくるところですが、残念がら私がプレイしたことのある無双シリーズはPS2の「戦国無双」のみなので、無双シリーズについてはほぼ存じ上げませんし、ましてや最近の無双作品には全く触れていないので、はっきりとしたことは分かりません。

あくまでもPS2の「戦国無双」のゲーム体験を踏まえての感触としては、「無双」というより、「ペルソナ5」であるという印象の方がかなり強かったと感じております。

おそらくその原因は戦闘システム以外が世界観にせよシナリオにせよ音楽にせよ、しっかりと「ペルソナ5」だったからだと思います。

さらには、その戦闘自体も使用スキルがペルソナシリーズで馴染みのあるものばかりでしたし、「弱点を突いて畳み掛ける」という基本戦術がアクションゲームになろうと変わっていなかったため、尚更ペルソナであると感じたのだと思います。

第一印象と印象の変化

実のところ私が「ペルソナ5S」のプレイする機会がこれ程までに遅れたのは、体験版をプレイした結果「これは合わない」と判断し、購入を見送った経緯があるからです。

敵がたくさん出てきてその中を舞うように攻撃を加え敵を一層していくわけですが、とにかくゴチャゴチャしていて「何をしているのか」、「何をされているのか」、「何をすれば良いのか」という状況が分かり難く、これでは楽しめないなと感じたのです。

戦闘がアクションであることの違和感もあり、「続編」というイメージが結び付かなかったため、体験版をプレイし終えた段階においては、勝手に自分の中で「スピンオフ作品」であるというカテゴライズまでしてしまっていました。

そんな第一印象を経て、フリープレイを機会にプレイしてみますと、序盤はやはり違和感のようなものも覚えたのですが、やればやるほど「ペルソナ5」らしさが出てきて、シナリオや音楽も素晴らしく、引き込まれていく感覚がありました。

そうなってくると、アクションバトルも良いアクセントになっていることに気付き始め、違和感どころか中毒性が出てくることになりました。

さらには、「ペルソナ合体」といったペルソナシリーズらしい従来からのやり込み要素もあり、いつの間にやらプレイする手が止められなくなりました。

本当に毎日プレイするのが楽しみで仕方がなかったくらいのドハマりとなりました。

ゲームレビュー:ポジティブ要素

ポジティブ要素については大部分をもう書いてしまった気がしますが、改めてまとめると以下のような感じです。

後付け感の無い、先の気になるシナリオ


続編のシナリオというのは、現実的になかなか高クオリティのものを生み出すのは難しい部分があると思います。

というのも、そもそも続編を制作するという想定をされていなかったり、伏線は貼りつつも一応の備え程度のものだったりするケースが少なく無いのではないかと思うのです。

実際のところ「ペルソナ5」については続編の制作をどこまで現実的に考えられていたか定かではありませんが、強引にではなく自然に話が進んでおり、後付け感を覚えさせない質の高いシナリオで非常に驚かされました

先が気になる内容になっていたため、飽きが来たりプレイを止めたくなるようも瞬間はありませんでした。

掘り下げられたキャラクターたちの躍動


「ペルソナ5」はパーティキャラクターが比較的多いという印象があるのですが、そういった事情があるせいか前作では今一つ描き切れていない薄いキャラクターも居るように感じていました。

もちろん1度は各キャラクター毎に焦点が当たったシナリオ展開があったわけですが、その後の個々の存在感が今一つだなと感じられたのです。

「ペルソナ5」もシナリオ自体は良かったのですが、「各キャラクターが躍動してシナリオが膨らんでいく」というよりは「シナリオがベースとしてある中に各キャラクターが存在する」というような印象で少々物足りなさを感じていました。

しかし「ペルソナ5S」においては、各キャラクターが掘り下げられている印象があり、怪盗団全員の個性が一層のこと引き立つような印象がありました。

キャラが立ったことによりメンバー同士の掛け合いがより楽しめましたし、それぞれの役割を持つことができたのではないかと思います。

結果として私は怪盗団メンバーの全員が好きになり、いざクリアが近付くと彼らの絡みがもう見れなくなってしまうのが寂しく感じられる程でした。

魅力的な新キャラクター


従来からのキャラクターだけでなく、本作において追加されたキャラクターにも非常に魅力が感じられました。

特に長谷川善吉は主人公たちと異なる年代のキャラクターであるという点が新鮮で、「おっさん」呼ばわりなんかをされつつも意外とメンバーに溶け込んでおり、しっかりと怪盗団のピースの1つになっていました。

印象深い台詞や、芯の強さ、怪盗団メンバーへの配慮といった大人の格好良さも美しく描かれ、ペルソナシリーズの中でもかなりの人気キャラクターになったのではないかなと感じています。

怪盗団メンバーとの距離感がまた絶妙で、そこが良かったでです。

日本全国を旅する楽しさ


今作においても実在する日本の街が舞台となっており、旅好きの私にとっては慣れ親しんだ街もあったりして「凄い、あそこだ!」と思ったり、「次は何処に行くのだろう」と感がる楽しみもあったりしました。

旅をコンセプトにしたゲームは多くありますが、RPGで日本国内を舞台とした旅は珍しく新鮮でしたし、各々の街や移動時間においての怪盗団メンバーの会話だったりイベントだったりも楽しめました。

