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歌詞考察

歌詞考察『鬼滅の刃』挿入歌「竈門炭治郎のうた」

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竈門炭治郎のという人物とは?彼の物語とは?

作詞:ufotable 作曲:椎名豪 ヴォーカル:中川奈美

つい先日発売されました最終巻ですが、早速読みました。

無事に物語の結末を知れた安堵感のようなものを感じております。

今回の記事では物語にも少々触れつつ、前回レビューしました「竈門炭治郎のうた」の歌詞の意味を探っていこうと思います。

※ ストーリーの結末等には触れておりいませんが、若干のネタバレ要素が含まれる記事になります。

最終巻を読んで感じたこと。

実は、前回のレビュー記事でも書こうかと迷ったのですが、『鬼滅の刃』はこれまで読んできたマンガとはちょっと異なる部分があるなと感じておりました。

それは、「作者の想いが込められている作品なのだな」と感じさせられたのです。

その想いというのは色々あるのでしょうが、私が最も強く感じ取ったのは、一人一人の人生を大切に想う気持ちです。

物語は全編を通じて回想シーンが多い構成になっており、それは戦いの最中でも入ってきますので、読み始めの頃は結構な違和感を覚えておりました。

正直なところ、「ちょっと読みにくいな」とまで思ったのですが、徐々に登場人物一人一人をしっかりと掘り下げようとしている作者の強い意図を感じるようになったのです。

その辺りの気付きは、今まさに映画で上映されている煉獄杏寿郎の物語を読んでいるところで「もしかして」となったものでした。

そして、最終巻のこの言葉で「やっぱりそうだったんだ」と思わせられ鳥肌が立ちました。

人の数だけ物語があったんだ

巻末の言葉を読んでいても感じるのですが、作者が大切にしているのは『鬼滅の刃』の物語に登場する人物だけでなく、関係者だったり読者だったりにまで及んでいるように思います。

そして主人公である竈門炭治郎もまた、そういった「人を想う」といった類の優しさを持っており、それこそが正しく作者が描きたかった主人公の姿なのではないでしょうか。

さて、「竈門炭治郎のうた」は、そのストレートな曲名の通り「竈門炭治郎とはこういう人物です」という内容の歌詞になっているようにも思えます。

今回は歌詞の一語一語に目を向けながら、竈門炭治郎というキャラクターについて考えていこうと思います。

 

