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レビュー「ブレイブリーデフォルト2」オリジナルサウンドトラック

投稿日:

「ブレイブリーデフォルト」サウンドは、どのように進化を遂げたのか?

コンポーザー:Revo

ゲームのプレイ状況:クリア+程々にやり込み

今回はゲームをクリアして以来、毎日聴いている「ブレイブリーデフォルト2」のサントラをご紹介します。

私が所持しているのは限定盤になります。

サントラの全体像

限定盤はCD4枚組で76曲収録されております。

収録時間は274分で、ボリュームのある内容となっております。

通常盤はCD3枚組となっており、DISC4が付属されていません。

となりますと、DISC4の内容が大変気になってきます。

その答えはLinked Horizonのオフィシャルページに書かれていますので、そちらの一部を以下に引用させて頂きます。

DISC4には、DISC1~3に収録されているダンジョン曲などのアレンジバージョンが中心に収録されています。

楽曲には天候や風景の変化に合わせた多くのバリエーションが存在するため、メドレー形式でそれらを集めたDISCになっています。

また、ゲーム内では未使用となってしまった「覇道」も収録されており、このDISC4のみでしか聴くことのできないバージョンになっています。

実際にゲームをプレイすると楽曲の変化というのは印象的に聴こえてきます。

例えばフィールド曲であっても昼夜でバリエーションに変化があるのですが、その変化が自然で、美しいものに感じられます。

この辺りは本作の楽曲における重要な要素の1つなので、特にゲームをプレイした方であれば、DISC4も聴いてみた方が良いのではないかと思います。

音楽的特徴というところでは、本作も「BDFF」と同じ傾向があります。

Revoさんの音楽と言えば、やはり音楽自体にもストーリー性を伴う”物語音楽”であり、本作もその音楽性を発揮され、聴く者を時には楽しませ、時には焦らせ、時には感動させられるような音楽を堪能することができます。

サウンド的にもオーケストラだったり、そこにロックサウンドが加わったりと変幻自在で、そこは前作同様です。

相変わらず、オーケストラサウンドについても、ストリングスだったり金管、あるいは木管と、それぞれの楽器の使い分けがお見事です。

特徴としてもう1つ挙げられるのが、楽曲タイトルです。

独特な長い言い回しの楽曲タイトルが多く、やたら気になります。

例えば、特に気になるのが「例えばー」から始まるダンジョン曲の数々です。

「例えなくても良いのに」というのが率直な感想で気になって仕方がないのですが、これもおそらくは楽曲タイトルにも物語性をもたらすことを目的とされているのではないでしょうか

そう考えるとRevoさんらしさを感じられるますし、腑に落ちるものがあります。

さて、ここから各楽曲のレビューにつりますが、DISC4につきましては楽曲の性質上、レート付けを行っておりません。

ご了承いただければと思います。

トップレート曲

※ 背景色付きは☆5,その他は☆4

[DISC1]

再び希望へ向う序曲

水晶の煌めきと風の啓示

春風の国

平原の地平

再び鳴り響く戦いの鐘

やがて希望へと至る旅路

星を授けられし者達

例えば時に忘らるる遺跡

星を授けられし者達との戦い

暴風をも従える術とは航海の業

王女の矜持

例えば寂寥と佇む洞窟

対峙すべき者達との戦い

生存本能は牙を剥く

[DISC2]

砂漠の地平

渇水の国

例えば幽玄なる樹海

追憶の甘い痛み

地平は変われど花は散る

例えば敵意に満ちた楼閣

失意に濡れども花開く王女の矜持

邪なる者達

邪なる者達との戦い

森林の地平

魔法の国

大地の恵み最高の一杯は戦いの後で

夢見た希望は過去か未来か

雪原の地平

深雪の国

火急の報せ

そして流浪の焔は舞い上がる

[DISC3]

