配信コンサートが受け入れられるためには何が必要か?
ここ数日の間に配信によるコンサートイベントを立て続けに視聴する機会がありました。
それらのレポート記事をまとめる前に、「そもそも配信イベントはどうなんでしょ?」ということをまとめていこうと思います。
目次
音質は生視聴に到底及ばないのでは?
バンドライブにしてもオーケストラコンサートにしても、視聴者が最も不安に感じるのはこの部分だと思います。
結論から言いますと、個人的には想像していた程ネガティブな要素にはなりませんでした。
しかし、この結論はあくまでも個人的な因子が大きく影響したものになります。
というのも私は、音質においては”耳音痴”なのでは?と自身で感じるほど、普段から音質への拘りが少ないのです。
日常生活で音楽を聴くのはiPodに入れたデータをごく普通のイヤホンや、ごく普通のカーナビスピーカーで聴いております。
ヘッドホンすら持っていませんし、イヤホンにしても高性能なものは持ち合わせていません。
以前ハイレゾ音源を聴いたところ、さすがにその違いは分かったのですが、その程度の耳をしております。
そんな私が、実際のところ配信イベントをどのように視聴したかと申しますと、ノートパソコンにごく普通のイヤホンを挿して視聴しました。
ちなみに私は座椅子にもたれ掛かっており、ノートパソコンのポジションは腹の上です。
ちょっとお腹があったかかったです。
イヤホンを選択したのは、テレビのスピーカーで聴くと臨場感が大きく落ちるのはコンサートBlu-ray等を視聴した経験で分かっていたからです。
「テレビのスピーカーくらいは外付けの何かを買おうかな?」と思ったことがあるくらいだったので、そこの選択肢は外しました。
そして、そのごく普通のイヤホンで「重低音を感じられるのか?特にオーケストラは厳しいのではないか?」と不安に思う部分が私にもあったのですが、これが意外と大丈夫に感じられました。
音質という部分だけであれば個人的には許容範囲で、それは私自身にとっても意外な結論で驚かされるものでした。
音質は耳だけで感じるものではない
ここまでは意外にもポジティブな方向で話が進みましたが、世の中そんなに甘くはありません。
やはりどうしても生音とは決定的に異なるものがあります。
その1つは振動です。
音は耳だけで感じ取るものでは無いと思っております。
例えば、重低音については耳ではある程度感じることができましたが、一方でその振動は届きませんし、パーカッションやドラムといった打楽器系の振動も感じ取ることはできません。
そこが気になってしまう方は少なくないと思います。
加えて、演奏者の躍動感を目で捉えることも難しかったです。
表情や身体の動きから感じ取れるような、ある種の音の響きみたいなものも個人的にはあると思っているのですが、カメラを通じた映像ですとそこを感じ取るのは思った以上に難しかったです。
カメラを通じますと捉え方が局所的になりがちなため、演奏者の目立ったパートの後の姿だったりはよく分かりません。
観客席ではアングルを変えることは出来ませんし、基本的には全体を見ながら捉えることになります。
そういった制約があることについてもコンサートらしさとして臨場感を覚える部分があります。
とはいえ、カメラワークについては大いに工夫されているのは感じ取ることができました。
これまでの映像作品のリリース等で得たノウハウを元に、綿密に計算された上で本番を迎えられているのは明白でした。
特にゲーム映像も映し出したりするケースでは、かなり難解な課題の1つだったのは容易に想像できるのですが、ゲーム映像と奏者の両方が同時に映し出したり、その中で薄さを調整したりする技術には驚かされました。
しかし、やはり自身の目で追うのとカメラワークというところではどうしても同調しないところが出てきてしまいます。
すなわち、良くでき過ぎているからこその疎外感のようなものがあり、それが返って臨場感に欠けてしまう原因にもなっているような感覚を覚えました。
会場の雰囲気づくりの難解さ
無観客ということは、反応が無いことを意味します。
残酷にも思えますが、これが現実です。
視聴者のコメントを見ながら進行するという有意義な試みをやられているコンサートもありましたが、そのあたりに活路を見出したいところだなとは思います。
演奏後の拍手が聞こえないことが個人的に違和感として強かったです。
届かないと分かりながらも実施にその場で拍手をするだけでも気分的に違いますが、視聴者の反応を文字でなく音で瞬時に表出できるような新しい技術が今後出てくること期待しております。
最大の課題は音飛び問題
