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レビュー「s p a c e [ s ]」 / Survive Said The Prophet

投稿日:2020年7月18日 更新日:

FF7 REMAKEテーマソング「Hollow」とはまた異なる素晴らしいシャウトと、アルバムのテーマである”距離感”に注目!

2018年 9月25日 リリース

「FF7 REMAKE」のテーマソング「Hollow」において、素晴らしいシャウトを聴かせてくれたYoshさん。

今回は、そのYoshさんの所属するバンドの楽曲を是非とも聴いてみたい!ということで、こちらの作品を取り上げさせて頂きます。

Survive Said The Prophetの4thアルバム「s p a c e [ s ]」になります。

他の作品も聴いたのですが、こちらが私にとって最も聴き易く、繰り返し聴きました。

なので、こちらのアルバムを記事にさせて頂こうと思います。

アルバムの全体像

まず気になりますのがが印象的なCDジャケットとアルバムタイトルの「s p a c e [ s ]」です。

意味を調べてみると、音楽ナタリーさんのインタビュー記事にその答えが載っていました。

私は気付いていなかったのですが、「space」ではなく、「s p a c e」なんですね。

スペースの各アルファベッドの間にスペースが開いています。

以下、上記インタビューの引用になります。

“メンバー5人の距離感”を表したくてこのタイトルを付けました。最初はこの単語じゃなかったんですけど、「5人」という意味で5文字にしたくて。文字間にもスペースが入っているのもこだわりです。俺らはバンドをやっているから人との距離感の大切さをバンドメンバーで例えましたけど、人や物との距離感ってすべてにおいて大切なことだなと思って、タイトルにしたかったんです。距離感に正しさはないと思うので、それぞれとの適切な“s p a c e [ s ]”を探してほしいという感覚もあります。

”距離感”とはまた考えさせられる言葉だなと思いました。

これは相手の性格にもよりますし、その時の気分だったり、信頼関係の度合いだったりで変わってくる厄介なものです。

”距離感に正しさはない”とはそういうことだと思います。

Yoshさんはバンドメンバーにおける距離感を中心に考えていらっしゃるようですが、当然ながら人間関係は多種多様です。

例えば長年の親友とか、家族とか、どんなに親密な関係にしても適度な距離が必要なときもあります。

アルファベットの間のスペースは、どんな相手でも適度な距離感が必要であるということを意味しているように私は感じました。

そして、私がこのアルバムに惹かれた理由の1つである美しいジャケットですが、これにも意味があり、上記インタビューでベースのYudaiさんが答えていました。

僕は習字をやってるんですけど、習字では「様」って画と画の間(スペース)が均等なことから、練習に使われる字なんですよ。

「space」という言葉からこういう発想ができるのがまたアーティストということなんだろうなと、思わず声を上げてしまいました。

しかし、個人的な問題として、アルバムタイトルの意味が有難いインタビュー記事のおかげで分かったのは良いのですが、それが収録曲にどう関係しているのかというのは明確には分かりません。

理由は至ってシンプルで、私は英語がほとんど分からないのです。

何でもかんでも歌詞から考えるというのも正しくないのかもしれませんが、いずれにしても私にはちょっと見えてくるものが具体的には少ないというのが事実です。

ただ、部分的に日本語が使われている部分もあります。

日本語歌詞については抵抗があったようですが、その辺は日本で活動する以上は必要な”距離感”ということなのでしょうか。

その辺りがインタビュー記事を読んでいても窺い知ることができます。

さて、私がこちらの作品を聴くにあたって注目していたのは、やはりYoshさんのシャウトになります。

どのくらい叫んでいるのか、いかにロックンロールなのか、というところですが、想像以上でした。

シャウトしていない曲がほとんどではあるのですが、アルバムの歌い出しが、シャウトなので、非常に印象に残ります。

FF7のクラウドのように、虚無感を叫んでいるというものとはまた違ったタイプの叫びにも聞こえます。

さて、ここから各楽曲のレビューに移りますが、アルバムタイトルの意味する”距離感”に自分なりに着目して書いていこうと思います。

収録曲

1.s p a c e [ s ]

2.T R A N S l a t e d

3.S P I N E

4.Right and Left

5.found & lost

6.p a c e s [ s ]

7.NE:ONE

8.The Happy Song 

9.UPLIFTED

10.   s t i l l b e l i e v e

1.s p a c e [ s ]


