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「ACE COMBAT™/S THE SYMPHONY 25TH ANNIVERSARY」コンサートレポート

投稿日:

苦難を乗り越え実現したファンファースト精神溢れるコンサート!

2021年8月7日 大田区民ホール アプリコ 大ホール

指揮、作曲、編曲:小林啓樹 作曲:高橋弘太、北谷光浩

今回は。私自身久々に会場でコンサートに参加することができたエースコンバット25周年アニバーサリーコンサートのレポート記事を書いていこうと思います。

私が参加したの午前公演のみになりますが、公演後には有料のアーカイブス配信もされ、コンサートの余韻を長く楽しむことができました。

開催概要

まず本公演の開催概要をまとめるためには、2019年の前公演について触れておく必要があります。

エースコンバットとして初のコンサート開催となった2019年の羽田空港内のホールでの公演は、まだ手探りの中での開催という部分もあったためか、小さな会場で開催されました。

ファンからすれば誰もが意図的な会場選びであると受け取ったわけですが、実際のところは事情が異なりました。

羽田空港内というのは航空機を連想させるだから選んだというわけではなく、主催者側としてはコンサートへの需要がどの程度あるか分からないため、小さめのキャパシティーの会場を探していたところ、それがたまたま羽田空港にあったということでした。

本公演はその際の反響であったり、手応えだったりを踏まえた上での満を持してのアニーバーサリーコンサートとなります。

会場規模が大きくなりましたが、その中で大田区という地を選ばれた理由は会場のキャパシティー的な理由だけでなく、ナムコの本社ビルがかつて大田区にあり、制作陣にとって思い入れ深い地であるというところもこの会場を選ばれた大きな理由の1つだったそうです。

本公演で特筆すべくは、小林啓樹さん自ら楽曲をオーケストラアレンジをされただけだなく、公演において指揮台にまで立たれたという点です。

個人的にはファンサービスの1つなのかなと捉えていたのですが、実際に指揮棒を振られる小林さんの姿は何の違和感もなく指揮者そのもので、ファンとしては感無量な体験となりました。

そして、もう1点特筆すべくは、本公演は実は2020年に開催中止の憂き目に立たされていたという点です。

日取りは決まっており、会場を押さえたり、出演者に出演の了承を得たりとかなり具体的なところまで進んでいた状況での中止の決断となってしまったそうです。

この辺りのお話は、アーカイブス配信直前の特別番組で小林啓樹さんや河野一聡さんの口から直接伺うことができました。

当然ながら原因は感染症蔓延のためであり、本公演のみならず同じ状況に立たされた公演は非常に多くあったであろうことは想像に容易く、胸が痛くなる思いがします。

個人的には2019年公演後の河野一聡さんの反応から、翌年にもう少し規模を大きくした形でのコンサート開催があるだろうとほぼ確信していて楽しみにしていたのですが、河野さんのコンサート開催断念を思わせるツイートを見て、主催者同様に私も悔しい思いを抱えることとなっていました。

そして、翌年2021年に開催するという思い切った方向に舵を取られたのですが、案の定と言いますか、やはり感染状況は厳しく、しかも開催日が近付くほどに状況が悪化するという事態に直面します。

私自身は我儘ながら「どうか開催してください」と願っていたのですが、主催者側としても非常に苦しい判断を迫られていたことが伺い知れます。

結果的に出された判断は、指針に沿って万全な対策をした上で開催するというものでした。

とはいえ、ディスタンスの問題から演奏者の配置を変えなくてはならなかったり、飛沫やステージ上の人数の問題からフル編成のコーラス隊の出演がNGだったり多くの制約があり、楽曲のアレンジをやり直すことで対応するといった途方に暮れるような努力の中での開催となりました。

開催の有無については、私自身ははっきり言って正解が無いことだと考えているので、それぞれの主催者の判断を尊重するという立場なのですが、こうしたファンに対する情熱的な姿勢には心を動かされるものがありました。