鳴り止まない戦いの律動

覇道の影

荒野の地平

軍王の国

覇道の空を翔ける艇

暗闇に魅入られしもの

焦がれ飛び出し濡れ堕ちて、その暗闇に舞い上がるもの

暗闇の操り人形~暗闇へ堕つる叡智

勇気ある者への試練

暗闇を見つめし瞳~暗闇に星を集めし者達

喪失と忘却を越え希望へ向う譚詩曲

再び希望へ向う序曲


タイトル楽曲です。

前作でも耳にしたような、いかにもRevoさんといった楽曲で「ブレイブリーデフォルトが、Revoさんが、帰ってきたんだな」という感激を覚えました。

主旋律がはっきりしており、ヴォーカル曲としても想定していそうな楽曲で、その辺りもRevoさんらしいです。

春風の国


こちらもプレイする手を止めて聴き入ってしまいました。

BDFFの「ルクセンダルク紀行」にもあるように、街の楽曲というのも非常に重要な役回りをしています。

特に注目すべくは木管楽器の暖かみのあるアンサンブルでしょうか。

特に後半部分の掛け合い箇所が私の気に入っているポイントです。

再び鳴り響く戦いの鐘


複数ある通常戦闘曲の1つです。

私はこちらの方がより戦闘を盛り立てている感じがするので好みです。

何が良いかって、ブレイブする際の効果音や、キャラクターボイスにまで調和しているところです。

音楽とこれらが組み合わさって頭の中で再生されるのは凄いことだなと感じます。

やがて希望へと至る旅路


イベント系の楽曲だったと記憶しています。

前向きに歩みを進める印象的な場面でゲームをプレイしていて耳に残る楽曲です。

メロディアスなピアノによる旋律をから始まりますが、そこに大航海を思わせるスパニッシュギター、さらにはストリングスと加わり大きな広がりをみせます。

主旋律を譲った後もピアノの美しさが存在感を放っています。

星を授けられし者達


アスタリスク所持者のイベント楽曲です。

キャラクター性はバラエティ豊かなのですが、どのキャラクターでもこの楽曲に違和感なく溶け込んでいるのが面白いところです。

旋律がちょっと間抜けな感じもするのですが、それが力に溺れるアスタリスク所持者のズレた思考を表現しているような雰囲気を出しているからかもしれません。

 