音楽の素晴らしさ


後日サントラレビューする予定なので、詳細は書きませんが音楽も素晴らしかったです。

Lynさんヴォーカルの楽曲がふんだんに使用されており、「ペルソナ5」シリーズらしさのあるサウンドに仕上がっています。

実は目黒将司さん作曲の楽曲が少なかったりもするのですが、ゲームをプレイしただけではその事実に気付かない人も居るであろう程「ぺルソナ5」らしさがありました。

豊富な人材がいらっしゃることが見て取れたので、今後のアトラスのサウンドの展開が一層楽しみになりました。

戦闘の楽しさ


アクション戦闘ではあるのですが、コマンド要素も完全に消えているわけでは無く、ペルソナやスキルをコマンド的に選択して敵の弱点を突きつつ、派手にアクションもするというバランスの良い戦闘システムだなと感じました。

今思うと「FF7R」にもみられていたような手法かもしれないなと感じるのですが、アクション要素とコマンド要素の良いところ取りのハイブリット型戦闘システムはRPG全般において今後スタンダードなシステムの1つになるのかもしれません。

もしかしたら「ぺルソナ6」においても似たシステムが採用されるかもしれないなと思う程、良いところ取りでバランスよく楽しめました。

親切なシステム設計


プレイしていて結構不安になったのは、料理システムがある中で「素材」や「レシピ」の取り逃しがあったら嫌だな、というのがありました。

しかし、流石は現代のゲームと言ってよいのかは分かりませんが、取り逃しに対するフォローがされており、結果的に困ることはありませんでした。

取り返しのつかない要素というものがあると安心してゲームを楽しめない部分があるのかもしれませんが、その点親切なシステム設計になっておりました。

ゲームレビュー:ネガティブ要素

ネガティブ要素は比較的少なく満足しているのですが、強いて挙げると以下の点になります。

ロードの長さ


おそらく多くプレイヤーがきになるであろう問題はロードの長さだと思います。

特に、複数のダンジョンを行き来したり、同じダンジョンの中でもチェックポイントを選んでクイック移動したりする場面があるのですが、意外とダンジョンやチェックポイントの選択を間違えてしまう事が多いため、そうなってくるとロード時間がいよいよ気になってきます。

「あー、間違った、、 ん?遅いぞ?」という具合です。

ロードは速いに越してことは無いですし、ましてや何度も移動するようなゲームなので、ここは間違いなくネガティブ要素だと思います。

上がりづらいBANDレベル


今作ではシナリオが進行したり、クエストをクリアしたりして怪盗団メンバーの絆が高まると「BAND」と呼ばれるレベルが上昇します。

これが上昇するとスキルポイントが得られ、戦闘系のみならず、宝箱が開けられるようになる、料理の腕前が上がるといった様々なタイプのスキルを習得できます。

しかし、これがあまりにも上がりづらく、コンプリートするには基本的には周回プレイが必須で、それも通常難易度で2周目をクリアしたくらいではMAXにならない程のバランスなっており(例外は、1周目で気が狂いそうになるくらい同じクエストをクリアし続けるという方法もあるにはある)、嫌らしさを感じました。

私はPS4版をプレイしたのでトロフィー習得の観点から見ましても、BANDレベルMAXが最大の鬼門になっており、「ゲームを楽しむのにそこまで求める必要があるのかな?」という疑問が浮かんだのでネガティブ要素として挙げることにしました。

ゲームレビュー:ポジティブともネガティブとも言えない要素

前作よりも少なくなったゲームボリューム


ゲームボリュームについては「少なくなってしまった」というネガティブな捉え方をする人も少なく無いでしょうが、個人的にはむしろ前作のボリュームがクリアまで100時間超で多過ぎるように感じたので、むしろ減って良かったなと感じているくらいです。

むしろ、周回プレイをするであろうことを考えるとまだボリュームは多いくらいで十分なものに感じています。

それもサブクエストに翻弄されるわけでもなくメインシナリオをしっかり追っての57時間だったので、充実しているのではないかと思うくらいです。

ここは個人によって意見が分かれるところだろうポイントだと感じたので、ポジティブなのかネガティブなのかと当てはめるのは難しく感じました。

まとめ

私個人の場合、RPGで高い質を感じるための重要なのは、シナリオとキャラクター、音楽の3つの要素がどれくらい満足できるかという点なのですが、「ペルソナ5S」につきましてはこれらの全てに満足しています。

なので、非常に満足のいくゲームでした。

おそらく周回プレイをやるたくなる日が来るだろうと思っている程です。

ゲーム性の部分でもシステムや戦闘に大きな不満は無いので、尚更良い作品に出会えたなと感じました。

「ペルソナ5」をプレイ済みなのは必須だと思うのですが、前作をプレイした上で特にキャラクターに好印象を持ったプレイヤーには絶対にプレイして欲しいと感じます。

そして、私のように「体験版をプレイしてみたけど合わなかったな」と思った方でもその印象が変わる可能性があることはお伝えしておきたいなと思いました。

ペルソナシリーズは個人的にナンバリングを重ねるごとに着実に進化し、質がしっかりと上がって行っている右肩上がりのゲームシリーズであると感じております。

「ペルソナ5S」で行ったアクションバトルへの挑戦が、今後のナンバリングタイトルや派生タイトルにどのような影響をもたらすのかという点も楽しみです。

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