出演者

演奏者


指揮:小林啓樹

ヴォーカルソリスト:和田清香

楽団:ACE COMBAT 25th anniversary AIR TACTICAL ORCHESTRA

ギター:伊丹雅博、堀越雄輔

ピアノ:阿部篤志

ベース:内田義範

ドラム:天倉正敬

楽団につきましては、本公演のために結成された楽団となっており、エスコン7の音楽収録チームを中心に構成された楽団とのことです。

すなわち、ゲーム内のBGMや私が何度も聴いているサントラにおいて実際に演奏されている方々が多く含まれているということになります。

どのようにして集められたメンバーなのかがちょっと気になるところで、「小林さんと直接的な繋がりがある演奏者の方も居るのだろうな、凄いな」などと思いを巡らせてしまいます。

本公演で多数のファンを獲得したらしいヴォーカリストの和田清香さんも実際にゲーム内で歌われている本人です。

素晴らしいヴォーカルは様々なコンサートでたくさん聴いていますが、和田さんの表現豊かなヴォーカルは私個人としても衝撃的でした

そして、ギターの伊丹さんと堀越さんのコンビも強烈なインパクトがありました。

どちらかというとメイン奏者は伊丹さんでしたが、舞台上の姿やTwitter等でお二人の間の強い信頼関係も垣間見え、その技術だけでなく非常に惹かれるものがありました。

またこのコンビで出演される機会があれば大変嬉しく感じます。

ゲーム開発者


メインコンポーザー:小林啓樹

ブランドディレクター:河野一聡

プロデユーサー:下元学

アートディレクター:菅野昌人

ナラティヴディレクター:糸見功輔

サウンドディレクター:渡辺量

主要スタッフが勢揃いという形で、音楽だけでなくグラフィック等様々な角度でエースコンバットと言う作品についてお話を聞けました。

こうした開発秘話トークは休憩時間に行われ、音声は会場内全体(例えばトイレ等)にも聞こえるようになっており、とてもスマートな形で行われていたのも印象的でした。

やはり何か新しいことをやるといったことに対してアイデアを多く持っている方々なのだなと感心させられます。

クッズ販売

会場内で展示された物販

25周年記念公式 Tシャツ

公式ジャケット “Pixy”

公式オリジナルバックパック “SEA GOBLIN”

公式着脱式刺繍ワッペン3種セット

25周年記念 公式ドッグタグ

会場では販売されず、会場で配布された送料無料クーポンコード付きのカタログからオンライン上でアクセスして販売される形式でした。

ジャケットやバックパックが特に人気があったようです。

魅力的なナインナップの一方、グッズとしては比較的高価なものが並んでいてなかなか手が出せないなというのが率直な感想でした。

結局私はワッペンだけ購入を決めたのですが、販売開始時間に出遅れてしまい、既に完売されているという残念な事態になりました。

すぐ追加販売に動いてくれて購入はできたのですが、その頃にはクーポン使用期限が切れているというのも残念で、ちょっと在庫管理が弱気だったのかなと感じました。

ワッペンはバックパックのベルクロに付けることができるのですが、剥がれて紛失したりしそうで実用性と言う部分には不安を感じました。

3つワッペン付けてもスペースに余裕があるので別のワッペンの追加販売もあるのかなと思っていたら案の定追加があったのですが、サイズの異なるものを販売したりと現在は混乱が見られております。

残念ながらクッズ販売方法にはまだまだ課題があるなと感じさせられることが多いのが率直な意見です

セットリスト

楽曲についても、エスコン5と7が中心だった前公演からボリュームが大きく増すことになりました。

特に全公演では他ナンバリングで使用されたアレンジ楽曲を除き、1曲も演奏されなかったエスコン04の楽曲が多く演奏された点は、個人的にアンケートでリクエストをしていたくらいなので非常に重要なことでした。

それだけでなく、小林さんの関わっていないロック調であるエスコン2の楽曲も演奏されるというサプライズもあり、多くのファンが満足できる大変豪華なセットリストとなっていました。

1.ACECOMBAT THE SYMPHONY OVERTURE -ISAF+Blockade-

2.Stonehenge(ACE COMBAT 04)

3.Invincible Fleet(ACE COMBAT 04)

4.Rex Tremendae(ACE COMBAT 04)

5.Megalith -Agnus Dei-(ACE COMBAT 04)

6.15 Years Ago(ACE COMBAT 5)

7.The Unsung War(ACE COMBAT 5)

8.The Journey Home(ACE COMBAT 5)

9.Lightning Speed(ACE COMBAT 2)