歌詞考察:導入部Aメロ

目を閉じて 思い出す 過ぎ去りしあの頃の

戻れない 帰れない 広がった深い闇

惨劇が起こる前の幸せな暮らしを思い出してしまう瞬間はたくさんあるのでしょう。

しかし、そこに戻ることは出来ないし、家はあってもそこで待っている家族は居ないわけです。

その現実は深い闇として広がっていきます。

この”深い闇”という表現は、光を失ってしまったという想いだけでなく、鬼への感情も掛けた表現のように感じます。

夜しか活動できないという設定になっていることから、鬼についても想起させます。

歌詞考察:Aメロ2回目

戻れない 帰れない 広がった深い闇

導入部の後半部分のみを繰り返しています。

そこに重要な意味を感じます。

1回目は悲しみを感じさせられる部分が強いのですが、2回目では現実を受け入れ、前に進むような力強さを感じさせられます。

前半部分の幸せな暮らしを想う部分はカットされており、叶うことの無い願望を振り切り、強い意志が湧いているからのように感じます。

歌詞考察:1番Bメロ

泣きたくなるような 優しい音

どんなに苦しくても

前へ 前へ 進め 絶望断ち

アニメの描写では蜘蛛の糸も断ちながら前へ前へと進んでおるのですが、歌詞では断っているものは”絶望”だと歌っています。

これは、視覚的には分からない炭次郎の内面部分を歌という手段で表現されている部分ということになるのではないでしょうか。

炭治郎にとっての”絶望”というのは、ここでは禰津子をも失ってしまうことのように思えます。

”泣きたくなるような優しい音”の解釈は歌詞だけを見てしまうと解釈が難しく感じられるのですが、実は作中で使用されている言葉です。

”音”ということで、耳のよく効くキャラクターの言葉なので、単行本では4巻にその描写があります。

これはどういうことかと考えますと、「前に進む」という強い気持ちを持つ背景には、他ならぬ炭治郎の”優しさ”があるのだと思います。

思わず人の涙を誘う程の強烈な優しさです。

人を想う優しさがあるからこそ、まっすぐに鬼に立ち向かっていけるのです。

なんの脈絡も無いように感じさせられる歌詞ですが、このような繋がりになっていると考えて良いのではないでしょうか。

歌詞考察:1番サビ

失っても 失っても 生きていくしかない

どんなにうちのめされても 守るものがある

鬼によって失っているものは余りにも多いです。

炭治郎ほど優しい心をもっている人物であれば、これまで失った人々のことを思い浮かべることは当然多いというのが想像できます。

しかし、それでもとにかく自分にできることをやりながら、一歩一歩前に進んでいくしかありません。

自分の弱さや未熟さゆえに心身は既にボロボロでも、これ以上失うわけにわいかないのです。

”守るべきもの”とは何だと考えたときに真っ先に浮かぶのは禰豆子ですが、それだけでなく「あらゆる人々を鬼から守る」という強い気持ちまで感じさせます。

歌詞考察:サビ2回目

全く同じ内容の歌詞を間奏を置いた後、もう1度繰り返しています。

これにより、「守るもののために生きていく、前に進む」という気持ちがより一層強く感じられます。

歌詞考察:2番Aメロ

我に課す 一択の 運命と覚悟する

泥を舐め足掻いても 目に見えぬ細い糸

”運命”ということは、他の道は何も無いということです。

すなわち”一択”です。

「守るもののために生きていく、前に進む」というのが”自分に課す一択の運命”なのでしょう。

”覚悟”という詞を用いるということは、揺らいでしまう一瞬も過去にはあったことを意味します。

それが無ければ炭治郎という人物に人間味が無くなってしまいます。

優しいからこそ、弱い気持ちをもってしまったこともあるでしょう。

弱さを乗り越えたからこそ、いま強い覚悟を持っているのです。

後半部分の”泥を舐め足掻く”ということは、倒れて前に進めなくなってしまうことの例えでしょう。

どんなに「前に進む」という強い覚悟を持っていても、そう簡単に前進を許さない、強大な敵が目の前に居るということを意味しています。

細い蜘蛛の糸を操る強大な鬼が立ちはだかっているのです。

歌詞考察:2番Bメロ

泣きたくなるような 優しい音

どんなに悔しくても

前へ 前へ 進め 絶望断ち

2番では、”苦しくても”が、”悔しくても”に変わっています。

強い気持ちで前に進んでも、立ちはだかる鬼は強く、大切なものを守れないかもしれない自分の未熟さや弱さに悔しさを感じるのでしょう。

それでも、前へ進む強い気持ちに揺らぎはありません。

歌詞考察:2番サビ

失っても 失っても 生きていくしかない

どんなにうちのめされても 守るものがある

守るものがある

最後は守るものがある”が2回繰り返され強調されています。

1回目は禰豆子を、2回目は仲間含め、あらゆる人々を指しているような印象も個人的には受けます。

優しい気持ちを抱き、人を守るために戦う。

それが竈門炭治郎という人物であり、彼の物語なのです。

まとめ

日本中を魅了した竈門炭治郎というキャラクターですが、彼の持つ「優しさ」「覚悟を決めて戦う強さ」という組み合わせが非常に魅力的だなと私は感じます。

なぜなら、現実的には「優しさ」は「弱さ」の方に自身を導いてしまい、それを乗り越えて「強さ」に変えていくのは難しいことのように感じることがあるからです。

「優しさゆえに相手のことが気になり、臆病になってしまう」ではなく、「優しさゆえに覚悟を決めて立ち向かう」という姿は、主人公に相応しい格好良さがあるのではないでしょうか。

少なくとも私にはヒーローのような姿に映ります。

また、こちらの楽曲の歌詞制作には作者は直接的に関わっていないはずなのですが、それでも的確に竈門炭治郎を歌った楽曲に仕上がっているのは、それだけ作者のメッセージ性が明確に伝わっているからなのだと思います。

『鬼滅の刃』という物語は、こうした作者のメッセージ性が伝わり易く、多くの共感を生むから大ヒットに結び付いたのかもしれません。

さて、今回はゲーム音楽から少々離れた楽曲の歌詞考察となりましたが、個人的には収穫の少なく無い挑戦になったかなと思っております。

想いをどのように伝えるか、キャラクターや物語をどのように描くか、そういった考え方をゲームやゲーム音楽を語る上でも役に立てていきたいと思います。

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