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レビュー「ピアコンⅠ」 / ピアコンズ

投稿日:2020年8月4日 更新日:

「楽しさ」が残されたアレンジと安定感のある素晴らしい演奏が魅力的だ!

ピアニスト:江草啓太(ピアコン1号)

前回のマッピーの記事でこちらのCDの名前を出しましたので、今回は「ピアコンⅠ」をレビューさせて頂きます。

CDの全体像

80年代のレトロゲームの楽曲を江草啓太さん演奏によるピアノソロアレンジで収録されたアレンジアルバムです。

2009年に植松伸夫さんのdog years recordsより販売されました。

特徴的なのは、原曲の持つファミコン音楽らしさが残されたアレンジにあると思います。

なので非常に聴き易く、気楽に楽しんで聴けるタイプの作品になっております。

しかし、決してシンプルなアレンジではなく、演奏も容易なレベルでは無いと感じさせます。

本格的なピアノソロなのに聴き易いといった、絶妙なバランスを感じさせる素晴らしい作品だと感じます。

収録曲

1.エレベーターアクション

2.イー・アル・カンフーのテーマ

3.オープニングテーマ「オホーツクに消ゆ」より

4.Power of Anger – Poison of Snake「沙羅曼蛇」より

5.メインテーマ「FF2」より

6.マッピー

7.スノーマン「Mother」より

1.エレベーターアクション


短いフレーズの繰り返しの曲であるため、そのアレンジはどうなるのかと思うところですが、バラエティー豊かなアレンジで楽しませてくれます。

個人的には曲の終わらせ方がお気に入りです。

2.イー・アル・カンフーのテーマ


こちらの楽曲も様々な表情を楽しめるのですが、個人的には中盤のシンプルに弾かれている箇所が好きです。

音を鳴らすだけならピアノ初心者でもできるくらいにシンプルだからこそ、返って江草さんの繊細なタッチを感じられるものがあるように思います。

3.オープニングテーマ「オホーツクに消ゆ」より


静けさだったり、幻想的な雰囲気だったりが出されているピアノソロらしさを感じるアレンジです。

高音域の消えゆきそうな何とも言えない繊細さがたまりません。

4.Power of Anger – Poison of Snake「沙羅曼蛇」より


中盤の力強くもきめ細やかな左手の伴奏音が非常に格好良いです。

リズム的にも音の強弱的にも凄い安定感を感じます。

5.メインテーマ「FF2」より


ちょっと意外な選曲で「おっ、そう来たか」となります。

しっとりとしたアレンジで原曲と趣が大きく異なります。

原曲の持つ美しい旋律が更に際立つような印象がありました。

6.マッピー


聴いていて楽しいことこの上ないです。

定期的に無性に聴きたくなるので、かなりの回数聴いている印象があったのですが、再生数はちょうど50回でした。

原曲同様、強弱と言う部分でのダイナイクスを取っ払っており、終始元気な演奏です。

そして、楽曲構成の素晴らしさから不思議とダイナミクスを感じるという部分も一緒です。

要するに原曲に忠実なのですが、それこそが原曲の良さを引き出しているように感じました。

ここまで惹かれるというのは言うまでもなく、ピアノアレンジが素晴らしいというだけでなく、江草さんの演奏の素晴らしさがあるのだと思います。

最初から最後まで楽しいまま聴かせるプロの安定感はやはり凄いです。

7.スノーマン「Mother」より


こちらも幻想的な1曲ですが、「オホーツクに消ゆ」と比較すると、タッチは少々強めです。

「MOTHER」の中であえて、こちらの楽曲を選んだかと思わせておいて、最後の最後に「エイトメロディーズ」をやってくれます。

それも、その聴かせ方が最低限の音だけを使用したもので「分かってるなぁ」と感じさせられます。

そして、最高の余韻を残してアルバムが終わります。

完璧だと思います。

まとめ

この時代のゲーム音楽の良さを考えますと楽曲の「楽しさ」というところが魅力の1つだったように思います。

その「楽しさ」をアレンジの中で残されているので、この作品が非常に聴き易く感じるのだと思いました。

加えて江草さんの安定感というところで、安心して楽しめる作品だなと聴き返してみて感じました。

ピアノアレンジ入門編としてもお勧めかなと思いますので、是非多くの方に聴いて頂きたいです。

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