星を授けられし者達との戦い


「星を授けられし者達」と同じ旋律なのですが、驚くほど印象が変わります。

テンポアップによる疾走感、ロックサンドへの変化による激しさ、裏打ち中心のリズム変化による高揚感でもはや全く異なる楽曲であると感じます。

今もそうなのですが、こちらの楽曲を聴いていると激戦の記憶に思わず苦笑いしてしまいます。

暴風をも従える術とは航海の業


セスの必殺技使用時の楽曲です。

初めて聞いたときの興奮は凄まじかったです。

バトルシーンの演出というのはRPGにおいても意外と少なく感じるのですが、音楽1つで素晴らしい演出となっています。

きめ細やかなスパニッシュギター主旋律が格好良さと共に「曲が終わってチャンスタイムが終了してしまう」という焦燥感も併せて感じさせます。

渇水の国


ゲームをプレイしていて最も多く立ち寄った国なので印象深いです。

聴いていると街並みだったり登場人物だったりが次々と浮かんできます。

主旋律も良いのですが、それ以上に複雑なバックサウンドに惹かれます。

追憶の甘い痛み


「追憶」ということで、オルゴール調なのですが、暖かみというよりは不穏さがあり、そのバランスが良いなと思います。

ループのつなげ方がまた何かが崩れていくような不吉さを感じさせられ、印象深いです。

例えば敵意に満ちた楼閣


注目を集めることが比較的少ないダンジョン楽曲ですが、こちらの楽曲はベストトラックにしようかと悩んだくらい気に入っています。

今作はダンジョン曲も印象深いものが多く、その点も特徴の1つかもしれません。

怪しげな雰囲気だけであればよくあるダンジョン曲といった印象なのですが、こちらの楽曲は軽快でノリの良さも合わさっています。

その意外性やギャップに惹かれるものがありますし、ダンジョン曲としても雰囲気を壊さず成立している点が素晴らしいと思います。

失意に濡れども花開く王女の矜持


グローリアに必殺技使用時の楽曲です。

サウンドの部分で女性的な華やかさを感じるのですが、グローリアらしい芯の太さも感じられる力強さがあります。

厳しい戦闘中にこの楽曲を聴くと、気持ちが昂ってきます。

覇道の空を翔ける艇


こちらはダンジョン曲ではあるのですが、ちょっと特殊なダンジョンとなっています。

曲名から想像できるイメージそのままのダンジョンです。

高低差のある旋律から飛翔感を覚えますし、ダイナミクスの部分ではパワフルで、その辺りは個人的にダンジョンの奥で待っている敵キャラクターのテーマ曲のような側面も感じます。

暗闇の操り人形~暗闇へ堕つる叡智


ボス戦闘曲がメドレー形式で収録されています。

「暗闇に魅入られし者」の旋律が使用されており、それぞれ戦闘曲としてのアレンジが施されています。

原曲がタイプの全く異なる楽曲なので、予想外の、想像以上の変化というところを大いに楽しませてくれます。

続けて聴きたい楽曲なのでメドレー形式にも納得です。

勇気ある者への試練


重要イベント戦闘の楽曲です。

この戦闘のためだけの楽曲が存在することがうれしい限りです。

旋律的には山なりでありながら、徐々に音程が高くなっていき、終盤は山なりだったものが上がり切るような形に変化します。

そこに「勇気」を感じます。

本作の中でもかなり人気の高い楽曲の1つになりそうです。

喪失と忘却を越え希望へ向う譚詩曲


上野優華さんの歌うエンディング曲です。

物語を振り返るに持って来いのストーリー性を伴う楽曲になっています。

Linked Horizonの楽曲だなと感じます。

特に終盤の展開が素晴らしいのですが、中でもRevoさんがヴォーカルにユニゾンで加わるのがクライマックスとして非常に良いなと感じました。

歌詞もRevoさんによるものですが、これが独特で矢印による表現という斬新さも見受けられました。

セスであり、グローリアであり、それぞれの世界から1つの場所に向かい、重なり合うことを矢印で表現されているように感じました。

そして迎える物語が集大成というところに大きな感動を覚えます。

ベストトラック

砂漠の地平


ちょっと意外かもしれませんが、迷いつつもベストトラックはこちらです。

理由としてはゲーム中に最も聴いた楽曲で、それにも関わらず飽きもせずに、ずっと聴いていられるからです。

今思い返してみますと、ゲームをプレイしていて最も楽しかったのはJP稼ぎしながらキャラクター育成をしている場面だったように思います。

フィールド楽曲は地域ごとにアレンジが施されていますが、この乾いた大地を思わせる木管楽器の音色が特に気に入っています。

欲を言えば、夜になってアレンジになるのがまた凄く良いので、そのメドレーをサントラでも聴きたかったです。

まとめ

前作のテイストも若干残されており、「ブレイブリーデフォルト」シリーズであることを認知できます。

しかし、明らかに前作とは異なる新しい試みというのも多く詰まっていると思います。

特に、フィールド楽曲がそうなのですが、アレンジの違いによって聴かせ方を変えられている手法につきましては、本作の最大の特徴であり、かつ最大の聴きどころであると言っても差し支えないでしょう。

これは、作曲家としての進化を止めないRevoさんの姿勢を感じられる部分でもあります。

それだけに、BD2版の「大紀行」をより一層、聴いてみたくなります。

サントラが好評であればある程に発売の可能性が高まると思いますので、私もこちらでしっかりと声を挙げさせていただき、結びの言葉としたいと思います。

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