10. Warning Line(ACE COMBAT 2)

11. Magic Spear I(ACE COMBAT 7)

12. Enchanter I(ACE COMBAT 7)

13. Daredevil(ACE COMBAT 7)

14. THE ROUND TABLE(ACE COMBAT ZERO)

15. MORGAN(ACE COMBAT ZERO)

16. ZERO(ACE COMBAT ZERO)

17. The Liberation Of Gracemeria(ACE COMBAT 6)

EC. Blue Skies(ACE COMBAT 04)

※ 夜公演  EC. A BRAND NEW DAY(ACE COMBAT 6)

1.ACECOMBAT THE SYMPHONY OVERTURE -ISAF+Blockade-


配布されたパンフレットには『ISAF』が1曲目、『Blockade』が3曲目となっていますが、上述のように制約が出た中でアレンジを変更することとなり、小林さんが「それならファンの皆様をより喜んで頂ける形にしよう」という思いでメドレー形式のオーバーチュアという形に変更されました

印象的な4のメインフレーズから入って来たので「遂に04の楽曲の生オーケストラが聴けるんだ」という感動が押し寄せました。

そして、待望の『Blockade』のイントロが耳に入ってくると、期待が確信になるような感覚を覚えました。

なお、このイントロについて河野さんが「小林焦らしの代表曲」と仰っていましたが、小林さん的には焦らしているわけでは無いとのことでした。

その答えを聞くことはできなかったので何かの折に話を聞いてみたいです。

2.Stonehenge(ACE COMBAT 04)


低音域がよく響き重厚さを大いに堪能できました。

さり気なくギターのストローク音が効いているのも良かったですし、安定したトランペットのメインフレーズも良かったです。

3.Invincible Fleet(ACE COMBAT 04)


ここでは木管楽器隊が躍動し存在感を示します。

裏打ちの難しいリズムも安定していました。

4.Rex Tremendae(ACE COMBAT 04)


各パート1名ずつ、計4人の最小人数コーラスですが、なかなか聴けるものでは無いので新鮮でした。

舌の振動まで感じられるくらい、4パートがそれぞれはっきりと分かりました。

アカペラで正確な音域を掴むのも難しい中、見事な歌唱でした

5.Megalith -Agnus Dei-(ACE COMBAT 04)


おそらくアレンジに最も苦労された楽曲なのではないかなと思います。

爆発的なコーラス歌唱が持ち味の楽曲なので、そこのボリュームが作れない中でのアレンジという難題に挑まれています。

全体の音量を下げなくてはならない、すなえあち重厚さを存分に出せないということになるのですが、巧妙に分散させコーラスを引き立てていました。

特にホルンの使い方が巧みだなと感じました。

配信では当時新人であった小林さんの楽曲作成秘話も聞けたのですが、中西哲一さんからの小林さんへの期待の大きさを感じられるエピソードでした。

6.15 Years Ago(ACE COMBAT 5)


何とも言えないピアノの柔らかさや繊細さを堪能できました。

バラードこそピアノの腕を試されるんだなと感じましたが、見事な演奏でした。

河野さん的には「落ち込んだときに聴く楽曲」とのことで、小林さんからはそれは不適切であるとのことでしたが、実際やってみてどうなるのか試してみたくなりました。

7.The Unsung War(ACE COMBAT 5)


男性パートはたった二人なのに勇ましいコーラスに驚かされました。

迫りくる緊迫感を見事に表していました。

後半の盛り上げ方も良かったです。

8.The Journey Home(ACE COMBAT 5)


ここで遂にヴォーカリストの和田清香さんの登場です。

ゲーム内のキャラクターのように「ラーラーラーラー」と口ずさむのも好きなのですが、こうして染み入るように聴くのも最高の体験でした。

本公演の中でも和田さんのヴォーカルを最もシンプルに聴けた楽曲だと思います。

空、飛ぶ鳥、抱く希望、そういった描写が目に浮かび上がりました。

9.Lightning Speed(ACE COMBAT 2)


