ゲーム制作のリアルを感じられるという、貴重な体験ができる!
出演者:岡部啓一、ヨコオタロウ、斎藤陽介
TOKYO GAME SHOW 2021 スクエアエニックス
前回から引き続き、スクエニのTGS配信企画について簡単にまとめようと思います。
今回は「教育番組」、「世界のOKABE」という謎の言葉が並んだ配信番組がどのような内容だったのか、そして視聴した感想を記事にしようと思います。
番組の概要
出演者は「ニーア」シリーズのクリエーターの方々となっており、ディレクターのヨコオタロウさん、コンポーザーの岡部啓一さん、そして司会進行役としてプロデューサーの斎藤陽介さんが出演されています。
番組名からは想像もできませんが、内容としては「どのようにしてゲームシナリオや音楽が制作されていくのか」というのを視聴者に楽しんで頂くというものになっています。
番組の流れとしては、まずはヨコオタロウさんが岡部啓一さんに意見を伺いながら(岡部さんは、それが実現できるのか予算のこと等を考えながら提案していく)シナリオプロットを作っていきます。
起承転結の4層構造にして、大筋となる一文から作成し、徐々に詳細を付け加えながらプロットを完成させていきます。
そして、完成したシナリオを元に実際に岡部さんが楽曲制作をしていきます。
最後は斎藤陽介さんの司会進行の元、制作ポイント等をお二人に聞いた後、完成した作品(グラフィック込み)を披露するという内容でした。
「教育番組」という意味は明確には分かりませんでしたが、実際にクリエイターを志している人にとっては非常に勉強になったのではないかと想像できるものでした。
「世界のOKABE」というのは某国際イベントで楽曲が使用された経緯に起因するヨコオさんのユーモア(岡部さん弄り?)で番組タイトルに入れたのかな?というところですが、こちらも明確には分かりませんでした。
番組の感想
ヨコオさんはこうしたタイトルの付け方もそうですし(本人が付けたのか定かではないですが、たぶんそうでしょう)、シナリオが結局ダークな方に向かうというところで「らしさ」全開で、楽曲の方も聴いただけでも「岡部さんの楽曲だ」と分かるようなこちらも「らしさ」が見られた印象でした。
特に、岡部さんの楽曲の特徴というのが実際に作曲する場面を通じて見えてくるシーンがあるのは最も注目すべき点だと思います。
コード進行や旋律をどのような思いで組み立てるのか、という意思も汲み取ることができるのですが、それだけでは岡部さん「らしさ」というのは出てきません。
根幹にある部分というのは「意外とシンプルなものなんだな」というのが個人的に驚いたと同時に納得させられるものがありました。
シナリオについては、個人的には「どこかで聞いたことのあるような珍しくないオチだな」と思ってしまったというのは正直なところなのですが、即興で作り出すシナリオが迷わずダークな方向へ進んでいくところにヨコオさんの考える「面白さ」という芯の部分が見えた気がしました。
楽曲は、オーケストラは予算的に無理がぎたーさうんどあるというのを岡部さんが即時に判断したのですが、ピアノの音色に加えたのは後藤貴徳さんの演奏によるギターサウンドでした。
岡部さんの指示は非常に明確なもので、後藤さんも見事にその演奏で答えていきます。
旋律を奏でているときだけではなく、さり気ないコードストロークも大変魅力的で、ギターの持つ情感的なサウンドをより豊かに彩っているように感じました。
そして、もう一人忘れてはならないのがコンセプトアーティストの幸田和磨さんです。
今回はアート1枚だけの依頼だったつもりが、4シーン全てのアートを描いて下さるという大仕事をされました。
どう考えても、そんなに時間があったとは思えないのですが、ハイクオリティのアートが次々披露されると開いた口が塞がらなかったです。
シナリオ、音楽、そしてアートと、これらのどれもがゲームにおいて重要な要素であるという当たり前のことを再確認できたのですが、このような点もある意味「教育」なのかもしれません。
まとめ
ゲームクリエイターを志す人たちへのメッセージ性も少し感じましたが、そうでない人にとってもゲーム制作のリアルを感じられるという貴重な体験ができる素晴らしい内容の配信番組でした。
特に、ゲーム音楽ファンの方々には岡部さんの音楽の「らしさ」を見付けて欲しいので是非視聴して欲しいです。
楽曲のダウンロードも動画内のキーワードを使用することで無料で可能となっており、ファンサービス全開の大変嬉しい企画となっています。
今年のTGS関連の記事は以上となりますが、来年以降もしゲームファンの来場可能に戻ろうとも、こうした配信企画であったり、グッズやCDのオンライン販売は継続して頂きたいなと願っております。