ゲームのリズムを生み出しているサウンドの美しさ!
コンポーザー:近藤浩治
ゲームのプレイ状況:触れた程度(3DS版のみ)
そろそろ「PRESS START」2006年公演の演目関連に戻ろうと思います。
プレスタの演目に「ゼルダの伝説」とあるのですが、こちらはゼルダ初期作品の楽曲で構成されており、残念ながら私は音源を所持しておりません。
なので、この機会に所持しているゼルダ系サントラのレビュー記事を書かせて頂こうと思います。
まずはシリーズ初の3D作品である「時のオカリナ」のサントラです。
目次
「ゼルダの伝説」シリーズと私
ゼルダと言えばビックタイトルの1つという認識があるのですが、幼少期より何故か縁がなく、ほとんどプレイしたことがありません。
SFC版「ゼルダの伝説」の「出た出た!ゼルダの伝説!」というやたら印象に残るCMは今でもよく覚えており、「どんなゲームなのだろう」という興味から欲しくもなったのも覚えております。
…買ってもらえませんでしたが。
シリーズ初プレイは3DS版の「時のオカリナ」でした。
この時もまだ、どのようなゲームなのか把握していなかったのですが、いよいよ気になり、3DS本体と同時に購入しました。
結果、プレイは上記の通り触れた程度になってしまったのですが、その原因は明瞭で、私はゲームにおける謎解きが苦手故に、好みでないからです。
ただし、ゼルダ特有の仕掛けを解いた際の効果音に心地良さを感じ、人気がある理由は、なんとなく窺い知れました。
その後、あるきっかけで「ブレスオブザワイルド」もプレイしたのですが、前置きが長くなってしまいますので、この話はまた別の機会に書こうと思います。
サントラの全体像
全82曲、収録時間は78分となっております。
曲数、時間との兼ね合いを見ますと、いかに1曲の収録時間が短いかが分かります。
これこそが、このサントラの最大の特徴になります。
背景としましては、1つはシリーズ特有のファンファーレの多さです。
このファンファーレは非常に重要な要素で、ゲームのリズムを生み出し、プレイヤーに心地良さを覚えさせます。
なので、サントラに収録されているのも当然ですし、その種類の多さにも頷けるものがあります。
加えて今作を象徴する、オカリナによる短いメロディーが加わり、一層効果的にゲームのリズムを生み出すことに作用しており、今作の高い評価にも結び付いている印象があります。
これは意図的なものであり、緻密に計算されたサウンドなのでしょう。
そこに素晴らしさを感じます。
トップレート曲
※ 背景色付は☆5 その他は☆4
タイトル
ハイラル平原メインテーマ
ゼルダ姫のテーマ
ロンロン牧場
迷いの森
大妖精の泉
カカリコ村2
風車小屋
ゲルトの谷
スタッフロール
タイトル
印象的な滑らかなピアノにオカリナの音色が響きます。
オープニングと言いますと壮大なが曲が多い印象ですが、こちらの楽曲はストリングスも使用していますが、落ち着いた雰囲気です。
このゲームの象徴であるオカリナのサウンドを活かしている印象です。
ハイラル平原メインテーマ
平原の雄大さや冒険を思わせる楽曲です。
このような雰囲気をもたらしているのは、楽曲のリズムによるものだと思うのですが、特にパーカッションによる効果が大きいように感じました。
中盤部分が賑やか過ぎて、楽曲の雰囲気が一変しているのが気になるところではあります。
ゼルダ姫のテーマ
オカリナの音色を使用されておりますが、印象的なのは旋律です。
いかにも女性キャラクターのテーマといった雰囲気の暖かみがあります。
どうしてこのような印象を持つのかと考えてみますと、旋律の音の高さでしょうか。
伸びやかな高音部の旋律と言うのはいかにも女性らしさを覚えます。
逆に、低音の勇ましい雰囲気の楽曲は男性らしさを思わせるなと、旋律について考えさせられるさせられたトラックとなりました。
ロンロン牧場
人の声のような不思議な音色で奏でられています。
ほのぼのとした旋律が印象的です。
ほとんどが短いフレーズの繰り返しではあるのですが、それが返って耳に残り易いです。
大妖精の泉
神秘的な美しさを思わせる透明感のある高音の音色が、こちらの楽曲の肝だと感じます。
短いフレーズにもかかわらず、一瞬でこのような印象を抱かせるのが素晴らしく感じます。
カカリコ村2
「2」とあるように、もう1曲あるのですが、こちらの方が好みに感じました。
異なるのは主に音色で、「1」のハーモニカ音の主旋律も良いのですが、こちらの方が後半部分の和音が美しく感じられました。
風車小屋
主旋律も良いのですが、バッキングのアコーディオンのような音色が心地良く響きます。
こちらも短いフレーズの繰り返しですが、やはり印象に残ります。
ゲルトの谷
ギターサウンドを中心としており、ジャンル的にも異色の楽曲です。
個人的にはカントリーミュージックを思わせるのですが、渋く格好良いというイメージです。
人気楽曲で私自身も気に入っているのですが、「時のオカリナ」に使用されている楽曲として考えるとちょっと異色なので、違和感も覚えます。
スタッフロール
7分以上に及ぶ、こちらのサントラ唯一の長い楽曲になります。
複数の楽曲のメドレー形式になっているのですが、「ゼルダ姫のテーマ」から、「迷いの森」に繋がるのが意表を付かれる感じで良いなと思いました。
ベストトラック
迷いの森
タイトルとは裏腹に軽快な楽曲で、そのギャップが良いです。
短い楽曲なので、これがゲーム中に繰り返し流れている場面を想像すると、その軽快さが返って不安を招くような面白さがあるなと思いました。
後のシリーズでもアレンジ楽曲として登場する楽曲で人気曲でもありますが、私としましても最も強いインパクトを感じたため、こちらの楽曲をベストトラックに選定しました。
まとめ
全体として、短くも印象深い楽曲が多いサントラだなと聴き返してみて強く感じました。
その背景にあるのはやはり、ゲームそのもののリズムであり、音楽そのものの拘りもあるのでしょうが、それ以上にゲームプレイの方に寄せた「サウンド」という印象が強いです。
このようなケースは多くありそうでいて、意外と少ないようにも感じる部分で、個人的にはゲーム音楽の在り方を考えさせられる作品となりました。
なので、ほぼ未プレイの私が言うのもおかしな話ですが、こちらのサントラはゲームプレイ経験がより重要とも言えるかもしれません。
未プレイですと音楽そのものに強い聴き応えがあるかと言いますと、ちょっと物足りなく感じる場合があると思います。
ただ、どのようなゲームなのかが垣間見えるのもこのサントラの面白さなので、そういった部分を感じながら聴くというのも良いかもしれません。