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レビュー「Final Fantasy10 / Vorcal Collection」

投稿日:2020年3月5日 更新日:

FF10キャラクターの心情を探ることが出来るかもしれないファンディスク!

ティーダ:森田一成 ユウナ:青木まゆこ ワッカ:中井和哉 リュック:松本まりか ルールー:夏樹リオ アーロン:石川英郎

「Feel / Go dream」に引き続き、こちらのCDもFF10のファンディスクとなります。

第2弾とも取れますので、前作が評判良かったか、あるいは「他のキャラクターの歌も聴きたい」という声が挙がったのでしょうか。

その辺の背景が気になったので、ちょっと考えてみました。。

このCDがリリースされた背景

このCDの発売時期は2002年12月と遅めの時期です。

「FF10」が2001年7月、「Feel/ Go doream」が2001年10月ですので、何故このタイミングで、と思うところではあります。

おそらく、その答えは「FF10-2」の存在でしょう。

「FF10-2」の発売は2003年3月なのですが、正式に制作が発表されたのがこのCD発売の1カ月前でした。

要するに「FF10-2発売」に向けてFF10ブランドを盛り上げていくのが目的の1つだったかもしれません。

FF10ファンの熱を呼び覚まそうとするが如く、発売されたCDという側面もあるのではないでしょうか。

CDの全体像

今作は歌だけでなく、声優陣による朗読も楽しむことができるようになっています。

原曲に歌詞を付けたパターンは前作収録の「Feel」のアレンジ曲だけとなっております。

このCDのために作曲された曲ということになりますが、

ファンディスクらしくキャッチーな歌が多く、かと言ってシンプルなメロディーではないので、なかなか好感を持てます。

では作曲者は何方なのか、と気になるところですが、今作は植松さんの新曲はありません。

FF10-2コンビの江口貴勅さん、松枝賀子さんのコンビ(夫婦!)が担っているのは、やはりという感じですが「すばらしきこのせかい」のコンポーザー石元丈晴さん、そして下村陽子さんの名前もあります。

増本直樹さんという、ゲーム音楽業界では聞かれない名前もあります。

調べると藤井フミヤさんの曲が多く出てくる作曲家の方でした。

自然に口ずさめるような、私の知っている曲も作曲されていたので、「あの曲と同じ人か!」という発見がありました。


声優によって声量や音域に差があったりするのも愛嬌があって良いですね。

この手のCDのヴォーカルは”上手い下手”で語るようなことではありませんので、皆さん素敵な歌声です。

収録曲

1. monologue ~ユウナ~

2.涙のあとに 作詞:杉本卓也 作曲:江口貴勅

3.monologue ~ティーダ~

4.A Ray of Hope 作詞:Halcyon 作曲:江口貴勅、松本賀子

5.dialogue ~ティーダ、ワッカ~

6. And On We Go 作詞:加絃 作曲:松枝賀子

7. monologue ~リュック~

8. Get Happy! 作詞:太田真人 作曲:下村陽子

9.dialogue ~ユウナ、リュック、ルールー~

10.All The Way 作詞:Halcyon 作曲:増本直樹

11. monologue ~アーロン~

12. 螺旋 作曲:石元丈晴

13. epilogue ~ティーダ、ユウナ、リュック、ルールー、ワッカ、キマリ~

14. feel-Remix(Bonus Track) 作詞:森浩美 作曲:植松伸夫

2.涙のあとに


ユウナの青木まゆこさんが歌っています。

誰のために… わからなくなって そう、君と出逢った

”君”という言い方は正しくティーダを指していますね。

しかし、ユウナは”誰のために”というのは決して見失ってはいないと思います。

涙こらえてきた もう涙こぼしてもいいの?

”聖なる泉”の涙を彷彿とさせますね。

はやりイメージとしてはこのシーンがあるのでしょう。

ティーダにはいつも明るく、笑顔で居て欲しい、そんなユウナの心情を思わせますね。

ちょっと違和感を隠せない箇所もありますが、物語で描かれていないところを想像させる良い曲なのではないでしょうか。

4.A Ray of Hope


ティーダの森田一成さんが歌っています。

ちょっと力みがあって、声量がパワフルなところもティーダの青さや素直さを思わせて素敵だと思います。

諦めここで止まるくらいなら 未知にダイブしてみせるよ

歌詞も同様にパワフルでティーダにリンクしています。

光が降り注いだ その時君の姿 眩しいほどに 強く優しかったね

ユウナがはやり出てきました。

私はユウナとの初対面シーンである”祈り子の間”から出てきたユウナを想像しましたが、”ヴァルファーレ召喚”のシーンや、”異界送り”のシーンかもしれませんね。

俺はキミの奇跡になる

現実世界ではまず言えないような熱い詞で非常に印象深いです。

しかも、シナリオにドンピシャですね。

今聴きますと、こういう生き方ができないものかと心に突き刺さります。

短い曲の中でこれでもかと、ティーダの想いが詰め込まれた素晴らしい曲だと思います。

6.And On We Go


ティーダの森田さんとワッカの中井和哉さんです。

なかなか綺麗にハモっています。

歌詞は難解なのですが、“水飛沫”や”波”、”空”という詞が多く出てくるのが印象的です。

私はこれらの詞からビサイドの浜辺で”ブリッツボール”の練習をしている二人や、”ビサイド・オーラカ”の面々の姿を思い浮かべました。

すなわち、「世界を救う」というシナリオ的なイメージではなく、この練習の先に試合への勝利があるんだ、というようなイメージを持っています。

そして、”友”という詞から、チームメイトとしての仲間との絆も感じさせますね。

明確に詞にしなくてもこういった想起ができるという点で、作詞の技巧の部分も楽しめる曲です。

そして、メロディーで言えば、サビ直前の部分が好きですね。

上手く言えませんが、溜めてからの単音、切ってからのサビという流れが良いです。

8.Get Happy!


リュックの松本まりかさんが歌っています。

かなり特徴的な声質ですが、それを活かして地声で一生懸命歌っています。

どんな大きなユメだって ギュッとチカラを合わせれば (中略) もっとみんなHAPPYになれるんだよ

このように歌詞もリュックの賑やかさだったり、皆の幸せを望んでいるという優しさの部分だったり、凄くらしさの出ているものになています。

しかし、2番からは恋の話が出てきて、リュックのキャラクターからはちょっと離れてしまっている印象です。

モノローグの前振りを受けてのものではあるのですが。

しかし、元気で可愛らしくて、私はかなり好きな曲です。

作曲はなんと下村陽子さん。

うんうん、こういう曲は女性が作曲した方が良いのかもしれません。

10. All The Way


ユウナ、リュックに加え、この曲でルールーの夏樹リオさんも歌っています。

イメージ的には、エンディングから暫らく経ってるような時間軸に思えます。

女性陣がティーダのことを想起しているような歌詞に感じます。

旋律的には高音域がかなりきつそうですが、この曲もサビの前の部分が好きです。

12. 螺旋


アーロンさんがBGM上で語りかけてきます。

ちょっと怒られているようにも感じます。

石川英郎さんは歌えないわけではないのでしょうが、アーロンが歌うのはイメージに合わないのでしょう。

タイトルもこの曲だけ日本語だったり、ちょっと面白いトラックです。

まとめ

ゲームの一場面を想起出来たり、心情を探ることができたり、なかなか楽しめる1枚です。

しかし、このCDをお勧めできる最大の要因は、シンプルにメロディの良さですね。

様々な楽しみ方ができますが、深く考えずに聴くのもアリだと思います。

しかし、キマリだけが…

深く考えずに聴くのもアリだと思います。

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