休憩後の2部最初の楽曲でした。

失礼ながら2の楽曲は入るとは予測できていなかったので意表を突かれた形でした。

あまり聴き込んでいない楽曲でしたが、短いながら格好良さが詰まっていて後半のオープニングに相応しい選曲だなと感じました。

ここからギターのお二人が尋常じゃなさを醸し出し始め、存在感が一気に高めてきました。

10. Warning Line(ACE COMBAT 2)


小林さんの先輩にあたる高橋弘太さんの楽曲です。

「ナムコに入社してエースコンバットの楽曲を作りたい」と小林さんが思うようになったきっかけを作った思い入れの強い楽曲というお話を聞けました。

小林さんのこのような思い入れをギターのお二人が体現されているような一体感を覚えました。

コンサートの定番曲にしても良いと思うくらい素晴らしい演奏でした。

11. Magic Spear I(ACE COMBAT 7)


7の楽曲に移りましたが、引き続きギターのターンで、良い流れを作れていました。

リズム隊のみならず、バッキングの安定感も抜群で、ギターの演奏がますます映えていました。

ツインギターがこんなに素晴らしいと思ったのは初めての体験でした。

12. Enchanter I(ACE COMBAT 7)


小林さんの後輩にあたる北谷光浩さんの楽曲です。

難解な変拍子の楽曲ですが、指揮を振る小林さんも堂々と対応されていました。

腕の見せ所なのか、演奏者も更にスイッチが入っているかのような演奏に感じられました。

13. Daredevil(ACE COMBAT 7)


本公演の中で河野さんが「最も聴き返した楽曲」とのことでしたが、私自身もそうでした。

やはり、爆発的なヴォーカルのインパクトは大きいです。

イントロはギターでしたが、原曲とは異なる音作りをされていました。

それがまた不気味さを強めていて良かったです。

14. THE ROUND TABLE(ACE COMBAT ZERO)


圧巻のスパニッシュギター演奏を聴かせてくれました。

周りの音が入ってくるととリズムが取りづらいであろう中、完璧にリズムを刻みながらの超絶テクニックを披露されていました。

その凄さに呆然としてしまいました。

15. MORGAN(ACE COMBAT ZERO)


ついにエスコンシリーズ屈指の人気曲である『ZERO』が来るという胸の騒めきを会場全体が感じ取っている雰囲気に包まれているかのようでした。

16. ZERO(ACE COMBAT ZERO)


フルオーケストラにヴォーカル、コーラス、そしてフラメンゴギター。

凄いものの集合体であるなと再認識した共に、それらが不思議な調和でまとまりをみせる。

なぜ人気楽曲なのかというのがよく分かる演奏でした。

17. The Liberation Of Gracemeria(ACE COMBAT 6)


最後を飾るに相応しい壮大な楽曲ですが、演奏の熱量にも圧倒され、本公演で聴いたことによってますます好きな楽曲となりました。

午後の公演では手拍子の演出もありましたが、手拍子でこんなに感動したのは初めての体験でした。

私が参加した午前の部では行われなかった演出なので、次回にまた期待したいです。

次回も本プログラムのラストか、アンコールのラストで演奏して欲しいです。

EC. Blue Skies(ACE COMBAT 04)


好きな楽曲なのですが、アンコールで演奏されるという予測は全くついていなくて「やられた!」と感じました。

最後にこうしてしっとり終わるのもエスコンらしさがあり、「良いコンサートだったな」と悦に浸ることができました。

まとめ

ファンと制作陣の「エスコンが好きだ」という想いによる一体感を存分に感じられた幸せなコンサートでした

なかなか厳しい状況での難しい判断というのも熱量をより感じられるものとなり、ある意味ではプラスに働いていたように思います。

配信番組等を通じてコンサート開催経緯についての裏事情と言うのも多く聴けるというのはなかなか珍しい体験で、いかにファンファーストの精神で開催されたコンサートなのかが強く伝わってきます。

例えば、ディスタンスの兼ね合いで会場の全席を埋めることはできないので、関係者席を大幅に削って一人でも多くのファンを入れようとした配慮を受けたことを今後私自身忘れることはないと思います。

しかし一方では、様々な事情で参加を苦渋の判断で断念された方々も非常に多くいらっしゃると言いますか、むしろそのような方々の方が多いくらいのはずです。

今回の制限のある中での形式にしか無い良さというものはありましたが、小林さんとしても本当はもっとやりたかったことがあったはずです。

私としてもボリュームのあるコーラスで完全版のようなアレンジを聴いてみたいという想いも強く残しています。

これらのように、様々な消化不良を残したのも事実だとは思うので、世の状況が好転した暁にまたコンサートの機会があることを期待しております。

エースコンバットの音楽というコンテンツは、まだまだ羽ばたき始めたばかりなのです。

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