音飛びの問題は主催者がどうこうできることでは無いでしょうし、時代のニーズに技術が追いつくことができていない、どうしようもない部分なのだとも思います。
しかし、現実的に視聴中に音飛びが生じるのは致命的で、今回私の身に実施に起こった例ですと、ゲストシンガーが満を持して歌い始めたところで音飛びが生じたりしましたので、とても受け入れられるものではありませんでした。
最も克服するのが難しい課題でしょうが、視聴する側としては最も深刻な問題です。
臨場感というものが決定的に薄くなってしまうため、せっかく配信イベントを開催しても視聴者が集まらないという残念な要因にもなりかねません。
配信コンサートが人々に受け入れられるための最大のカギとなるのは、この「音飛び」という課題の克服だと思います。
視聴者にできること
ちょっと着眼点を変えますと、配信コンサートをより楽しむために我々視聴者側にもできることがあるのではないでしょうか。
特に、視聴環境の部分は重要だと感じます。
例えば音飛びの問題であれば、もしかしたら視聴する機器を整えることで改善があるのかもしれません。
あるいは、それこそ高性能のスピーカーやヘッドホンを用意するというのも大切なことかもしれません。
しかし、将来的にも現状のコンサート事情が続くのであれば考えなくもないですが、そういったところに視聴者が投資するというのはコスト的にもなかなか難しいところだと思います。
私が環境面の部分で今回やってみたのは、電気を消し、カーテンを閉め、部屋を暗くするという誰にでもできることです。
些細なことかもしれませんが、これだけでも臨場感が全く変わります。
一方、やらなくて後悔したことは生活音を抑えてもらうことでした。
同居人が居る場合は、そのあたりの協力も事前にお願いした方が良いです。
家庭内のいざこざに発展しなければの話ですが。
そして、今回やってみて大切だなと思ったのは視聴するタイミングです。
タイムシフト視聴があっても、ライブタイムで視聴することを強く推奨します。
理由はシンプルで「参加している」という感覚が出てくるので、熱量がまるで変わるからです。
休憩時間や終演後に友人らと感想を言い合ったり、SNSを覗いたり、感想を書いたりというのも大切なことだと思います。
そうすることによってコンサートの記憶というのはより心に残るものとなるはずです。
まとめ
「生コンサートなら行きたかったけど、配信はちょっと…」という人はかなり多いと思います。
実際に私の周囲はそのような雰囲気で、「一緒に参加できたらもっと盛り上がるのに」と思いながらも、いざ背中を押すというのは極めて難しく感じられました。
だこらこそ、このような記事をまとめてみたいと思ったのですが、現実は厳しく、やはり課題に感じる部分の方が圧倒的に多かったです。
しかし、配信イベントという試みはまだ始まったばかりのことですし、これから現場のコンサートの盛り上げ方だったり、カメラワークといった技術的なことだったりは良くなっていく一方ではないかと思います。
特に今回の視聴したコンサートでは技術的な部分の進歩は短期間で大いに発展しているなと思わせるものがあり、今後への期待も膨らむ内容でした。
ただし、主催者だけではどうにもならないこともありますので、視聴者としてできることも面倒臭がらずにやることも大事だなと思います。
こうした配信技術を高めるということは、コンサートが通常開催できるようになったとしても意義のあることだと思います。
「行きたくてもチケットが取れなかった」、「仕事でその時間は都合が付けられなかった」そんな方々への救済措置にもなり得りますし、それが定着すれば業界の収益にも繋がるかもしれません。
なので、「今だけ」という考え方をするのではなく、将来も見据えた上で秘術を大いに高めていって欲しいなと思います。
完全に同意ですね。
私も先日イトケン30thライブを自宅で視聴しました。一応趣味でホームシアター的なのをやっていることもあり、とても楽しめました。こちら関西からですが、やはりこういったライブ含めたイベント系は東京が強いなと思います。
もちろん現地に行ってその空気感だったり熱量を直に感じられればいいのですが、タイミングだったり、チケットが取れないとかいろんな要素が絡んで参加が難しいこともあるので、コロナ落ち着いて観客入れられるようになってもオンラインで配信してもらえればなと思います。
コメントありがとうございます。
地方公演は本当に少ないので「その都度遠征するのは難しいだろう」と、私としても気になっていました。
配信コンサートという取り組みをしている今は、コンサート形式を再考する絶好の機会だと思います。
将来のコンサートイベントをより多くの方に満足してもらうためにも、試行錯誤しながら配信を試み発展していって欲しいものです。