吟遊詩人は何を見つめ、何を考えて歌っているのか?
「ロマサガ ミンストレルソング」主題歌
作詞作曲:山崎将義
「ロマンシングサガ・ミンストレルソング」(以下ミンサガ)は、サガシリーズでは私の唯一プレイし、クリアもしたゲームのため思い出深いです。
そして、主題歌に起用されたのが当時から好んで聴いていた山崎まさよしということで、この曲のイメージがより強くインプットされています。
そこで、ロマサガオケの余韻に浸りつつ、今日はこちらの曲をテーマにします。
歌詞の全体像
この曲につきましては正直なところ、
「考えるな。感じろ!」というタイプの曲だと思っています。
歌詞考察をするぞ!と意気込み、いきなり歌詞の一つ一つに目を向けながら聴こうとすると実に難解な曲であり、曲への理解が帰って進まなくなってしまいます。
歌詞を感じ取るためにまず大事なのは、この曲がどのような意図で作られたことを知ることだと思います。
この曲はミンサガの世界観をイメージして作られた楽曲です。
すなわち、ゲームに合わせて後から作られたものであり、元々あった曲を起用したという事情では無いと考えられます。
そして、もっと具体的なイメージを元に作られていることを知っていなくてはなりません。
それは、ミンサガにおける吟遊詩人をイメージされているということです。
吟遊詩人はミンサガにおいて、主人公たちを導いていく役割をしています。
彼の心情をイメージして作詞されたのでしょう。
そもそも副題の”ミンストレルソング”は”吟遊詩人の歌”という意味です。
このことからも、いかにこの曲に大きな役割があるかということが窺い知れます。
それでは、吟遊詩人の歌声に耳を傾けてみようじゃありませんか。
歌詞の特徴として、風景の描写から入っていますね。
その内容は穂だったり雲だったり鳥だったりするのですが、
意味は深く考えなくて大丈夫です。
なんとなく想像して風景を感じてみて下さい。
大切なのは、なぜ風景の描写をわざわざ詞にしているかです。
ここで、吟遊詩人の心打ちを想像してみます。
彼の目は内ではなく、まずは外に向けられているのです。
それは広い世界全体だったり、そこで生きる人々であったりするのでしょうが、
風景の描写から詞にすることで、曲を聴いている我々も気が外へと向けられます。
歌詞考察:1番
1番の歌詞で描かれているのは、吟遊詩人の人々への想いだと思います。
旅人たちをどのような想いで導いているのか、ということです。
遥かなる時を超えていく思いが 降りやまぬ雨に耐えうる強さが
やがて愛するもののすべてに注がれていけばいい
人々の信念だったり強さだったりが、苦境を乗り越え、やがて愛する人の元へ届くようにという想いを抱きながら導いているのでしょう。
歌詞考察:2番
2番で描かれているのは、人々の信念や強さに触れた吟遊詩人が何を想うか、だと思います。
もし今私が風になれたら 険しい山の頂を超えたら
やがて愛する人のもとに何を届けるのでしょう
自分が険しい山の頂を超えたら愛する人の元へ何を届けるのだろか?と考えています。
そういえば、吟遊詩人もパーティに加えることができましたね。
歌詞考察:Cメロ
次にCメロですが、
ここでは問題提起をしています。
見放された荒野の先に 人は何を見つめるのだろう
厳しい状況と対峙して、その先に何を見るのだろう?と考えています。
歌詞考察:3番
3番の歌詞でその答えを出しています。
振るえる命がただ望むのは 安らかな母の胸
”母の胸”すなわち”安らぎ”であると歌っています。
1番と2番で”愛する人”という表現がありましたが、
要するに母であれ、妻であれ、家庭的な安らぎの場所を意識されているのが分かります。
まとめ
難解ですがまとめますと、
苦難の先にある安らぎの場所へ大切な想いを届けましょう、そのために邪神の復活という世界の脅威に立ち向かいましょう。
そんな吟遊詩人のメッセージなのではないでしょうか。
それにしても、アコースティックギターとアコーディオンのもたらす雰囲気が素晴らしい楽曲ですね。
山崎まさよしのヴォーカルも雰囲気によく合っています。
風景の描写も文章や詞にするのは難しいのですが、美しく描かれていてミンサガの世界に引き込まれます。
なお、ミンサガのサントラにも収録されていますが、一部をカットされたゲーム仕様になっておりますので、フルで聴きたい方はご注意ください。