アルバムタイトルにもなっておりますが、インストゥルメンタルでオープニングといった意味合いが強い楽曲です。

美しい、余韻を残すような間で奏でるピアノが印象的ですが、この間がこれから起こるシャウトを予感させます。

2曲目への繋がり方が非常によく構成されているなと思います。

2.T R A N S l a t e d


過激な日本語から始まり、とにかくシャウトしまくります。

英語が分からないなりに、ざっと歌詞を見てみますと、対人関係におけるわだかまりを叫んだ曲のように感じます。

巧く向き合えない、ちゃんと受け取ってくれない、伝わらない、そんなフレストレーションのようなものを感じさせました。

勝手な解釈ですが、これも”距離感”の話に通づるものがあるなと思いました。

美しいシャウトもこの楽曲の魅力ですし、旋律と詞の響きからくる心地良さもあります。

だからシャウトなのに美しさを感じるのかもしれません。

3.S P I N E


こちらの楽曲は全て英語です。

雰囲気が一転し、ここではシャウトが聴かれません。

全く和訳できないながらも歌詞を眺めていて気付いたのは、”If I was right”、”If A was wrong”とったように対になる詞を用いていることです。

つまり、”正しさ”を追求しているわけではなく、”ちゃんと向きあおう”というようなことを訴えているのかなと勝手に想像しました。

4.Right and Left


公式動画がありましたので貼らせて頂きましたが、アルバムの中で最もキャッチーな楽曲で、車のCMで使用された有名曲のようです。

タイトルからイメージすると、右に行ったり左にいったりで、なかなか調和が生まれないというようなことを連想させました。

(もはや歌詞を眺めることも諦めました)

ただ、曲調がちょっとポップで爽やかな雰囲気もあります。

「この馴染み易さは何なんだろう?」と考えたときに、なんだか、恋人関係における”距離感”のようなものを感じさせました。

5.found & lost


日本語が多くを占める楽曲です。

しかし、解釈しようとして見えてくるものはありませんでした。

「かかってこいよ」と誰に叫んでるのでしょうか?

それは私には、ぼんやりとした不安といったような抽象的なものに感じました。

それより、この楽曲で着目すべくは「日本語歌詞中心の楽曲って、Survive Said The Prophetというバンドにとってどうなんだろう?」というところだと思います。

格好良さという点においては英語歌詞よりも薄れてしまう部分もあるのですが、一方で楽曲への親しみ易さは出てきます。

日本語は表現としては豊になりますが、ロックとして考えたときには英語の方がダイレクトな表現として適切であるようにも感じます。

この辺はSurvive Said The Prophetと聴き手における”距離感”の話にも通づるのでしょうが、私としてはやはり英語中心が良いかなと思いつつも、1つのアルバム作品の中に、このような楽曲が入っているのもアリだなと感じさせました。

6.p a c e s [ s ]


幕間曲的なインストルメンタル曲です。

Sが抜け「pace」になりました。

[s]の意味するところも結局のところ分からないでいるのですが、sに何か意味があるとすれば、複数形ということになりますので、人や物との関わりというところをテーマにしているというところでの強調的な表現なのかもしれません。

7.NE:ONE


こちらの楽曲も日本語が多いような印象ですが、歌詞を眺めてみると実際には殆ど英語です。

ただ、詞の響がいかにも日本語らしいフレーズなので、日本語の印象が残り易いのだと思います。

これは、あえてそうしているのかな?と思いました。

なぜならこの楽曲はメッセージソングのように感じるので、だからこそ日本人にとって馴染み易い詞をあえて用いているのではないでしょうか。

こちらの楽曲では”自分自身との距離感”を歌っているように感じます。

「あなたは、自分自身に立ち向かって何かを生み出すのか、それともただ逃げ出すのか、…どうしたら良いのか分かるよね?」そんなことを言われているように感じました。

10.   s t i l l b e l i e v e


サビの部分で、複数の時制で「I still belive」すなわち「まだ信じる」という詞を用いているのが印象的です。

すなわち「我々は、どんなときでも信じる」というようなバンドとしての強い決意を感じさせます。

アルバムの最後に相応しい、ストレートで印象的な楽曲だなと思いました。

まとめ

いつも以上に勝手な憶測で、好きなように書いてしまいましたが、自分なりに”距離感”というテーマを意識しながらレビューしてみました。

私の感じたことはあまり参考にならないかもしれませんが、アルバムとしてはこの着眼点で聴いてみることをおすすめしたいです。

また、「Hollow」で興味を持った方につきましたは、やはり冒頭のシャウトの部分にも着目して頂きたいです。

植松さんが惚れ込んだシャウトですから、素晴らしいことに間違いありません。

実際のところ私もこの作品に出合えて良かったと思っております。

馴染み易い曲もありますし、興味を持った方は名曲も収録されたこのアルバムから聴いてみるのが良いのではないかと感じました。

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